SUUMO新築マンション首都圏版の特集記事のタイトル。毎回、あまり代り映えしないように思われるかもしれないが、以前に比べるとずいぶんと変わっていることをご存じだろうか。
過去12年分(11~21年度)(472冊)の特集記事のタイトルをテキストマイニングしてみた。
SUUMO特集記事タイトル、過去12年分をテキストマイニング
特集記事のタイトルとは、SUUMOの表紙にデカデカと書かれている次のようなキャッチコピーのことだ。- (22年4月12日号)ねこ&いぬetc.と暮らす家
- (22年4月26日号)首都圏TOP100 お買い得な街 ランキング
- (22年5月10日号)リビング空間 Style Book
- (22年5月24日号)東京23区の名店 絶品パン 美味しい街
(筆者のSUUMOコレクション)
過去12年間(11~21年度)で、どのように変わってきたのか?
特集記事のタイトルとはいえ、膨大な文章データである。どのようにすれば効率的に料理できるのか。
じつは、フリーソフト「KH Coder」を利用したテキストマイニングで分析が可能なのだ。「KH Coder」を使うことで、文章を単語や文節で区切り、それらの出現回数や出現傾向などを解析することができるからだ。
調査対象は、「SUUMO新築マンション(首都圏版)」の11年度(4月5日号~)から22年度(~5月24日号まで)、12年分(472冊)とした。
19年度以降、おカネにまつわる言葉はランキング外
「KH Coder」を使って、年度ごとに抽出した特徴のある言葉(以下、「特徴語」)のうち、上位10語を次表に示す。ザックリ言えば、11~14年度は、「年収別」や「お金」、「価格」や「額」といった、おカネにまつわる言葉が上位を占めている。15年度から18年度に向かうにつれて、おカネにまつわる言葉が下位になっている。19年度以降は、おカネにまつわる言葉がランキング外となった。
特集記事は「おカネ」から「住む場所」に変化
対応分析(コレスポンデンス分析)手法を駆使して、特徴語の上位60語を可視化することで、特集記事タイトルの変遷を読み解くことができる。対応分析結果の解釈の仕方は様々だ。横軸・縦軸の意味をどのように解釈するかが分析者の腕の見せ所。特徴語の上位60語の分布をにらみ、エイヤっと横軸と縦軸の持つ意味をそれぞれ、「価値観(おカネ←→住む場所)」「評価の視点(抽象的←→具体的)」と解釈したのがマン点流(次図)。
- 11~16年度(図の左側)は、「おカネ」にまつわる特集記事が多かったことが分かる。
- 17年度以降(図の右側)は、「おカネ」にまつわる特集記事は減少し、「住む場所」にまつわる特集記事に変っていった(マンション価格が高騰し庶民には手も足も出なくなり始めた時期と符合している)。
注釈
- 円の大きさは、各言葉の出現頻度の多さを表す。
- 赤い数字は年度を表す。
- 原点(0,0)から見て、各年度の方向にある言葉で、かつ原点から離れているほど特徴的な言葉であることを示している。
さらに、共起ネットワーク分析をやってみた。この分析によって、どんな言葉が多く出てきていて、どの言葉とどの言葉が一緒に使われているのかを探ることができる。
特徴語上位60語を対象に、共起ネットワーク分析した結果を次図に示す(円が大きいほど出現回数が多く、線が太いほど関係性が高いことを表している)。
色で分けられたネットワークの言葉を見て、筆者がエイヤっと付けた見出しは、「おカネの話題」「街の話題」「間取りの話題」。
円の大きさは「特徴語」の頻度の大きさを表すことから、特集記事は過去12年間、「おカネの話題」を数多く取り上げている一方で、マンション本体の「間取りの話題」についてはあまり取り上げていないということが分かる。
まとめ
過去12年分(11~21年度)(472冊)の特集記事のタイトルをテキストマイニングした結果、以下が可視化された。- 11~16年度は「おカネ」にまつわる特集記事が多かったが、17年度以降は「おカネ」にまつわる特集記事は減少し、「住む場所」にまつわる特集記事に変っていった(マンション価格が高騰し庶民には手も足も出なくなり始めた時期と符合している)。
コメントを残す