国内外でEV車(電気自動車)の導入が加速している。今後、新築マンションへのEV充電器設置はスタンダードになっていくのか?
東京都環境局HPに公開されている「建築物環境計画書」をひも解くことで、EV充電器の今後の普及状況を推測することができる。
※延べ面積2,000m2以上の新築建物・増改築建物について、建築主は東京都に「建築物環境計画書」を提出する義務がある(2,000m2未満は任意義務)。
都内の新築マンションのEV充電器設置率、3%に満たない
同計画書が提出された新築分譲・賃貸マンション1,671件のうち、EV充電器が設置されることになっているマンションは43件(22年1月29日現在)。全体の2.6%だから、新築マンションのスタンダードとなるには程遠い状況である。43件のうち工事完了済み(変更届)の1件(21年1月)を除くと、すべて22年1月以降の工事完了(予定)となっている(次図)。
新築マンションのEV充電器設置率は上述のように3%に満たない状況ではあるが、東京都地球温暖化防止活動推進センターが公開しているデータによれば、補助金を活用したマンションへのEV充電器設置は多少進んでいる(18年6月から21年3月末までの申請件数160件。新築・中古マンションの内訳は不明)。
不動産会社等の内訳
EV充電器が設置されることになっているマンション43件につき、不動産会社等の内訳を次表に示す。メジャーセブンのなかでは、大京のEV充電器設置率が高い(20%)。
住友不動産、東急不動産、三菱地所レジデンスは、EV充電器設置ゼロ(注1)。
※メジャーセブンとは、大手不動産会社7社(住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス)が提携して共同で運営しているサイトのこと。本記事ではこれら7社を便宜的にメジャーセブンと呼ぶ。
【注1】(追記22年2月12日)
「建築物環境計画書」は、提出時期よって適用される基準が次のように異なっている。
2020年度基準には、「EV及びPHV用充電設備の設置」に係る評価項目があるが、2017年度基準にはない。
- 20年3月31日以前:2017年度基準
- 20年4月 1日以降:2020年度基準
したがって、20年3月31日以前に建築物環境計画書が提出されたマンションについては、仮にEV充電器が設置されることになっていても、同計画書からはEV充電器の設置を認識することができないことに要留意。
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EV充電器が設置されることになっているマンション43件の物件概要については、下記をご参照。
当家は2021年竣工引渡のザ・パークハウスですが、駐車場にEV充電対応区画があります。
2期目理事さん、コメントありがとうございます。
この記事の情報源となっている「建築物環境計画書」は、提出時期よって適用される基準が次のように異なっています。
・20年3月31日以前:2017年度基準
・20年4月 1日以降:2020年度基準
2020年度基準には、「EV及びPHV用充電設備の設置」に係る評価項目がありますが、2017年度基準にはありません。
このようなことから、2期目理事さんがお住いのマンション(21年竣工)が引っかからなかったのかもしれませんね。
マン点さま
お返事ありがとうございます。
都の建築物環境計画書HPを見たところ、確かにおっしゃる通りでした。
当マンションの個票画面では「EV及びPHV用充電設備の設置」に係る評価項目が存在しません。
区の各マンションを並べた一覧表画面では、「EV充電器」の欄があり、当マンションは無印(設置なし扱い)となっています。
都の建築物環境計画書HP、欠陥ありですね。
せめて、「2020年度より前の基準で評価されている建築物は、EV充電器が設置されていても表示されません」といった断り書きをすべきと思います。
また、マン点さまにおかれましても、こうした欠陥統計を元として、「住友・東急・三菱レジ、EV充電器の設置ゼロ!」と謳われるのはお止めになるようお願い申し上げます。
2期目理事さん、コメントありがとうございます。
「建築物環境計画書」の提出時期によるEV充電設備の評価の扱いの違いにつき、注1を加筆するともに、小見出しを修文しました。
ご対応ありがとうございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。