このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています。
(23区の2004年:39,147戸・2005年:31,025戸→→→2011年:19,410戸、2012年:19,398戸、2013年:28,340戸、2014年:20,774戸、2015年:18,472戸)今年も昨年を下回るペースです。
これは、いずれ築浅マンションの流通戸数が低水準になることを予想させるデータです。
どうしてこんなに減ってしまったのでしょうか?理由は二つと考えられています。
ひとつは、中小デベロッパーの減少です。つまり、作り手がいなくなったのです。
2008年秋に起きた「リーマンショック」は世界金融危機と世界同時不況を招きました。
日本も例外ではなく、百年に一度の不景気が来るとの危機感が広がり、とりわけ金融機関はバブル崩壊の過程で巨額の不良債権を抱えてしまった経験から、守りの姿勢を強めました。
その影響を最も強く受けたのが不動産業者とゼネコンで、負債比率の高い中小業者が破たんに追い込まれました。
マンション供給戸数で一度は大手「大京」を抜いて全国一位になった穴吹工務店を筆頭に個性派のマンション業者が、株式上場企業も含めて続々と銀行から資金を止められ、経営危機に陥ったのです。
「大手は大規模マンション」を、「中小は大手が手を出さないエリア」と「中規模以下のマンションを」と、住み分けしていた業界でしたが、そのバランスが大きく崩れました。中小業者が供給を担ってきた分がごっそりと減ったのです。
理由の二番目は、用地の取得ができなくっていることにあります。
良い土地が中々ないと嘆きながらも用地を確保し、マンション供給を続けていた業者に順風が吹いた時期がありました。
地価の右肩上がりが何十年も続いた日本では、土地を取得したら手放さないで抱え込むことが含み経営のメリットであり根幹をなすものと考えられて来ましたが、バブル崩壊後の地価下落過程で、右肩上がりの土地神話が崩壊し、並行して会計基準が国際化されたとなどによって、法人・団体は一斉に土地を放出し出したからです。
社宅、グラウンド、工場、倉庫、資材置き場、学校など、垂涎の土地が次々とマンション業者の手に渡りました。その結果、バブル期には殆んど途絶えていた(参考:1991年の首都圏の新規発売戸数26,248戸)と言って過言でない新築マンションが息を吹き返したように次々と開発され、市場に送り出されたのです。
2000年からリーマンショック前年の2007年までの年間供給戸数は、平均80,000戸を超えることとなりました。首都圏の年間需要は50,000戸くらいと言われていましたが、バブル期の供給不足がウエイティング需要を蓄積させていたので供給過多とならず、爆発的な売れ行きをもたらしたのです。
ところが、その後は地価の高騰もあってマンション用地は極端に減少しました。企業のリストラ(土地の置き換え・単純放出)が一巡してしまったのです。特に大規模敷地は湾岸エリアに限られてしまったかのようです。
供給が減っても、需要も減ればバランスするわけですが、最近数年の40,000戸台の供給戸数に対して需要はどのくらいあるのでしょうか?
この答えとなる適切なデータは見当たりません。しかし、市場実感として言えるのは、今も50,000戸以上はあるということです。
超長期で見れば、人口の減少が住宅需要の減少をもたらすことは間違いないですが、首都圏、とりわけ東京都区部は減少スピードが遅いと考えられています。最近の人口動態を見ると全国の傾向とは逆の増加傾向にあります。
こうした背景を睨みながら考察して行くと、向こう10年程度で需要が2割も3割も減ってしまうことはないでしょう。しばらくは50,000戸程度の需要はあると見てよいのです。まあ、減っても40,000戸くらいは維持できるはずです。
冒頭で「今後の中古市場は築浅中古の流通戸数が少なくなる」と述べましたが、新築が中古の足りない分を補うように多数供給されたらバランスするかもしれませんね。しかし、そうはならないでしょう。
中小マンション業者というプレイヤーが育つ、つまり新興デベロッパーが台頭して来る可能性もゼロではありませんが、多くはないと思います。では、大手が中小デベロッパーの領域へ進出しないのでしょうか?
ないとは言えません。今も、個別の物件を見て行くと、「大手がこんな小さな物件を、しかも都心でもない場所で開発している」ことに気付きます。土地のない都心では、狭小敷地にも大手は積極的です。
しかし、「イケイケどんどん」ということでもないのです。事業効率を考えたら、1件のプロジェクト規模は大きいほど良いので、小規模は敬遠する傾向があるからです。
新築はさほど増えない、中古も少なくなる、反対の需要量は大きく減らないとしたら、築浅の中古マンションは高めの価格で取引される可能性が高くなるに違いありません。
これには二つの意味があると考えられます。
ひとつは、最近高値で購入した物件も価格調整期が来たとき、値下がりしたとしても失望するレベルには落ちないという期待が持てるということです。
もうひとつは、これから購入する人にとって「中古は安い」という常識は通用しなくなるということです。
ここまで述べたことは、あくまでマクロ的な見方です。マクロ市場とは別に、都区部とか反対の郊外などと特定エリア、もしくは個別の物件単位では違った傾向を見せるはずです。
価格に影響を与えるのは、マクロ市場もさることながらエリア特性も大きな要素なのです。さらに、物件固有の条件も加わります。
マクロ市場では中古マンション、すなわち購入したマンションが値下がりしにくいのだとしても、地域格差がありますし、物件の競争力による格差もとりわけ大きいのだと覚えておかなければなりません。
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