このブログは原則として10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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タイトルのような質問をいただきました。今日は、新築マンションの市場を以下のように認識しているというお答えをお届けします。新築マンションの価格推移20年(坪単価)
2011年(23区)268万円 (首都圏)214万円2012年・・・・264万円・・・・・・・213万円
2013年・・・・285万円・・・・・・・230万円
2014年・・・・288万円・・・・・・・235万円
2015年・・・・326万円・・・・・・・257万円
2016年・・・・332万円・・・・・・・262万円
2017年・・・・357万円・・・・・・・284万円
2018年・・・・376万円・・・・・・・287万円
2019年・・・・371万円・・・・・・・290万円
2020年・・・・413万円・・・・・・・305万円
2021年・・・・423万円・・・・・・・309万円
5年前の2016年と比べると、23区は+27%、首都圏全体は+18%も上昇しました。10年前の2011年では、23区が+57%、首都圏全体では+44%でした。
お気づきと思いますが、23区の上昇率は高く、その他の地域はやや低い傾向が見えます。
23区の27%を単純平均すると、年平均で5.4%でした。7000万円が相場だった23区は5年後に8900万円に、1900万円も値上がりしたのです。
また、2012年以降は一本調子で上昇して来たのです。
高値のマンション。将来の売却価格が懸念される
上記の数字を見て驚かれた人も少なくいと思いますが、2021年の価格は歴史上で最高値となったのです。価格が高くなり過ぎれば、買い手の購買力とギャップが広がり、買いたくても買えない人が増えるのは明らかです。事実、2016年頃から買えない人を増やし続けているようです。その様子は建物完成時点の在庫の増加によって分かるのですが、表面上は在庫が少なく販売は好調に見せています。どんな策をとっているのでしょうか?
これは、発売した戸数に対してのみ売れ残り戸数の比率を見ているため、実際は未発売の在庫が隠れてしまい、表面的には販売協調の姿となっているためです。つまり、見せかけの好調を演出しているだけなのです。
言い換えると、新築マンションの販売実態はお寒い限りというわけです。それでも竣工から長い時間をおかずに完売に至る物件も多いのですが、それもこれも市場全体で物件数が少ないことに助けられているからです。
どのくらい少なくなっているかを示すデータがこちらです。首都圏全体の新築マンション発売戸数が、直近6年をその前の6年と比べて26%も減っていることが分かります。
***2010年~2015年・・・年平均4万5204戸
***2016年~2021年・・・年平均3万3484戸
物件数が少ないことが幸いして、売れ行きのスピードは鈍化してはいるものの、高値の物件も致命的な結果をもたらすことなく、程なく完売に至るということなのです。
しかし、中古マンションとなると話は別です。いうまでもなく、中古マンションの売主は個人が大半であり、新築のように1年、2年と長い時間をかけてゆっくり売るなどというわけには行きません。
売主さんの事情はそれぞれとはいうものの、半年以内には買手を見つけなければならない人が多いからです。
中古の価格は買い手が決める
売れそうな価格はいくらかを探りつつ、市場に出す、言い換えればSUUMOやホームズなどのサイトに乗せるためには価格を決める必要があります。そこで、これらのサイトに掲載されている自分のマンション、もしくは近隣マンションと比較しつつ、「これくらいなら売れそうだ」などと期待を膨らませます。その一方で、売ってくれる仲介店を探します。
探すのは簡単なので、その中から2社か3社を指名し、「査定」を依頼します。査定書が出てきたら、それに目を通し、次は依頼する業者を定めます。1社に絞るか、それとも複数に依頼するかは任意ですが、業者側はは1社だけの専任依頼を希望します。
どちらがいいとは断定できませんが、ともかく依頼業者を決めて仲介活動に入ってもらいます。
広告を見た買い手から、ほどなく見学希望のオファーが入ります。複数の希望が入る場合もあれば、10日経っても全く反応がない場合もあります。1か月も経てばポツリ、ポツリと反応があって見学者も現れますが、反応の鈍い物件は契約に至ることはなく。2か月、3か月と時間は流れていきます。
売れないとき、売り手は焦り、やがて相談のうえで価格の変更を決意します。
売れない物件も価格を下げれば程なく買手が決まり、売主は安堵します。結局、最初の売り出し価格が強気すぎたと言えます。実は、仲介業者もそのあたりのことは初めから織り込み済みであったりします。
仲介業者は。売り依頼を確保することに血道をあげており、査定段階で高値の提示をするのは常套手段だからです。
結局、買い手の反応によって引き下げざるを得なくなったりする。これは、価格決定の主導権は売り手ではなく、買い手にあるということになると言えるのです。
価格だけなら中古を選ぶのがお得かも
中古マンションの売り手の中には、売却を急がない人もあります。高く売れるようなら売って大きな代金を手にしたいと考える人があるからです。 この種の人の中には、売れると分かってから次の住まいを探そうとする例もあり、一旦は実家に帰ったり、賃貸マンションを探したりするなどの恵まれた人のようです。こうした強気な高値マンションをウッカリ買ってしまう人もあるのは事実です。そうならないようにしたいなら、対象物件の適正価格を探らなければなりませんが、多くのケースは仲介業者の査定価格に高くても5%程度ONした売値が多いのも確かなので、射程距離と言えばよいでしょうか、前向きに購入態度を示してもよい事例が多いとも言えます。
ともあれ、中古物件の価格は、以上のような決まり方をするもので、売主の損益などを斟酌する余地は殆んどないのです。いわば、価格は市場が、もっと言えば買手が決めると言って過言ではありません。
売り手の採算を最優先に決められる新築とは一線を画すのです。
高値の新築。それでもメリットは大きい?
新築マンションは用地費の高騰、建築費の高騰によって年々上昇を続けてきました。先に見た通りです。良い土地が安く放出されることはなく、マンション業者同士の競争によって高値相場が形成されています。その上昇カーブは異常とも言えます。
高値でも買える個人は買えばいいのですが、買えない人は立地を含む条件のいくつかを妥協して選択するほかありません。そのとき、気を付けるべきは「将来の売却価格」です。
できたら、損失が少なく留まる物件を選ばなければなりません。とはいうものの、地域によって、また物件によって差異は大きく、値下がり必至の物件も少なくないのです。
駅単位に調べて比較して行くと、同じ経過年数の物件同士で比較すると、大きい場合で20~30%もの差があります。高く売れている中古マンションは人気があるということを示していますが、人気物件の場合は購入価格も高い物件だった可能性が高いものの、売却価格は購入価格より20%も高いなどという例が珍しくありません。
他方、安い分譲価格であった物件の多くは、売却価格も安く、購入時を下回る例が多いのです。
相場の高い2022年現在、新築マンションは絶望的に高くなってしまったと言って過言ではないかもしれません。このようなときに買うのはリスクが大き過ぎるとも言えます。だからと言って、待つのが得策とも思いません。
マンション選びは誠に難しい、そんな時期に当たっています。しかしながら、10年以内に売却する可能性があるなら、「より慎重に」物件選びをしなければなりません。
・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。
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