マン点流!不都合な真実を解説(供給過剰)

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マスメディアが新築マンションの供給過剰問題を伝えていないという話。

【もくじ】
マスメディアが伝えない新築マンションの供給過剰問題
マスメディアは”スポンサー・ファースト”?
供給過剰でもマンションを作り続けるデベロッパー
マン点流!不都合な真実を解説シリーズ
おまけ


マスメディアが伝えない新築マンションの供給過剰問題

10年後に世帯数が減少に転じるというのに、そんなことはお構いなしに、首都圏(1都3県)では新築マンションがドンドン供給されている。
すでに供給過剰状態だと思うのだが、そのことに警鐘を鳴らす人は多くない。

世帯数のデータを扱っているのは総務省だし、新築マンションの供給は国土交通省の所管というタテ割り。
そもそも国交省は、経済刺激策としての新築マンション供給の旗振り役だ。
学識者にしても、新築マンション過剰供給問題を提言するインセンティブが働かない。研究テーマとして取り扱うための研究費のよりどころが限られているからだ。
マスメディアは、大口スポンサーである不動産業界に対してモノが言いにくそうだ。

1973年以降の首都圏(1都3県)の「世帯数」と「新築マンション供給戸数」の推移を示したのが次のグラフ。

世帯数と新築マンション供給戸数(1都3県)
バブル崩壊からリーマンショックまでの十数年間の供給戸数が、いかに異常であったかがよく分かる。

過去40年間右肩上がりであった世帯数が2025年をピークに減少に転じる。
今後は世帯数が頭打ちどころか減少に転じることから、新築マンションの供給戸数(超高層マンションを含む)が伸びないことは、グラフから誰の目にも明らかだろう。
ちなみに超高層マンションの供給戸数の増加は、非超高層マンションの需要を食いつぶすだけなので、こちらの伸びも自ずと限界がある。

※首都圏(1都3県)の世帯数について、過去データは総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査データ」を、将来推定データは国立社会保障・人口問題研究所が2014年4月11日に公表したデータを用いた。

※首都圏(1都3県)の新築マンションの供給戸数データとしては不動産経済研究所が2013年10月7日に発表した「全国マンション市場40年史」データを、超高層マンション供給戸数は同研究所が2013年5月9日に発表したデータを用いた。

マスメディアは”スポンサー・ファースト”?

大手紙には、不動産経済研究所が毎月発表している「首都圏のマンション市場動向」をなぞっただけの、小さな囲み記事は掲載されているが、いま不動産市場で何が起こっているのか、深掘りした分析は見当たらない。

空き家問題を報じることはあっても、その反対側にあるマンションの過剰供給問題を伝えていないのは、大口スポンサーのことが気になるからなのか?

大手紙の記者は、不動産市場に潜む様々な問題をえぐり出すような鋭い分析記事が書けない(書かせてもらえない)のではないのかと思ってしまう。

朝日新聞の場合は、社長自らが「中期経営計画」説明会で、新たな収益源のひとつに「不動産売上高の増大」を掲げている。

朝日新聞社の収益構造を調べてみると、同社は新聞出版事業者というよりも不動産屋であることが分かる(次図)。

利益額でみると、新聞出版事業の変動が大きいが、賃貸事業のほうは3年連続で増加し、2016年3月期には40億円を超えている。

また、利益率でみると、新聞出版事業が1%前後で推移しているのに対して、賃貸事業のほうは2年連続で増加し、2016年3月期では24%に達している。

セグメント別の利益額・利益率(朝日新聞)

朝日新聞は”読者ファースト”か?」より

「ペンは剣よりも強し」ではなく、「不動産はペンよりも強し」

賃貸事業で稼いで言論の自由を確保するという、朝日新聞社の収益構造では、不動産問題に鋭いメスを入れにくかろう。

供給過剰でもマンションを作り続けるデベロッパー

新築マンションが既に供給過剰状態にあるのに、こんなにマンションを作って、どないすんねん。

将来の空き家が増えるばかりやないか。

より良い日本の住環境を実現することよりも、会社が存在し続けるために、マンションを作り続けるデベロッパー。

まるで泳ぐのをやめると死んでしまう回遊魚のマグロに似ていないか。

これからは、「「箱の産業」から「場の産業」へ向かう不動産ストックビジネス」への転換が求められている。

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おまけ

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一級建築士/マンションアナリスト/長寿ブロガー(19年超)

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