このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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マンション購入にあたっては、将来リセールするときの価値を購入時に想定する、若しくは考慮しておくということが大事です。いつなんどき、売却の必要が生じるか分からないからです。そのとき、できるだけスムーズに、少しでも高く売りたいと考えるのが普通の感覚であり人情というものです。古くなったマンションが値上がりするなど、初めから考えていないとの反論もあるかもしれませんが、少しでも価値の保存ができる物件を望まない人はいません。
将来価値(リセールバリュー:RV)を決定する要素は、①立地条件(利便性と環境)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、➄ブランド、⑥管理体制です。
この中で一番比重が高いのは①の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の悪さを補うことはできないのです。
購入したマンションが購入時の価格より高く売れるに越したことはありませんが、そのような物件を購入できるかは分かりません。
個人の事情や背景によっても異なります。通勤の関係で値上がりしそうにない地方都市や郊外都市のマンションを選択せざるを得ない人もあるでしょうし、予算の関係で良い立地条件の高級なマンションを購入することが難しい人もあるからです。
そこで、本稿では値下がり必至と予想できる物件である場合、どこまでが許容範囲なのかを検討して行こうと思います。以下の例は、東京23区の標準的な駅を選んでシミュレーションしたものです。
検討STEP(1)自分の家を賃借したと仮定します
都区内の某駅の徒歩圏で60㎡前後の新築マンションを5千万円で購入したとします。そして、これを10年後に売却する計画を前提とします。この購入マンションと同等のグレードと広さを持つ賃貸マンションは、管理費込みで2万円が相場とします。
購入したマンションを自分で賃借したと仮定すると、10年間の合計では2千4百万円の負担(費消)となります。購入せずに同等の賃貸マンションを借りて住んだ場合の支出額という意味です。
以下、賃借した場合より購入した方が得になるかどうかのシミュレーションをしていきます。
検討STEP(2)賃貸VS購入
上記の支出を前提にすると、単純に考えて購入マンションが2千4百万円値下がりしても損はないことになります。購入時の諸経費や固定資産税、修繕積立金などを計算に入れれば、約2千万万円(※)までが許容範囲ということになるでしょう。すなわち、損益分岐点は、2千万円です。値下がり限度は、2000÷5000=40%ということになります。ただし、これは現金で購入した場合のことで、ローンを利用する場合は10年分の金利を見ておくことが必要です。
ローン利用額を価格の90%、4500万円とします。これを35年返済にすると、毎月返済額は137,780円(固定金利1.5%の場合)となります。10年間の金利の合計は、約590万円です。
尚、この場合の10年後の残債は3440万円となります。この清算をするには売却代金がこれを超えてくれなければなりません。
仮に3000万円でしかか買い手が見つからなかったとしたら、値下がり率は40%もの大きな値となりますが、東京都区内でこれほど値下がりする物件は少ないのが現況(=最近10年)です。駅別に見た徒歩圏マンションの実績データでは、0%~20%くらいの幅です
90%ローンを利用した場合は、現金購入による損益分岐点2000万円(※)から金利負担590万円を差し引いた1410万円が値下がりの許容範囲となります。
つまり、5000万円の物件が3590万円まで下がっても損はないということになります。値下がり率は28%です。現金購入の場合の40%と比べると、当然ながら余裕度はかなり狭まりました。
このように、金銭的な損得だけを考えた場合、購入は得策でないという結論になってしまう物件も少なくないのです。
検討STEP(3)相場の上昇を読む
ところで、中古マンションの価格は、どのようにして決まるのでしょうか? 次に、そのことに触れておくことにします。新築マンションの価格は土地代、建築費、諸経費・利益から成り立っているのに対し、中古マンションは少し事情が違います。
中古は、物件の個別条件 + 周辺の市場動向 + 売主の事情= 中古価格と考えられます。それぞれを詳しく見て行きましょう。
① 中古価格の変動要因・・・物件の個別条件
殆んどの中古住宅は個人が売主ですから、事業として売買を行なっている業者のように、諸経費・利益を最初から見込んでいるわけではありません。また、建物も工事中の新築マンションと異なり、良い点もアラもそのまま見えてしまいます。基本的には、立地条件と広さなどによる土地評価額と、築年数や建物グレード、広さなどによる建物評価額の合計、更に管理状態が加味されて中古マンションの価格になります。
② 中古価格の変動要因・・・市場動向
周辺の新築マンションの発売数が多いときは、マンションを探している購入希望者の多くが新築に流れるため、中古マンションは値下りしやすくなります。市場動向という視点で付け加えると、周辺だけでなく、首都圏全体、あるいは23区全体の広域で需要が後退しているときも、中古住宅の価格は弱含みとなります。
一方、新築・中古ともに売り物が少ないときは、価格は強含みになります。マンションブームなどで、売り出す新築マンションが次々に完売してしまうといった市況のときは、中古マンションも足が早く、強気の売り出し価格でも、あっと言う間に買い手が決まってしまうのです。
③ 中古価格の変動要因・・・売主の事情
新築住宅は予め販売価格が設定されていますが、中古では売り出したあと、購入希望者との交渉で最終的な価格が決まる場合が多くなっています。そのため、売主が何らかの事情で早く売りたいと考えている場合には、かなり安く買えるケースもあります。買い替えのための売却のケースなどで、移転時期の関係から売主が急いでいる事例が代表です。
東京都では、10年前に分譲されたマンションが10年後の2022年の今日、平均して20%以上の値上がりという結果でした。しかし、物件格差は大きく、値下がりしたものも少なくありません。その中には、大手デベロッパーの物件も少なからず含まれています。価格を決めるのはブランドだけでない証拠です。
一方、地方都市では首都圏と同じように見ることはできません。それぞれの都市で事情が異なりますが、一般的な地方都市の事情を当てはめると、厳しいものがあります。
そもそも市場規模が小さく、そこへ新築の物件が安く販売され続けると、中古の価格が上がる余地は極めて小さいということになるのです。
検討STEP(4)平均と個別の違いに留意
以上に述べたことは、あくまでエリアごとの概論・総論に過ぎません。マンションという商品は、二つとして同じものがなく、個別の条件や内容がどれも異なります。同じ最寄り駅のマンション同士を比較しても、駅までの距離、道路付け、騒音、自然環境、建物の構造、グレード、共用施設・設備の内容、植栽、ブランド、管理サービスなどが異なりますし、同じマンションでも、住戸によって日当たりと眺望、広さ、間取りなどが違ってきます。
このような違いを個別要素とすれば、同一エリアであっても、物件によって価格(価値)が微妙に、また大きく異なるのも当然とも言えるのです。
新築マンションの売主・デベロッパーは、エリア相場を考慮して、そこからあまり乖離しない価格で建設しようとはするものの、良いものは高くて当然と考えますし、条件の悪い物件であれば安く建設するように企図します。
ライバル物件が駅から徒歩10分にあって5千万円であるとき、我が社の計画は徒歩3分の近さにあるのだから、5千300万円でも価値があるだろう(売れるだろう)などと目論むものです。
実際には、近い、遠いという距離の要素だけではなく、他の要素も絡んでの比較になり、同じ駅が最寄りであっても、一方は5千万円で、他方が6千万円といった価格差が生まれたりします。建物のグレードやブランドによる価格差も生じるものです。
ライバル物件を意識して、通常よりグレードを上げることもありますし、反対に価格の安さで差をつけたいという意図から、ライバル物件より影響の小さい部分や見えない部分でグレードを落とす例もあります。
設備・仕様のグレードを落とさない代わりに、構造や装飾をシンプルにして個性も面白味も何もない外観デザインになっている例も多く見られます。
ブランドも軽視できません。
ブランドが価格差を生むのは、大手有名業者が利益を多く取っているということではなく、ブランドにふさわしい建物にしようと、隠れた部分でも厳しい社内基準に沿って建設していることや、見える部分ではグレードの高さなどが反映されるためです。
もっとも、ブランドにふさわしくない物件も少なからず存在します。それは、それなりの理由や背景があったと推察できるのですが、具体例は割愛します。
さて、このようにして企画されたマンションは、価格差がないような物件同士でも価値の違いが現われます。また、価値が明らかに高いとしても価格が高過ぎると思われる物件、その反対に割安な物件といったふうに、同じエリア内でもバラつきが出ているのです。
検討STEP(5)購入方針の立て方がポイント
買ったマンションが値下がりしても、次のように考えれば損とは言えません。考え方の問題でもあるのですが、シミュレーションしながらご紹介しましょう。ここでは、15年間住んだ後に転居する場合を想定します。①まず、今後15年間の生活を家族で楽しむ(快適に暮らす)ための買い物であると考えます。
②次に、購入住戸を賃借したと仮定した場合、毎月の賃料はいくらになるか調べます。
15万円の家賃が相場としたら、15年間で15万円×15年×12カ月=2700万円の賃料が消える計算です。
③15年後に売却するとき、家賃を払ったと仮定した分の2700万円の値下がりで損得はトントン。それ以下の値下がりで済めば、その差額が儲けになると考えます
・・・・・もし、購入マンションの価格が4千万円であったとし、15年後に半値の2千万円になったとしても、700万円の儲けが出る理屈です。
ただし、これは全額現金で購入した場合の話です。住宅ローンを利用した場合は金利分を差し引くことが必要です。
検討STEP(6)住まいは売らない限り損得は現われない
30年前(1991年以前)にマンションを買った親世代の多くは、大きな値上がりを体験しました。タイミングや購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いたものです。しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もありませんでした。むしろ、固定資産税がアップしたことで苦々しく思った人もあったのです。
一方、売却した人は、驚くとともに手にした金額の大きさに喜び一杯だったはずです。ただし、その資金で「もっと良い住まい」を手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。
売却した場所の近くは同じように値上がりしていたため、売却して得た金銭に(新たなローンなどで)プラスしなければランクアップした家は買えなかったからです。
反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の極端な値下がりを体験することとなりました。何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかりました。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったからです。いわゆる追い銭が必須でした。
その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。
これは含み損を抱えてしまったものの、損失を確定しないで済んだというケースです。つまり、値下がりしても、売却しなければ損は表面化しないことを意味します。
検討STEP(7)値下がりしても賃貸より価値ある購入
「資産価値」に注目し、できるだけ損しないマンション選びについて述べても、それを「儚い(はかない)言葉」としか受け取れない人もあると想像します。なかんずく、地方都市に居住する人はその感が強いことでしょう。地方都市では、そもそも東京のような高いリセールバリュー(売却価格)は期待できないからです。無論、首都圏でも地方都市並みの売却価格しか期待できない所もあるのです。
そこで、高いリセールバリューが期待できない場所で選択する場合の「覚悟」とも言うべき考え方をお伝えしようと思います。
10数年経過し、いざ自宅を売ろうかというとき、調べてみたら売るに売れないという現実を突きつけられる場合があります。理由は、売却見込み額の低さもさることながら、残った借金(住宅ローン)が売却額より多いため、銀行との清算にあたっては預貯金を崩して追銭(おいせん)しなければならないからです。
住宅ローンは35年の最長で組む人が多いようですが、その場合、例えば15年経過すると、固定金利1.5%の場合、元金はおよそ38%減ります。その場合、自宅が50%もダウンしたら売却代金だけでは清算ができないことになります。
もし、値下がりが35%程度で済めば追い銭は無用です。ただし、物件によっては微妙なところです。金利が高い場合も、同様に残高が多いので、清算が厳しくなります。
10年しか経過していない段階で売却する人も少なくありません。様々な家庭の事情がそうさせるのですが、そのときの住宅ローンの減り方は25%程度(金利が1.5%程度の場合)です。従って、そのときの価格ダウンが20%ほどであれば頭金部分を取り戻すことはできますが、売却見込み額が25%ダウンだったら、手元には1銭も残らないということになります。
まさか、そこまで下がることはないだろうと高を括っている人は結構多いようで、惚れて買ったというだけでなく、何年か住んで愛着のある我が家ゆえに自己評価を高く見積もりがちなのです。
具体的な物件名は控えますが、某調査会社のデータによれば、物件別10年後価格(2019年時点)の騰落率ワースト50位のトップは、何と50.1%ダウン、50位でも38.7%なのです。これは、地方マンションではなく、東京23区内の中古マンションリストなのです。その中には有名ブランド物件も散見されます。
売ったとき手元に1銭も残らない状態を想像すると、やりきれない・・・そんな所有者の姿が浮かびます。
検討STEP(8)「立地条件第一」と考えよう
立地条件の良いマンションは、価値が下がりにくいものです。駅10分より、駅1分の方が新規建設の確率は低く、従って、駅1分のマンションは稀少価値を生むからです。反対のケースはどうでしょうか。都心から遠く離れた駅は、駅前でも青空駐車場や空き地が多く、マンション供給がいつでもできそうな雰囲気を漂わせています。駅から少し離れると、工場や資材置き場があったりします。
そこへ建てられるマンションは稀少性に乏しく、中古マンションとして売却を図っても、値上がりすることはありません。最新の設備とインテリアで化粧された新築との競争に勝てず、いつも安値取引になってしまうのです。
地方に転勤し、いつまでも狭い社宅住まいというわけにはいかないからと、地方都市でマンションを買ってしまう人があります。その場合も、中古になったとき、ショックを受けるほどの値下がりに見舞われるケースが多いのです。
このような対比を知った後でも、安値になる懸念を感じながら購入する人が存在します。値下がり必至のマンションを選択するときの考え方と対策を次でご紹介します。
※価値観は個人差が大きいものだ
マンションには、「経済的価値」と「使用(利用)価値」の二つの側面があると考えられます。後者は、個人の価値観や家族の事情などによって幅がありますが、その大きさは他人には測り知れないものがありましょう。仮に「経済的な損失」を被ったとしても、使用価値が高いことで大きな「精神的利益」を得て余りあるという場合もあります。
例えば、郊外に住んだおかげで、我が家は大きく値下がりしてしまったが、その代わりスープの冷めない距離にある親の家を行き来して最期まで親孝行ができたと思えるかもしれません。
親が子供(親から見て孫)の教育に一役も二役も買ってくれ、金銭では測れない結果を得ることもできます。
こうした考え方をすれば、経済的得失は二の次となってくるかもしれません。値下がりしても、つまり経済的な損失を被っても、精神的利益が大きければ、トータルで損はないと言えなくもないのです。
価値あるマンション、値上がりするマンションを選択するために情報を収集する、勉強するという姿勢は大事です。しかし、思惑通りにならないこともあるのです。そんなとき、経済的価値ばかりが選択基準ではないことも覚えておいて悪くありません。
売却しなければ、値下がりしようが、しまいが、さほど気にする必要もありませんが、実際は売却の必要が必ずやって来るのです。
理由はいろいろですが、特定マンションに永住する人は10%以下というのが実態です。理由のひとつは「建物の老朽化」です。コンクリートは長寿命ですが、それでもメンテナンスを怠れば劣化して雨漏りの原因になります。結露が起きてジメジメとした部屋の中で暮らすことになってしまいます。
また、コンクリート以外の部分、例えば給排水管やエレベーターなどの設備は30年か40年で交換しなければ使用が困難になります。その費用や対策の方法(建て替えなど)がマンション全体として複雑な問題になっている事例は少なくありません。
老朽化したマンションは不快な日常を送ることになるため、転居を考えざるを得ない入居者を増やします。そのとき、売却ができなくて賃貸に出すオーナーも現われます。しかし、不具合が頻繁に発生するようなマンションでは賃貸もやがてうまく行かなくなります。・・・賃料は下がり、入居者のモラルも低下してマンションはスラム化へひた走ります。
そのような状態になるまでは、新築時から数えて50年くらいはかかるかもしれません。しかし、そのとき人間の寿命も尽きてくれたら好都合かもしれませんが、そうは問屋がおろしません。・・・・人間の寿命が伸びるということもありますが、その手前で不快な日常から脱出を図ろうとするに違いないからです。
さて、そのとき売却価格が安過ぎると困ったことになります。次の住まいを購入する資金ができないことが最も大きな問題ですが、それ以上に困るのは、売却で手に入る資金だけでは住宅ローンの清算(残金の一括弁済)ができないため、貯蓄を取り崩す必要に迫られたときです。
その貯金を使ったら次の新居購入資金が足らなくなるかもしれません。もう住宅ローンは使いたくない年齢かもしれません。利用するにしても、年限は短くしたいと考えているかもしれません。
結局は、「売りたくても売れない」状態で住み続けるか、マンションを賃貸に出して自分も賃貸マンションに移るかのどちらかということになるのです。
マンションは、いつか必ず売却するときが来ます。いえ、やむを得ず売却する必要に迫られることがあるのです。そのとき、売るに売れないという状態にならないよう、最初から想定しておきたいものです。
対策は、こうです。
ひとつは、できるだけ値下がり率の小さいマンションを選ぶこと。2)住宅ローンはできるだけ繰り上げ返済するなどして早めに残高を減らしておくこと。3)売却を諦めて賃貸し、住宅ローンの返済は賃料で賄い、完済まで継続すること・・・以上の3つです。
※最後は割り切り方か
値上がりが期待できそうにない場所で選択するほかない人は、やはり経済的損失を被るかもしれないと思うべきかもしれません。しかし、ものは考えようと言いますが、同じマンションの同じ間取り、同じ階であったとしても、購入する方が賃借するより充実感は大きいはずだからです。なぜなら、賃貸では得られない周囲の賞賛などから来る満足感、快適な暮らし、幸福感、老後の安心感などを手に入れることができるからです・・・・それがマイホーム購入の最大のメリットでもあるのです。
こうしたものを筆者は「精神的利益」と言っているのですが、これは経済的利益(得失)とは比べようがない、測り知れない大きな価値と考えることができます。
最後はこう割り切るしかないのです。というより、ここにこそマンション購入の目的を見出すべきとも言えましょう。
本稿は「賃貸の方がよかった」にならないためのカギを探そうという趣旨で書いていますが、結論を先に言ってしまうと、「賃貸か購入か」をトコトン突き詰めると、答えは購入に軍配があがるのです。
現金購入でなく住宅ローンを利用した購入でも、返済を終了した35年先には、僅かにせよ資産が残ります。その金額が5千万円になったか、1千万円にしかならなかったかなどの差はあるものの、何がしかの資産(財産)が残るからです。
これは、賃貸マンション住まいの人には絶対に得られないものです。ボロボロの借家に、ただ同然の家賃で長く住み、その間に巨額の貯蓄をすることに成功したという人がいるでしょうか?もし、そのような人がいれば、借家住まいも資産を残せるという反論にはなるでしょうが、現実的な話ではありません。
借家暮らしは家主の資産形成に貢献できることはあっても、自分の資産をつくることには雀の涙ほども貢献しないのです。
以上のように考えると、損益分岐点という観点では選択を誤った人も、若しくは事情が許さなかったために、不満の残るマンションを買うことになった人も、いずれも悲観するには及ばないことが分かって来るのではないでしょうか?
検討STEP(9)買って損はないか;迷ったときの方針整理術
東京圏の一部エリアでは、物件固有の条件によるとはいうものの、10年経っても値下がりしないどころか、値上がりしているマンションもあるのは確かですが、本来、建物は完成したときから老朽化が始まるのですから、経過年数によって価値が下がるのは当たり前とも言えます。他方、地方都市や郊外のマンションは中古になったら購入価格より売り値は下がるものと考えなければなりません。
同じ中古マンションでも、値上がりするマンションと値下がりするマンション、この差は、どこから来るものでしょうか?それは、需要の多寡によって生まれる結果なのです。
東京の人気住宅地では、マンション開発が難しく、新築マンションは滅多に販売されません。いきおい、そこに住みたい人は中古へ向かうしかないわけです。その結果、人気住宅地の中古マンションは値が下がりにくいという傾向を見せます。
首都圏でも10年で新築時の半値に下がってしまった極端な例が少なからずあります。これは、その地域における需要と供給の関係が大きな要因なのですが、それだけでもありません。
地域の中でも条件が特に良くない物件だからです。何がよくないかは様々なケースがあり、一言でくくることはできませんが、物件固有の条件によることだけは確かです。
次のようなご相談事例が最近ありました。
「駅近を優先するべきであることは分かるが、駅近物件には満足できるものがないと悩んでいる。そんなとき、駅から少々遠いこと(徒歩12分)を除けば満足度の高い物件を発見―――駅近を優先順位のトップに掲げて探して来たが、それを捨てて購入したい」と。
続けて、「でも、20年くらい住んだら売却するか賃貸する予定だが、あまり高くは売れそうにないし、賃貸するにしても家賃は高く取れない。環境も建物の内容もいいのに。どうしたものか」と。
需要の少ないエリアでは中古価格は下がりやすく、需要の多いエリアであっても、固有の条件によっては、やはり下がります。どのような地域にせよ、少しでも高く売れそうな物件を選びたいものです。
とはいえ、条件が全部揃うマンションは中々ないものです。従って、あちら立てればこちらが立たずと悩み・迷う。これが現実です。そこでは、優先順位を設けて後順位の枝葉末節は切り捨てるような選択をするほかありません。
検討STEP(10)将来の売却価格が下がること必至という場合の考え方
このような場合、次のように考えを整理してみることをお勧めします。①売却や賃貸は、20年以上も先のこと。そこまで予想するのは難しいことである
②住まいは何のためにあるのか?日々の暮らしを豊かに送るための基盤ではないのか。駅から遠いという問題はあっても、さほど苦にならない程度なら、そちらを選択すべきではないのか。
- 20年以上住んだ後に売却するとき、値下がりは間違いないだろう。でも、下がり方が極端でなければいい。その許容範囲は、どのくらいだろう。精神的満足感(これは測りしれないもので、大きな価値・利益なのですが、ここでは割愛)を加えず、単純に損得だけで判断してみる。
20年後に購入価格の半分になったとする。しかし、住宅ローンは半分以上返済が進んでいるので、銀行の清算をしてもいくらかの手残りがある。少なくとも頭金以上の金額が残る。これなら損はない。
仮に、売却せず賃貸したら、駅前物件ほど高くは貸せないが、ローン返済に充当できるくらいの額は取れそうだ。 最終的にはローン残ゼロの物件が残る。そのときに売れば、更に売値が安くなっても手残りは大きい。
※補足;住まいはどうあるべきかの原点は?
人間には欲が付きものですから、居住性も高く、且つ将来の資産価値も高い物件を望みがちです。しかしながら、それには予算を大幅に上げなければならない場合も多いことでしょう。それが可能な人は、値下がりの小さい都心の人気エリアに求めればよいですが、それが簡単に行かない人はどうしたらよいのでしょうか?
次のように方針(例)を決めて探すようにしたらいいでしょう。
◆そもそも家を買うのは何のため? 老後のことを考えたら賃貸マンションで良いわけがない。それに家賃が勿体ない。だから家は買う。この考えをしっかり固めておく。
◆マイホームは、日常生活がしやすいこと、快適な暮らしが基本。通勤・通学の便が良いこと、子供のいる家庭では子育てがしやすい環境にあること等が大事である。
◆住宅ローンに追われるようなストレスもない方がよい。つまり、無理な資金計画のもとに買ってはいけない。
◆駅近で、かつ広い住戸を求めても無理と分かったら、広さを我慢して駅近を選択する。我慢の範囲は、現状の住まいにプラス10㎡(例)などと定め、欲張らない・高望みしないこととする。
◆我慢できる広さの物件がないときは、駅からの距離を妥協するが、バス便だけは避け、徒歩10分を許容範囲と定める。これは、将来の売却価格が下がり過ぎないことを考慮した選択である。
◆売却の時期は10年以内を目安とし、その間の暮らしに支障がない広さでいい、次にランクアップすればいいと割り切る
――――― 以上のように整理してみることです。
・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。
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