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★このブログは、マンション購入と売却、どちらにも役立つ知識・情報を提供するものです。
居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」 を展開しております。
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間違いないマンション選び、マンションの価値判断といった観点で第三者の意見に耳を傾けることは意義があります。最終的には自己判断、自己責任であるとしても、他人の意見を聞いてみることは無駄ではありません。筆者も、「マンション購入アドバイザー」を始めてから10年余、不動産会社勤務時代を含めると、長くマンションとの関わりを持ち続けてきましたが、立場によって見方が変わり、意見表明の範囲も制限されるものであることを実感して来た一人です。
個人向けアドバイザーとなって来た過程で苦しんだのは、長年マンション業界に世話になって来た自分が、まるでマンション業者を敵対視するかのような発言をしてしまうことでした。
ときに「この物件は高すぎる」とコメントしたり、「この物件には付加価値がなさすぎる」、「将来の売却価値は20%ダウンだ」などと報告書に書き込んだりすることに抵抗を覚えたこともありました。
しかし、それも5000件以上のレポートを作成して来た過程で、すっかり消え失せました。第三者の意見を求める声がこんなにも多いのだという実感が、背中を押してくれたからです。
さて、今日はマンション探しの過程で陥りやすい罠について語ろうと思います。
営業マンのクセ・その1・・都合の悪いことには触れない
ウソは言わないが、ダンマリが多い、言い換えると、都合の悪いことは口をつぐむ、それが営業マンのクセです。「マンションという商品には不都合な真実が多い」と言った人がありました。マンションに限りませんが、売り手と買い手の立場の違いがあるからだと説明してくれた人もありました。
天井高が問題のマンション。その事実を知っていても、営業マンは「天井が低い残念なマンションです」、などとは口が裂けても言わないものです。
買い手から「天井高が低くありませんヵ?」と問われれば、「いいえ、普通です」で乗り切るでしょうし、「この洋室は暗いですねえ」と投げかけたら、「廊下側の部屋は、どうしてもこうなるのです」とかわすでしょう。
事実を指摘されれば、否定できないのであっさりと認めますが、気付かずに通り過ぎてほしいと願っているのも一方の事実です。
説明しなければならない重要事項14項目は、法が定めており、それ以外の事実についても後のトラブル防止のため、どこかに記述があるものです。
【取引物件に関する事項】
(1)登記記録に記録された事項
(2)法令に基づく制限の概要
(3)私道に関する負担に関する事項
(4)飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況
(5)宅地造成または建物建築の工事完了前であるときは、完了時における形状・構造等
(6)建物が既存の建物であるときは、建物状況調査の概要等
(7)区分所有建物の場合の敷地に関する権利、共用部分に関する規約等の定めなどに関する事項
【取引条件に関する事項】
(1)代金、交換差金および借賃以外に授受される金銭に関する事項
(2)契約の解除に関する事項
(3)損害賠償額の予定または違約金に関する事項
(4)手付金等の保全措置の概要(不動産会社が自ら売主になる場合)
(5)支払金または預り金の保全措置の概要
(6)金銭の貸借のあっせんに関する事項
(7)担保責任の履行に関する措置の概要
重要事項説明書に加えて、「売買契約書」と「管理委託契約書」及び「管理規約」もあります。
これら何万字もの契約関係書類は、それを読み上げるだけでも数時間を要します。それを省略して契約書に署名捺印させるようなことはできません。
長時間の説明は聞くだけでも疲労します。そのため、注意力が散漫になり、肝心な点をスルーしてしまったりする人もあるようです。
聞いていなかったなどと後日アピールしても、よく見ていなかったあなたが悪いと言われかねません。図面を見ることに慣れていない買い手の多くは、「図示してあるでしょ」などと言われても、「えつ、そうだった?どこ?」と慌てるに違いありません。
まあ、「争っても勝ち目はない」と言わざるを得ないのです。
そんな事態に陥らないようにするには、意思決定の前にパンフレットや図面集の隅々まで読み込むことが必須です。
営業マンのクセ・その2・・・長所・美点のみを強調する
営業マンは、長所・美点・利点を強調せよ。そうすることによって短所・欠点を覆いことが隠すことができる・・・このように指導されます。「あばたも笑窪」、「美点は欠点を隠す」ということでしょうか?
そのうえ、「鉄は熱いうちに打て」とも教わるようで、売買契約までのスケジュールも短い設定にしてしまうと聞きます。
100点満点のマンションはないのです。最高だと自賛することができる物件であっても、惚れた物件ゆえに弱点に気づかないか、気づいていても自らそこを否定しようとする心理が働きます。
冷静になれと誰かにアドバイスされても、それを否定してしまい、罠から抜けようとはしないのです。
こうした状況を避けるために競合する物件の見学を勧める人もあるようですが、筆者には逆効果に思えて仕方ありません。
その3・・・不確かなことは語らない
不確かことを口にするとクレーム、トラブルにつながるからと、ダンマリを決め込むのも営業マンの態度のようです。調べてから説明するのは当然、その場で答えられないときは曖昧にしないことが大事なのです。「お調べしてから」、または「・・・のはずですが、確認してからお知らせします」というのが良いはずです。
最悪なのは、「適当に答える」、「知ったかぶりの発言をする」ことです。しかし、中には「いい加減な担当者」も現実に存在するようです。
その4・・・証拠は決して残さない
不動産業はクレーム産業などと言われた時代の名残りなのでしょうか?重要な部分以外、証拠となるようなものは残さないのが常識のようです。「言った、言わない」の問題は、争いになっても負けないからと高をくくっているのかもしれません。買い手の対抗策は、証拠となるものを残しておくほかありません。携帯電話の録音機能を使えば、苦労することなく証拠の音声を残すことができます。
罠にはまると抜け出せなくなる
自分にも購入できる、こんな素敵なマンションに住めるのだ・・・こんなふうに思った瞬間、矢も楯もたまらずに購入手続きに走ってしまう人は少なくないようです。「惚れたらあばたも笑窪」に似て、言われるがまま購入手続きに走ってしまう人もあるのです。自分は違うと自ら否定する人の中にも、同じタイプの人が見られます。
一度、嵌ってしまった罠ははずせないようで、優秀な営業マンの手にかかると、あっという間に売買契約の手続きまで進んでしまうようです。
筆者に助けを求めて来た人たちも少なくはありませんが、相手に不法行為がない限り、売買契約書に調印してしまってからでは手遅れになりかねません。
そんなことにならないようにするには、筆者へご相談なさりたいときは、売買契約の締結前夜までにご連絡いただくことが必須です。
法的レベルで戦っても個人は勝てない
その昔、不動産業はクレーム産業と言われていました。買い手と売り手の争いは絶え間なく続き、不動産業のイメージは長く低迷していたようです。猛省した業界は、苦情の撲滅に取り組もうとしたのです。買い手・消費者からの苦情が出ないように業界としての取引の統一ルールを定め、少なくとも書類上には、買主からクレームが持ち込まれても負けない対抗策も完備していると言えます。
買い手が「聞いていない」と叫んでも、「重要事項説明書の第〇条に明示されています」と反論されてしまうのです。
宅地建物取引業法の第35条に、売買契約締結の前に書面を提示して説明をしなければならないことになっていますから、それを省いて売買契約を強要することはありません。つまり、「聞いていなかった」は通らないのです。
チェックポイントを確認しておこう
マンションの価値を決める指標は何でしょうか?- 立地条件(利便性と環境。地域イメージ・マクロ的な人気度)、
- スケール(存在感)、
- 外観・玄関・空間デザイン、
- 建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、
- ブランド、
- 管理体制
- 価格
1.立地条件
1~7の中で一番比重が高いのは立地条件です。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かなのです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の悪さを補うことはできません2.建物スケール
少なくとも50戸以上の規模が求められます。小さい建物は存在感に欠けるきらいがあるからです。また、小さ過ぎると管理費が割高になるか、管理内容が悪くなるためでもあります。さらに、一定の規模がないと共用スペースも貧弱になって豪華さを醸し出すのが難しいことも挙げておきましょう。
共用施設は、建物規模が大きいほど様々な利便施設や癒しの空間を設けることが可能になりますが、小規模マンションでは集会室(談話室・雨天こども遊技場など)すら用意できないからです。
3.外観デザイン
外から見て他人が羨むようなものであるかどうかも大事なポイントです。価値の源泉とも言える要素です。どのようなデザインが良いかの法則はありませんが、抽象的な表現を使うと、「格好がいい」、「豪華絢爛な雰囲気」、「個性的で異彩を放つ」、「上質・高級な感じ」、「美術館や博物館みたい」、「高級ホテルのようだ」などです。
4.建物全体プラン
共用施設・設備の装備内容や耐久性・耐震性の高い構造かどうか等で市場価値は変わります。専有部分に関しては、向き、階数、間取り、設備・仕様などから判断されます。
これらをひとくくりにしたのは、それぞれの項目の価値が持つシェアは高くないからです。
5.ブランド力
有名業者が売主、または大手ゼネコン施工の物件・・・・・これは第4位に繰り上げたいほどですが、ブランドイメージにふさわしくない物件も見かけるので5番目としました。ただ、ブランド価値も築30年を超えた辺りから価値判断には関係がなくなる傾向も見られます。
6.管理体制
建物規模と密接な関係になるのが管理人の勤務態勢で、最も懸念されるのが巡回管理という管理人不在マンションです。小規模マンションに多い管理方式で、いわば取締り(番人)がいないマンションはルール違反者が増え、秩序の乱れが常態化してしまうのです。マンションは管理を買えと言われるほど重要な管理は、管理人がいればそれで良しといった単純なものではないものの、少なくとも週5日以上、1日5時間以上はマンション内に滞在し、目配りをすることが必須なのです。
長期的なメンテナンスをいかに実行していくかも資産価値の維持の観点では最も重要な項目と言ってもよいのです。築20年くらいまでは、どのマンションも見た目で差は現れにくいのですが、その先は徐々に格差が広がって行きます。
従って、中古マンションを検討するときは優先順位が第6位ではなく、第2位に繰り上がると考えなければなりません。
7.価格
どれほど良い立地にあっても、どれほど立派な建物であっても、その価値に見合う価格なのかどうかが問題です。多くの買い手は、その判断に苦労するようです。同駅圏または同エリアの物件と比べたりしてみるものの、比較判断は簡単ではないからです。立地も良いと感じる、建物も悪くないと思う。価格は少し高い気もするが確証は持てない・・・・・このように話す買い手が多いのです。
中古物件の場合では、同じマンションの別の住戸が同時に売り出されている時があり、比較的わかりやすいのですが、どちらも高値で売り出されていることも少なくないので、絶対指標ではありません。
同じ駅だが駅からの距離の差で3分近い検討物件が、仮に500万円高い場合でも検討物件に軍配が上がることもあれば、その逆もあり、価値判断は一筋縄には行きません。
ただ、駅に近い物件に軍配が上がることが多いのも事実です。とはいえ、都心の場合は逆になることもあります。交通便が良い都心・準都心の物件は駅からの距離の差異は五十歩百歩と見なされるからです。
立地条件の差がもたらす物件価値の差、そしてその価格差をどう見るか。これを抽象的に説明することはできません・・・・・具体の物件を提示して説明するほかないので、ぜひ当職の「マンション評価サービス」をお試しいただければと思います。
「その他のチェック項目」
上記7点以外にも価値を左右する要素があります。補足項目として挙げておきます。- 築年数と耐震性 (1983年以降の竣工物件かどうか=1981年以降の建築許可物件か?)・・・・・築30年クラスの中古は検討対象外と決めている人が多いものの、昨今の価格高騰からか、古い物件に流される検討者も多いので敢えて取り上げました。 旧・耐震基準で建てられた物件は避けたいものです。
- 修繕履歴 (大規模修繕がいつ行われたか。その範囲は?)・・・・・中古物件の場合ですが、直近では何年前に実施されたか、その前はいつ実施されたかをチェックしておきましょう。
- 管理費・修繕積立金は高いか安いか? 高い理由・安い理由は? ・・・・・管理費は1㎡当たり首都圏平均の@235円より高いかどうか、管理体制に問題がないかどうか。高いけれども管理人が週に6日、8時から16時まで勤務している、反対に、安いように見えるが、巡回管理体制の物件であ・・・こうした点を把握しておかなければなりません。
- 広さ・間取りは10年住んで行ける広さがあるか? 主寝室のプライバシーは問題ないか?家具配置はどうか?・・・・・家族数によっては60㎡でも十分という買い手さんもあるでしょうし、子供の数、その年齢によっては70㎡でも不満足ということもあるでしょう。10年ではなく、15年、20年住み続けることになると予想できる買い手の場合では、子供が2人いて、男女差があるという場合の希望の広さ・間取りは変わるはずです。
- リフォーム費用 ・・・・・どこをリフォームすべきか?設備機器は交換を要するか、間仕切りの変更を要するかどうかなどでリフォーム代は大きく変わります。
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将来価値(リセールバリュー:RV)を決定する要素は、上記の通りですが、この中で一番比重が高いのは第1に挙げた「立地条件」です。建物がどれほど立派でも、また、ブランド力の高い物件でも、立地の不利を補いきれるものではないのです。また、分かりやすいキャッチフレーズで特徴を表せる物件が良いとも言えます。例えば、「駅近」、「南向き」、「眺望良好」。「大規模〇〇階建てタワー」、「大手分譲」、「〇〇畳の広々リビング」、「最新設備満載」などです。
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