第359回 「物件探しで迷うことは?」

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居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」を展開しております。


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  • 物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ)
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今日は、購入検討者のお迷いのいろいろの中から、

*転勤のある人の買い方のコツ、

*ローン返済に困ったらどうすればいいの、

*マンションの効率的な探し方・・・・・などについてご紹介します。

 

転勤が多い人のマンション購入術

2、3年おきに転勤があるために、中々マイホーム取得に踏み切れないという人は少なくないようです。どう考えればいいのでしょうか。

転勤の多い人はマイホーム取得が遅れがちで、気付いたときは、40代。ローンを長く組めば完済年齢が80歳近い。短く組めば、月々の負担が大き過ぎる。やはり早く買うべきだった・・・このような先輩の声を聞いて、悩む人も少なくないようです。

 

40代、収入は増えたものの、子供の教育費も増え、部下を持つ立場になっているため交際費も増えた・・・というわけで家計にゆとりはない。

また、社宅の家賃が安いから貯蓄は増えたかというと、さほどでもない。

「やっぱり、あの時思い切って買っておいたら良かった」などと、昔あったマイホーム取得のチャンスを生かせなかったことを後悔している先輩諸氏は少なくありません。

 

しかし、マイホームを買ったとたんに辞令が出て、一度も住まないまま転勤したという笑えない話もあるわけですから、なかなか決断しきれない人は多いものです。

そこで、以下のような考え方を推奨したいと思います。

①投資目的でマンションを所有したとします。そして、投資目的で購入したマンションに、ちょっとだけ住んでみようと考えるのです。

②投資目的だから、あまり欲張りな条件を設けないで購入します

(その方が、退去時の精神的ショックが小さくてすみます)

③投資目的だから、社宅よりは少しマシという程度の広さとします。

但し、立地条件だけはこだわることが重要です。貸しやすさを優先条件とします。

④転勤になったときは賃貸することにし、賃貸料で住宅ローンが賄えるような資金計画とします

(普通、この計算は頭金を1~2割くらい入れないと成り立たないケースもあります)

  これらの条件から導かれる選択条件は、「高く貸せる立地」そして「広過ぎない間取り・面積」です

 

投資目的とは、適当な時期に売却して老後の住まいづくりの資金にするという意味でもあります。

住宅ローンを完済したときに売却すると仮定すれば、売却代金がまるまる残るわけですが、その場合、よく考えてみると、投資した金額は、購入した時の頭金だけです。

(厳密に言えば、固定資産税などの支出もあるが、ローンの方は家賃でそっくり賄えるとしたら、負担はゼロに等しい)

 

ということは、売却代金が購入時の半額になってしまっても頭金が2割だったとすれば、2が5に増える計算となります。3割分が儲けです。

 

しかし、ローンの完済前に売る必要が出てくるかもしれません。そのときは、ローン残高以上の金額で売れない限り、預金から手出ししてローンの清算をすることが必要になります。

そのような事態にならないためにも、また、そうはならなかったとしても、売る必要が起きたとき、少しでも高く売れる自宅でありたいものです。

 

こうした点を考慮したとき、立地が最も重要な選択条件になります。

都心に便利、最寄り駅に徒歩5分、大型商業施設などが近くに揃っている、その割には自然環境もいい、といった稀少性をチェックしましょう。

 

それ以外には、維持管理が長期間、適切に行われることが期待できるマンションを選ぶことです。

具体的には、30戸以下の小型マンションは避けること。大手業者の物件。大手管理会社の物件・・・・などです。

 

投資目的ではあっても、夫婦二人になったときに住んでもいい広さ(狭すぎず、広過ぎず)を確保しておけば、「最後には帰る家があるという安心感」を持つこともできるでしょう。

仮に転勤続きのために長い間、住めない家だとしても、家があるというのは、大きな安心感につながるものです。

 

こうして考えてみると、やはり、若いうちにマンションを買ってしまうことは、意義深いものがあるのではないでしょうか。

 

ローン返済に困ったときの対処法

最近の世の中は、不安だらけ、先行き不透明。そんな印象が強いと言えるでしょう。とりわけ、企業にしがみついていれば安泰だった「終身雇用」も「年齢や経験とともに上昇する賃金」も当てにできなくなりました。

 

いつ首を言い渡されるか分からない、いつ会社が倒産してしまうかしれない。いつ外国人の上司の下で働かされることになるか分からない。いつ海外工場・支店・子会社に転勤を命ぜられるか分からない。そんな時代なのです。

 

そうした中でも、住宅・マンションを購入する人が多数いる。ある意味で敬服に値します。とはいえ、心配は尽きません。それでも購入に踏み切る人は、「先のことは分からないが、まあ何とかなるさ」と、35年もの長期ローンを組む。それも何千万円も。

――― 考えてみると、家を買う人は勇気があるものだなと、つくづく思います。自信があるから、そうするのでしょうか。

 

万一のことが起きたらどうするの、次にこの問題にについて触れておきましょう。

住宅ローンには、万一の場合(死亡や高度障害)に備えて、生命保険が付帯しています。この保険は、遺族に無借金の住まいを残してくれるものとなります。

 

しかし、困るのは大幅な収入減に見舞われたときや失業した場合です。つまり、返済が困難になったときの対策です。

その答えは、

1に「売却して賃貸に移る」です。

2は、「賃貸に移り、持ち家は賃貸する」。

3は、「銀行に交渉して返済を猶予(軽減)してもらう」が挙げられます。

 

3の「返済条件の変更」について紹介しておきましょう。

昔は、こんなものはありませんでした。やはり時代なのです。2010年頃から利用者が急増したようです。。

 

返済支援策は2種類あります。

1つは、返済期間を延長して毎月の返済額を減らす方法。ただし。完済年齢の上限は80歳までです。

もう1つは、返済期間は変えずに、数年間だけ毎月返済を減らす方法。この期間の元本返済を最大ゼロ、つまり利息だけの返済に変更してくれるというものです。

 

これを実行しても極端に毎月の負担が減るわけではありません。また、借入額が減るわけでもありません。単に先送りしただけのことです。このため、相談に行っても、やめてしまう人も多いらしいのです。

ともあれ、一時しのぎになることは間違いないでしょう。

 

一番の良策は、繰り上げ返済です。少しまとまった額を返済し、同時に期間も延長して毎月の返済額を減らすのです。期間の延長だけだと、たいしたことはありませんが、繰り上げ返済と絡めると、かなり大きく数字は変わります。

 

もっとも、日ごろから貯蓄をしていなければできない芸当です。また、収入がなくなったというようなときには、貯蓄を全部取り崩して住宅ローンの返済に充てるという行為は普通、選択しないでしょうから、まあ、貯蓄の半分だけにしておこう、などとなりましょう。とすれば、相当の額を貯蓄していないとならないことになります。

 

結局は、アリとキリギリスの寓話の、アリのような暮らしを日頃から心掛けることが大事ということになりましょうか。

 

維持管理次第でマンションの寿命は変わる

マンションの寿命は、管理の良し悪しで変わります。 管理が良ければ、50年以上は全く問題なく存続し、快適に住み続けられるのです。

マンションの構造体・コンクリート躯体に限れば、適切なメンテナンスをしていくことで100年は持つと言われます。

 

躯体以外、すなわちエレベーターを代表とする設備、給排水管などはもっと寿命が短いので、それらの交換や修理をしながら、という前提条件は付きますが、マンション全体の寿命は50年以上あると考えてよいのです。

 

反対に、管理が悪いと、スラム化してしまうことも考えられます。管理が悪いという意味は、日常のメンテナンスをはじめ、10年、15年の周期で実行しなければならない大規模修繕がタイムリーに行なわれないで建物が傷んでしまうということです。

 

そのために居住性が悪化して転居した所有者が賃貸に出し、そのことがますますスラム化を進行させます。賃貸住戸の居住者は、自分のものでないから大切に扱わない傾向が強いためです。

 

また、転居した所有者も、自己の資産であるにも関わらず、居住していないからか維持管理に対する意識が低下する傾向を見せます。特に、修繕に追加費用が発生するとなると、消極さが一段と増すようです。

 

マンションの維持管理は、建物の老朽化を早くも遅くもさせてしまう、とても大事な仕事になるのです。

 

また、マンションの価値を左右するものとして環境変化が挙げられます。悪化要因の方のみ記せば、高速道路がそばを走ることになったとか、道路の幅員が拡張されて、交通量が増え、騒音と排気ガスが増えたといった例があります。

 

さらには、周辺で建て替えが進み、高層ビル、高層マンションが林立するようになったために、囲まれるような関係、閉塞感や圧迫感が強まってしまったため、価値を下げてしまうという例もあります。

 

では、マンションの最後はどうなるのでしょうか?

マンションが、人間の生活に適するものであるためには、コンクリートの躯体以外に、電気や水道、ガス、排水といった機能が残っている必要がありますが、これらの寿命はコンクリートよりはるかに短いのです。従って、これらのメンテナンスと交換などの措置が必須になります。

 

しかし、やがては部分的な修理では間に合わなくなって全部の造り替え、すなわち建て替えの必要が起きることでしょう。

 

これまでの例では、建て替えの時期は平均37年(国土交通省調べ)ですが、短いもので18年(公団の宇田アパート・東京都渋谷区)という例もあります。

この短さの原因は、高度成長時代に「質より量」優先で建てられたことにあるのです。早く言えば、先のことまで考えられていなかった粗悪なマンションが多かったためなのです。最近のマンションには、そうした粗悪なものは少ないと考えられますから、寿命はもっと長くなるでしょう。

 

ともあれ、いつか寿命がやってくることは間違いありません。

そのとき、マンションの権利関係はどうなるの?その費用は誰が支払うの?それとも、そのマンションに対する権利がなくなってしまうの? ―――このような疑問を持つ人もあるようです。

 

建て替えの必要が起こる状態のマンションは、居住性が相当悪化しており、所有者が賃貸している比率も高く、最悪の場合はスラム化している可能性もあります。

そうなると、建て替え計画は合意形成が困難です。所有者が高齢のため、建て替えのための諸事が面倒だから、このままそっとしておいて(建て替えは私があの世に行ってからにして)と反対する居住者も増えるでしょう。

 

マンションの建替えは、区分所有法によって所有者の5分の4以上が賛成しないとできないことと、住民の費用負担の問題などがあって、決議は相変わらず難しいのが実情です。

建て替えの実現までには長い年数がかかっています。たとえば、有名な「同潤会代官山アパート」の場合では、12年を要しています。

 

建て替えには、巨額の費用がかかります。これをどのようにしたのでしょうか? 再開発や総合設計などの手法で容積を大幅に増やして、「保留床」という財産を生み出し、それをデベロッパーに売ることで、建て替え費用に充てたのです。

 

容積とは、「敷地面積の〇〇%までの床面積の建築を許す」という都市計画法に定められた建築の要素ですが、東京都心の超高層ビルが建っているような地域は1000%、郊外の一戸建て住宅街は100%というように幅があります。

 

仮に、容積300%の地域に150%の範囲で建てられた老朽マンションがあったとします。そこに、限度の300%まで面積を増やして新しいマンションを建設すれば、増えた分を売却することで建設費を生みだす計算が成り立ちます。

 

小泉内閣時代に規制緩和政策の流れを汲んで、容積率も緩和されました。従来200%しかなかった場所が300%に増えたり、都心では様々な新制度を使って1000%の場所に1500%もの容積を認められたりしたケースすらあるのですが、今は停滞しています。

 

昔建てられた公団や公社のマンションには、容積緩和策がなくても、元々敷地利用にゆとりあるものが多かったのですが、民間マンションでは、こうしたゆとりの設計は皆無です。従って、床面積を増やすことができないと考えられます。

 

ということになれば、建て替える際には、一時金など莫大な金額の負担を強いられる可能性があります。

修繕積立金に、将来の建て替え費用までが織り込まれている物件はありませんから、建て替えの計画には、その費用が大きな障害になることは間違いないのです。

 

都市計画は、時々見直しが行われます。そして、容積率が変更されることもあります。マンションの分譲時に200%だった地域が300%の地域になるかもしれません。そうなれば、保留床が生まれ、建設費用の捻出は可能となります。

しかし、その逆もあるのです。結局、そのときになってみないと分からないわけです。

 

住宅の効率的な探し方を整理すると・・・

住宅を探すとき、最終決定までに何十か所も見学してようやく決める人がある一方、1件か2件見ただけで、あっさり決めてしまう人がいます。

熟慮型と衝動型とでも言えばよいでしょうか、それぞれに功罪があるようですが、ここではタイミングよく効率的に、できるだけ理想の住まいに到達するための方法について述べます。

 

①数をこなせばいいというものではない

様々な住宅を見て回ることは、知識を深め、目を肥やすことに役立ちます。

しかし、毎週休みのとびに見て回るというのは、忙しい人ほど現実的ではありません。これはという住まいが見つからなくて疲労してしまうこともありますし、購買意欲が薄れてしまうこともあるようです。

 

また、手が届かないモデルルームばかり見過ぎて、理想の住まいが残像となって邪魔し、現実的な段階になると決断が鈍るという人もあります。

 

②場所を変えて見学

「住めば都」と言われるように、知らない街でも住んでみると意外に馴染む街になることがあります。また、先入観から敬遠して来た場所も、現地に行ってみると意外な良さに気付くこともあります。

 

家探しは、住み慣れた場所から近い所で選択しようとする傾向がありますが、視点を変えてみたら、気に入るエリア・沿線が見つかることもあるのです。

 

③一戸建て・マンション・新築・中古の複数タイプを見学

近頃は、マンション価格で買える建売住宅も登場しています。豪華な造りではないものの、割り切ってマンションから建売住宅に方針変更する人も多いそうです。

また、新築マンションの供給が大幅に減少した最近、マンションを欲しくても買いたいものがないということから、中古マンションへ流れる買い手も増えつつあるようです。

 

今まで考えて来なかった対象も最初から検討してみてはいかがでしょうか。きっと、見えなかったメリットや美点を発見できるかもしれません。 無論、その反対もあるはずです。

 

④タイプの違うものを比較

マンションなら、小規模タイプや大規模タイプがありますし、低層と中高層、超高層もあります。一戸建てなら大規模開発のニュータウン物件とミニ開発と呼ばれる5~10棟くらいの小規模団地があります。

 

小規模マンションは、住宅街にひっそりと建ち、何となく落ち着いた暮らしを連想させるでしょうし、大規模マンションなら敷地内に公園・庭園があり、建物内部には様々な共用施設が用意され、また、コンシェルジュを置いて入居者サービスに当たるなどの付加価値もあることでしょう。

 

一戸建ての場合は、最寄り駅までの距離や勤務先まで遠いことに落胆するかもしれません。その反面、自然環境に恵まれた場所かもしれません。また、庭が広いことや駐車場の使用料、管理費がいらないことを喜ぶ結果になるかもしれません。

 

②  近くの類似物件を見学

これは、新築物件の場合ですが、同じエリア・同じ沿線のライバル同士、類似物件を見学することも理解を早めることに役立ちます。

ライバル同士は、相手を意識して自社の長所をアピールしますから、それによって互いの欠点が見えて来ます。

それぞれの長所、短所が価格にどう影響しているかも理解できるはずです。

 

⑥マンションなら完成済みと未完成物件を比較したい

マンションの工事が完成していれば、購入したい部屋を確認することができます。すなわち、眺望や日当たり、道路騒音などを実際に確かめることが可能ということです。

未完成マンションは、設備・仕様をモデルルームで確認することはできますが、眺望・日当たりは想像するしかないわけです。その代わり、オプションを付けたり、間仕切りの変更をする、収納スペースを拡大するといった、自分好みを採り入れることも可能です。

 
  • * * * * * * * * * * * * * * *
以上に述べたような比較をすることで、やみくもに見学してしまうような遠回りを避けることができるでしょう。 あえて検討対象外のものを見ることで、結果的に無駄な動きをしなくてすむということかもしれません。「急がば回れ」でしょうか。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は5日後の予定です

 

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