このブログは原則として10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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今日は、マンションの将来価値を考えるときの注意点について述べようと思います。大規模開発が街の将来価値のが向上につながると言うけれど・・・
大規模開発が街の価値を向上させる、そのことで購入マンションも価値がりする というロジック・・・マンション業者が、しばしば使う説明です。マンションの価値が高くなるかどうか、それは別の観点からも検討しなければなりません。実は、そんな単純なものではないのです。言い換えましょう。「駅前で200戸や300戸程度のマンションを1棟か2棟建てた程度では街の価値が大きく上昇するものではない」のです。
何より、分譲価格が高すぎる事例が多いことも、この論理を後押しします。
まず、近年、大きく価値の向上が見られる街を挙げて考えてみましょう。
武蔵小杉の例・白金の例
分かりやすいのは、大型タワーマンションが10棟以上もある武蔵小杉駅エリアです。これらが、10年~15年の間に街を大きく変貌させたからです。10年余の間に、平均300戸として3000戸、1戸平均2人~3人の家族として計算すると7500人も人口が増えた計算ですが、これらの大半が東京を含む他地域から移住して来ました。
武蔵小杉は空地(駐車場など)が目立つエリアであったことから、近隣住人が多数購入したとは考えにくいからです。
同じように急発展したエリアは東京の港区、白金台~白金エリアも挙げられそうです。
白金は、意外に思われる人もあると思いますが、百年も前から高級住宅街だったわけではありません。昔は町工場も点在していたのです。
今では好適な住環境を持つ土地として知られていますが、バブル景気後半頃より洒落たレストランやカフェ、ブティックが目立ち始め、それらに伴い高級マンションが建つようになり、近年は高所得の住民が増加しているのです。
いわゆる、高級住宅街として知られるようになり、一部の女性住民がマスコミにより「シロガネーゼ」として取り上げられたことでも知られます。また、白金台のほうが高台なのでより高級イメージがあると言われます。さらには、隣接している高輪の方が上皇様のお住まいもあり、もっと高級です・・・こんな声も耳にします。
マンションは、ある程度の広さが必要ですから、個人宅などではなく、学校跡地や工場跡地が恰好の建設用地になるものです。白金・白金台には、高級ホテルなど歴史的な建造物も点在していますが、軽工場も少なくなかったようです。これらがマンション用地に転用されて、街並みは一段と美しく変貌を遂げて来たと言えるかもしれません。
大型の高層マンションが建てられると、街の景色は一変します。大型開発の場合は、敷地の外周部に公園を設けたりしますから、街の形まで変えてしまうからです。
マンション開発向きの大きな用地の取得は困難になった
マンション開発に向く大きな空地は、東京都区部や周辺地区には残っていないと言われます。マンション建設に向く敷地は、少なくとも500㎡以上の広さが必要です。 そんな土地で個人宅というのは高級住宅地に僅かに残っているものの、マンション建設には不向きです。高さの制限、建蔽率や容積率などの制限が厳しいため、小型マンションしか建てられないからです。小型マンションは非効率で、採算的にも魅力的とは言えません。いきおい、マンション開発は、これらの規制が緩い商業地域などに集中するのです。
商業地では、敷地面積が500㎡しかなくても、容積率が500%あれば2500㎡の建物が建設可能となります。単純計算で、平均50㎡のマンションを設計すれば、50戸近い分譲マンションになりえるのです。
近年(この2015年以降)、マンション業者が大型の敷地を獲得できる確率は大幅に低下しています。比較的大きな敷地として期待される大企業の社宅や寮の跡地が残っていないからです。
工場跡地も都心や準都心、あるいは駅に近いものはなくなってしまったようです。小規模工場が廃業する例は今も続いていますが、利便性は高くても環境の問題があったりします。このため、マンション用地としては不適格と認定されてしまうのです。
広い敷地を獲得する方法は?
狭い敷地ばかりが並ぶエリアでも、複数の敷地をまとめて買収できれば広い敷地にすることが可能です。しかし、複数の地主の合意形成は一筋縄にはいきません。長い時間がかかるのです。結局、先述のように社宅跡地や工場跡地など、広い敷地の単一所有者から購入する策が早道ということになります。高輪や武蔵小杉以外では、豊洲(江東区)や月島~勝どき(中央区)が有名です。
これらの地域には工場はなくても倉庫が立ち並んでいたりするので、その移転による売却事例がたまに出てくるのです。
街の発展が期待できるエリアはもうないのか?
しかし、マンション開発向きの社宅や工場跡地も枯渇したと言われます。武蔵小杉のように短期間に多数の大型用地が確保できる地域はもう残っていないのです。郊外に行けば、売地は見られるようですが、郊外は需要の減少のためデベロッパーが開発に積極的ではありません。事業継続のために、多少の懸念があっても郊外の開発に手を伸ばすデベロッパーも存在しますが、郊外はリスクが高いので積極的にはなれないようです。
人口減少、単身者増でマンションの需要構造は変わりつつあります。コロナ問題が、郊外移住の動きを助長しているとも聞きますが、一部の動きとしては否定できないものの、大きなうねりになっているとは言いがたいのです。
賃貸も含めれば、郊外移住の動きを軽視はできませんが、購入層の動きを見る限り、大きな市場変化が起きているとは言えないと見ています。
少なくとも負けないマンションの選び方は?
では、どこでどんなマンションを選んだらいいのでしょうか?この10年を振り返ると、どんなマンションを選んでも大損はしなかったという声が多いはずです。みんなで喜んだのです。しかし、これからはそうは行かないはずです。優勝劣敗のときなのです。選び方を誤ると、大きな損を被るかもしれません。そこで、今後は最高のマンションを選ぶことができなくても、負けないマンションを選ぶことが求められると言えましょう。
つまり、街の人気を大きく好転させるほどの大規模開発が行われる可能性の高いエリアは残っていないのです。繰り返しになりますが、200戸や300戸のマンションを1棟や2棟建てても、その街のイメージを大きく好転させるわけではありません。
ピンポイントで見れば、大型開発が街並みを変えてくれることでしょうし、狭域圏での競争力の高いマンションになると言えるでしょう。しかしながら、それを街ぐるみの発展と勘違いしてはなりません。
狭い地域内での競争力は高くても、他の地域から多くの需要を集めることができる求心力になるかどうかは疑問が残ると見ておくべきなのです。つまり、期待度は意外に小さい、そう思っておくことが安全です。
さらに付け加えておくと、大型開発は多くが高値で分譲されます。そのレベルは、しばしば10年先の先取り価格であったりするのです。
以上を踏まえて、今日の最後は「負けないマンション選び」その最低条件を短くお伝えすることにします。
★第一は何より立地条件です・・・都心が良いことは言うまでもありませんが、勤務先が東京都にあるとは限りません。東京以外に職場を持つ人にとっては、東京以外の都市の方が都合の良い人も少なくないはずです。
しかしながら、東京都内に勤務する人が圧倒的に多いのは今も現実です。その観点では、マンション需要の総量は東京都心・準都心のエリアが多いため、マンションの価値判断も郊外より都心・準都心が強いと言えます。これは今後も変わらないと言えましょう。東京以外の場合も、その地域なりの便利な都心・準都心を選ぶことが重要です。
どのエリアを選択するにしても、首都圏の場合、価値あるマンションの立地条件にバス便はあり得ません。また、環境条件も加わることでしょう。買物便の良さも軽視できません。
★第二は建物価値です・・・小規模で貧相な外観を好む人は少ないはずです。間取りの良さや設備の充実度なども加わるでしょう。
また、立地条件とも密接な関係にあるのが眺望価値です。バルコニー方向に隣地の建物が迫っているものより、開放的なものが良いはずです。同じ意味で、遠くまで見渡せる上層階の方が1階や2階などの低層部より価値は高い、すなわち高値で買い手がつくものです。
間取りも、狭いものより広く、かつ使い勝手の良いレイアウトやバルコニー面に3室が並ぶ形の方が高値で売れるものです。南北両面にバルコニーが付いて、個室の前に外廊下がないタイプは一段と人気があり、価格も上方に振れるものです。
・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。
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