★このブログは、マンション購入と売却、どちらにも役立つ知識・情報を提供するものです。
居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」を展開しております。
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今日は、タワーマンション(略してタワマン)の話です。タワマンと呼ぶ法的な定義はないのですが、一般的にタワマンは20階以上の超高層マンションを指します。
タワマンのメリット
先ずは、タワーマンションの良い点・長所について整理しておきます。- 部屋からの眺めがよい
- 日当たりがよい
- 周辺の生活環境が整っている
- 共用施設が充実している
- コンシェルジュが対応してくれる
- セキュリティが充実している
以上が共通点ですが、購入する住戸の階によって差がある点に留意しなければなりません。
タワマンのデメリット
次に、デメリットも整理してみました。- 洗濯物を外に干せない
- エレベーターが混雑したり、満員通過したりする
- 地震の揺れを感じやすい
- 管理費や修繕積立金が高い
・・・・・・メリットがあれば、必ずデメリットもあるものです。
タワマンの歴史
日本初の分譲タワーマンションは1976年に建設された「与野ハウス」とされます。1964年の東京オリンピックを目前にした1963年に建築基準法で規制されていた特定街区が改正され、
続く1970年の法改正により、それまで31メートルに規制されていた高さの制限が解除されました。
この影響を受けて日本では、1970年代よりタワーマンションの先駆けといわれる高層マンションが建てられ始めます。
日本初のタワーマンションとされているのは、住友不動産が1976年に建設した、高さ66メートル、22階建ての「与野ハウス」(埼玉県与野市)です。
与野ハウスは高さが異なる4棟からなり、うち2棟がタワーマンションと呼ばれる高層棟になっています。4棟合わせた総戸数は463戸という規模で、周囲の視線を遮断するように駐車場を配置しているほか、敷地内に公園や中庭、店舗を備えています。
1970年代から1990年代半ばのタワーマンション草創期においては、現在よりも容積率や日照権などの規制が厳しく、超高層マンションを建設するためには広大な敷地を用意する必要がありました。
こため、最近は駅前一等地に建設されるケースが増えていますが、当時は比較的敷地面積を確保しやすい河川の近くや郊外が建設地として選ばれていたのです。
1997年の建築基準法改正以降タワーマンション建設が活発に
21世紀を目前に控えた1997年に建築基準法の大改正が行われ、それまでタワーマンション建設の足かせとなっていた日照権や容積率などの規制が大幅に緩和されました。これにより、高い需要が見込まれていた主要駅周辺の人口集積地域にも、タワーマンションの建設が可能となりました。
50階建て以上で2017年以降に建設されたものでは、予定となっているものまで含めると、「西新宿三丁目西地区再開発」にある65階建てがあります。 広大な敷地は4街区に分かれていて、一部は開発済み。
2022年秋には、「パークタワー西新宿」として、販売が開始されます。
タワマンの魅力
タワマンを購入するメリットを整理してみました。1. 部屋からの眺めがよい
立地や階数によっても違いますが、タワマンの部屋の窓からの眺めは戸建てなどの住宅からでは得られない景色が広がっています。周囲に景色を遮るような大きな建物がない場所では、遠くの山々や海まで見られます。
都心や都心から近い物件の場合は、夜にはキラキラと輝く夜景も期待できます。
眺めのよさを売りにしている物件も多く、外を見やすいように部屋には大きな窓が設けられているのが特徴です。
2. 日当たりがよい
1~3階はエントランスやラウンジなどの共用施設とし、天井を高く設計している物件が多数あります。タワマンの敷地も広いスペースがとられている場合が多いため、隣の建物の陰に隠れて薄暗い中で生活しなければいけないといったケースは少ないようです。太陽の日差しを感じながらの生活が可能です。
3.共用施設が充実している
タワマンの中には展望室やラウンジなどの共用施設が充実している点が特徴であり、メリットです。高層階の展望室やラウンジから見る眺めは、戸建て住宅の部屋からの眺めとは違った景色を楽しめるはずです。
さらに、フィットネスジムやシアタールーム、ゲストルームが設けられている物件も数多く見られます。
また、ワーキングスペースが設けられている物件も注目されています。近年、急激にテレワークが普及し、一日中自宅で仕事をする人も増えています。
外に出なくてもマンション内で気分をかえて仕事ができるため、在宅勤務の方に歓迎されています。
4. コンシェルジュが対応してくれる
エントランスホール内のフロントで在中しているのがコンシェルジュで、マンションに住んでいる人たちの対応をしてくれます。入居者の総合的なサービス全般に対応し、24時間体制で常駐しているマンションも少なくありません。
例えば来訪者の受付や案内、共用施設のパーティールームやフィットネスルームなどの予約受付、デリバリーやタクシーの手配、クリーニングや宅配便の取り次ぎなどですが、マンションによってサービスメニューはさまざまです。
5. セキュリティが充実している
タワマンは居住世帯数が多く、たくさんの人が出入りしています。そのためセキュリティを重視しているのが普通です。オートロックはもちろん、コンシェルジュがフロントにいることもセキュリティサービスの一環です。
また、防犯カメラやセンサー、常時オンラインセキュリティシステム、エントランスから居住者の部屋まで多数の認証システムなどを導入している物件も増えています。
警備員が見回りをしているマンションもあり、危険な人物が部屋に直接侵入する心配は少ないのがメリットです。
タワマンの構造と耐震・免震・制震それぞれのメリット
<免震構造のメリット>
1.地震による揺れが小さい
耐震や制震と比較して地震による揺れが小さいことは、免震構造の最大のメリットです。建物と地盤が切り離されているため、地震が発生しても建物が大きく揺れることはありません。
免震構造は、地震に対する最も優れた構造といえるでしょう。
2.家具が倒れにくい
地震が発生すると、家具の転倒などにより怪我をする可能性もあります。その点、免震構造は、建物の揺れを小さくできるため、家具の転倒や移動、物の落下なども起こりにくくなります。
3.建物内部が損傷を防止できる
建物内部が損傷しにくいことも免震構造のメリットです。地震が発生すると、壁の内部や部材の接合部などが損傷してしまうケースもあります。
その点、免震の建物であれば、通常は目に見えない部分も損傷しにくくなるため、大切な資産をしっかりと守れることでしょう。
<制震構造のメリット>
1.建設コストが安く揺れに強い
制震のメリットは、建設コストが免震構造と比べると安いことと言われます。しかも、耐震構造よりも地震による被害を抑えることができます。
繰り返しの揺れにも強いため、余震による建物の被害も受けにくくできるようです。
2.メンテナンスが容易
メンテナンスが比較的簡単なことも、制震構造のメリットのひとつです。地震が起きたあとも、ダンパーの取り替えやメンテナンスは必要ないそうです。
ただ、ダンパーの種類によっては、装置の定期的な点検が必要になります。
例えば、オイルダンパーの場合はオイル漏れが起きていないか、ゴムダンパーの場合は気温の変化による劣化が起きていないかなどの点検です。
3. 台風などによる揺れにも強い
免震構造は、地震による揺れには効果を発揮しますが、台風など強風による揺れにはあまり効果がないと言われます。<免震構造のデメリット>
1.免震は耐震や制震に比べ、コストが高い
また定期的な点検と、メンテナンスや交換が必要となり、ランニングコストもかかります。2.歴史が浅い
耐震や制震に比べて、免震構造の歴史はまだ浅いので不安は完全には払しょくできません。免震装置に使用されているゴムの耐用年数は60〜80年といわれていますが、免震の建物がそれほど古くなっていないため、完全に実証されているわけではないからです。
<制震構造のデメリット>
制震構造は、地盤の影響を受けやすい特徴があるとききます。そのため地盤が軟弱な土地に建てられたマンションの場合、十分な制震効果が得られない可能性があるというのです。
タワマン購入のデメリット
タワマンを購入するデメリットも整理しておきましょう。1. 洗濯物を外に干せない
タワーマンションでは洗濯物を外に干せない物件がほとんどです。安全面を考慮してベランダが備え付けられていない場合もあります。
高層階から洗濯物や布団が落下した場合は、高さの影響から落下したときの衝撃が強くなってしまうためです。
洗濯物を干しても高層階では強風により飛ばされる可能性があります。
また高級感やブランドイメージを売りにしている物件も多いため、外観からの見え方を理由に、洗濯物を外に干すことを禁止している場合もあります。
乾燥機や浴室乾燥機などを使用して洗濯物を乾かすことになります。
2. エレベーターが混雑することも・・・
階数の多いタワマンでは階下に行くためにエレベーターを利用する人がほとんどです。居住世帯数も多いため、朝の通勤・通学の時間帯にはエレベーターが混雑する傾向があります。
最新のマンションでは、待ち時間が少ないようにエレベーターの台数や定員、スピードなど、建物の規模にあったエレベーターが設置されている物件も多いようです。
3. 地震の揺れを感じやすい
高さのある建物は建物自体の揺れが長く続く傾向があるため、揺れを感じやすいことがデメリットです。構造によっては水平方向の揺れが長く続くこともあり、地震のたびに船に乗っているような揺れを長く感じてしまうこともあると言われます。
公開空地という足元の魅力
公開空地とは、オープンスペースの一種で、1971年に創設された総合設計制度に基づいて設置され、開発プロジェクトの対象敷地に設けられた空地のうち、一般に開放され自由に通行または利用できる区域のことを言います。大型のタワーマンションは、例外なく公開空地が設けられています。
公開空地は、歩行者が日常自由に通行又は利用できる、広く一般に開放された空地又は空地の部分(環境を向上させるような植込み、芝、池等を含む)や道路側の遮断を行わずに周辺環境の向上に努めることとされます。
公開空地は、建築物と建築物の間、住宅地における敷地と建物の間等の空間的な間である「つなぎ空間」をも意味し、公開空地は都市空間では公園としての使用が多く見られ、道路、広場、庭、アプローチ、コモンスペースなども含まれます。
タワーマンションの大規模修繕
1.工事業者が限られる
大規模修繕工事を行うことができるのは、新築時に建物を建設した施工業者(ゼネコン)など一部の施工業者に集中するケースが多いようです。まだ、タワーマンションの施工事例が少なく、工法やノウハウが確立されていないのがその理由です。
特に高層階では、風対策をはじめ 、特殊で高度な作業ノウハウが必要とされるなど、タワーマンションならではの構造上の課題があります。
2.区分所有者が多く、合意形成が難しい?
タワーマンションは戸数が多く、1棟200戸以上、1000戸を数えるものもあります。そのため、往々にして管理組合による区分所有者の合意形成には困難が伴うと聞きます。高層階と低層階では、区分所有者の世帯収入や価値観にギャップがあることも障害となりやすいようです。
3.工事費が割高になる
タワーマンションの場合、大規模修繕工事の工事費が一般のマンションより高くなる場合があります。そのため、修繕積立金が不足するという事態も起きやすいのです。新築時に建物を建設した施工業者(ゼネコン)の子会社が大規模修繕工事を請け負うケースが多く、修繕費や改修費が割高になるという側面もあるようです。
なお、タワーマンションの大規模修繕工事は工期が長期に及び、2~3年かかるということも珍しくありません。
・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は5日後の予定です。
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800本以上の記事があります。(最新版はこちらに移動しました)※最新版の記事は、第806回 「マンションの騒音問題に関わって」です。
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