第363回 「再び問う。直床構造の問題点」

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  • 物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ
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  • 高く売るコツは? ●実は何より大事なのは売主の印象
  • 物件案内時の注意点(買い手に好印象を与えるコツ)
  • 本当に専任媒介がいいの?


 

 

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★★ 中古マンション探しの王道はこれだ

中古マンション探しの手順は一般に、スーモなどの紹介サイトから条件に合いそうな物件を先ず探し、次に取り扱い業者に見学の申し込みをして現地を見学するという流れになるのが普通ですが、筆者はこれに意を唱えたいのです。

 

中古マンション探しの手順

中古マンションの売り情報は、単数または複数の仲介業者によってインターネット情報として公開され、購入を検討したい人の目に触れるよう仕組まれています。

 

見学希望者、購入希望者は仲介業者に接触を試みます。すなわち、業者に直接電話を入れるか、メールで案内の申し込みをするのが普通です。

 

・・・・この段階で筆者は「待て」と言いたいのです。資料の請求もしないほうが良いのです。その理由を説明しましょう。

 

業界の中にある暗黙のルールというべきか良識というべきか、一度接触をもってしまった仲介業者をさしおいて別の業者から物件の購入をするというのは、商道に反するというべきかマナー違反というべきか、好ましくないのは確かです。

 

しかし、最初に接触した業者とのつながりは物件が変わればフリーになるのです。物件ごとに新たな仲介業者とのつながりに変わります。別の物件で世話になったからというだけで、当該業者に別の物件で仲介を依頼しなければならない理由はありません。

 

世話になるべき業者は?

どこから物件の見学に進んだらいいのでしょうか?

スーモなどの紹介サイトにある当該物件の取り扱い業者に連絡をした方は早いのでは? たった今、そう思われた読者があったことでしょう。

 

筆者は、「あなた専属の仲介業者」をあらかじめ決めてしまうことを提案します。

理由はこうです。 先ず、買い手情報、すなわち貴方の属性や年収や住所等の基本データを業者が変わる都度、告知する手間が省けます。

 

また、どのような物件を求めているかの「購入物件情報」を一度伝えてしまえば、条件に合いそうな物件情報をピックアップして適宜、送ってくれることでしょう。

 

しかしながら、下手な鉄砲も数打てば当たる式に、的外れの物件ばかり紹介して来たりしてオーバーに言えば情報洪水を巻き起こしたりします。 これは望ましいものではありません。

 

買い手の希望を把握し、できる限り希望に沿う物件を探してくれる担当者が望ましいと言えます。 といっても、希望にピタリと合致する物件は皆無と言っても過言ではないので、優先条件・譲歩すべき条件・捨て去る条件などに「整理の仕方を提案してくれる」担当者が望ましいと言えます。

 

そのためにも、あなたのことを熟知していることが前提になります。家族関係、予算組みなども把握している担当者が望ましいのです。

ここで壁が現れます 紹介してくれる物件が自社扱い物件に絞ってしまう業者では期待外れになるはずです。 自社扱いとは、売主から売却を依頼されている物件のことです。これに限るのは、成約手数料が全く異なるからです。

 

ご承知のように、最大6%の手数料が収受できます。他社扱い物件を紹介して成約になっても、買い手からの手数料3%のみとなるのです。 大手仲介業者は、取り扱い物件数が多いのは確かですが、それでも大手業者は数社あり、それぞれでシェアしています。

 

従って、大手なら物件が多いだろうから、我が家向けの紹介物件も多いだろうと期待しがちですが、実際は違うのです。

その意味で、むしろ大手以外の仲介業者をあなたのホスト業者に指定したほうが得策です。 中小業者は、所有者から直接に依頼されている物件は大手に比べて少ないので、収益も大手より少ないものの、間接経費を抑えることで経営は成り立っています。

 

従って、自社の扱い物件にこだわらず買い手の希望する物件を手広く探してくれるのです。

 

自分専用の業者を持つメリット

以上の意味から、大手業者より、中小業者に物件探しを依頼する方が得策と言えるのです。とはいえ、あなたにとってふさわしい業者はどこかというテーマになると、簡単ではありません。

 

例えば、筆者が推薦する業者、かつよく知る担当者などを「あなたの専属業者・担当者」にすればよいのです。

 

無論、筆者の紹介条件として、お探しのあなたが支払う仲介手数料も割引してもらうことになっていますので、その面でもメリットがあると言えましょう。でした。


・・・・・・以上、「賢い中古マンション探し」について三井健太からの提案でした。

 


今日の記事は「直床構造のマンション」についてです。

2014年頃から、直床構造の新築マンションが増え始めました。 建築費高騰が続いているため、コスト削減のために採用例が増えたのです。2022年の今も変化がないようです。

 

直床マンションは良くないというイメージがありますが、実際どのような点で良くないというのか、今日はそこにスポットを当ててみました。

 

二重床マンション誕生の理由とメリット

マンションが日本で本格的に普及する前、黎明期の昭和30年代はコンクリート直にカーペットを張り付けた構造だったようです。天井も二重になっていない例が結構多かったのです。直天(じかてん)と呼ぶ形が普通でした。

 

カーペット貼りは、軽衝撃音は響きにくい利点はありますが、ドスンといった重衝撃音には無防備です。

 

また、給水管やガス管はコンクリートに埋め込む形だったようです。電気配線も天井のコンクリート内部に埋め込んでありました。当時は、老朽化したときの配管の交換などは考慮していなかったのです。

 

このようなマンション供給を続けているうち、騒音苦情に分譲主や施工会社が直面する機会が増えて行きました。

配管のルートも、耐久性を考慮して埋め込みは良くないと気付くようになって行きました。

そして誕生したのが二重床・二重天井という構造のマンションです。

 

水道管やガス管はコンクリートに埋め込まず、「床ころがし」という方法を採るようになりました。電線も天井裏を通す形です。

 

床の二重構造は、最初は細い木の角材を何本もコンクリートの上に置き、その上に板を張って、更にカーペットを張るという方式でした。

コンクリート直ではないので、床の上で飛び跳ねても騒音は小さいはずだと考えられました。

 

しかし、実際は空中に浮いているわけではないので、音は伝播します。完璧に音を消すことは今も困難ですが、遮音性の高い材料の開発や施工技術の研究を重ねながら、何種類もの方法が試されて来ました。

 

直床(じかゆか)のどこが問題なのか?

直貼りのどこがいけないのでしょうか? 二重床にしないと階下に生活音を響かせるのでしょうか? いいえ、必ずそうなるとも言えないのです。

 

遮音性は、コンクリートの厚さや梁から梁までの平面積の大小、施工方法、施工精度など様々な要素が絡み合って差ができるものです。

単純にはコンクリート直より、別の素材と空気層をサンドイッチした方が良いはずだと考えられますが、実際は違っています。

二重床の方が直床より遮音性は高いことを証明するデータはありません。むしろ、直床の方が遮音性は高いというのが一般的です。実際、二重床で遮音性の低いマンションがないわけではないからです。

 

では、直床構造のマンションのどこがいけないのでしょうか?

直床構造の最大の問題は、将来のリフォームが制約を受けるという点にあります。 つまり、問題点に気付くのは10年以上も先に行ってからというわけです。しかも、大掛かりな間仕切り変更を計画したときに初めて気づくというレベルなのです。

 

比較的築浅の段階で売却するときは問題ないですが、築20年くらいになって来ると直貼りの問題がネックとなって買い手が中々つかないという事態に直面するかもしれません。

 

最近、安い中古を買って改造し、自分好みのマンションにしたい夢を持っている人が増えています。いわゆるリノベーションを前提にする人ですが、その種の買い手を候補として迎えたと想像してみましょう。

 

立地条件を気に入り、広さも条件に適っている、価格も予算以内にあるということで商談が進みました。買い手候補は、間取り図を見ながら改造案を巡らせます。その過程で、リフォーム業者と打ち合わせを行います。

 

そのとき、管理人室に置いてある設計図書(竣工図)を見て、天井の低さや配管ルートの取りづらさなどに気付き、改造プランの実現が困難であると知ることになるかもしれません。

その結果、購入を断念する、売主から見れば客を逃すということになります。結局、間仕切りまではしなくてよいという買い手にしか売ることはできない可能性が高い。そう覚悟しなければならないのです。

価格も安くなってしまうかもしれません。

 

天井が低いと書きましたが、直貼りマンションは「階高=コンクリート面とコンクリート面の高さ」が低いのです。

床を高くしない(直貼りにする)ことによって天井高が確保しているに過ぎません。

従って、直貼りマンションをリノベーションで二重床のマンションにするのは極めて難しいことになのです。

 

また、直張りのフローリング材は、遮音性を高めるためにラバーのようなものを張り付けたタイプが用いられるため、歩行すると柔らかくて沈み込む感じがあり、何となく頼りない印象を受けます。フワフワ感と表現する居住者・見学者が多いのです。

 

その点、二重床は遮音性を高めるためのコストが増えますが、沈み込むようなフローリング材を採用せずに済みます。床材の選択の幅も広がるメリットがあるのです。

 

上記以外に、直床は本当に問題ないのでしょうか? 残念ながら、客観的な情報はありません。直(じか)よりは二重にした方が良さそうだというイメージが先行するだけとも言えます。

 

建物の構造面を心配してのご質問にはこう答えます。ネット掲示板のコメントは「重箱の隅を楊枝でほじくる」類のものが多いだけでなく、悪意に満ちたものもあるので、あまり気にしない方がよいでしょうと。

 

ただし、無視できないものもあるのは確かです。物件の短所を積極的に説明する売手(新築マンションの売主)はいないからです。問われれば答えてくれるし、欺瞞でもなんでもないのですが、「できたらそこには触れてくれるな」と願っている営業マンも少なくありません。

例えば、「直貼り床構造」に関しては販売資料のどこかに表示してはあるはずですが、説明はしません。セールスポイントではないからです。

 

その他にも、気づきにくい部分、特に目に見えない部分で、品質や性能が水準以下にあるような例はいくつもあります。

遮音性、省エネ性、耐震性、耐久性などは見えないものです。これは、第三者機関が設計図を検査し、「設計住宅性能評価」をしてくれますから、それを見て水準を確認すればいいのです。 契約時に交付されます。原本は現場に常備してあります。

 

また、設計図通りに施工しているかの検査を経て「建設住宅性能評価書」を発行します。これは言うまでもなく竣工後に交付されます。

 

尚、性能評価が「1」は、最も品質・性能が劣ることを意味します。普通のマンションは耐震性が「1(最低)」(1でも問題はないレベル。最高は3)、省エネ性能は「4(最高)」の物件が多い、耐久性は「3(最高)」が増えています。

 

性能評価の項目のうち「音環境」に関するものは対象外としている点は残念なところです。「外部や上階などからの騒音の侵入がどのくらい防げるか」という項目ですが、これは選択項目になっていて、評価対象から除外してよいことになっているのです。

 

音の問題は、個人の感覚の問題も大きいことに加え、近隣住人の生活ぶりでも変わるため評価がしづらく、評価を受けたとしても安心材料にはなりにくいからでもあるのですが・・・

 

直貼りマンションが増えている背景

二重床構造が定着したかに見えた分譲マンションですが、再び直床構造が増えて来たのはなぜでしょうか?

理由は簡単です。東日本大震災以降、建築費が急騰してしまったため、コストカットの必要に迫られたためです。

 

二重にすれば手間がかかりコストもかさみますが、直貼りは工程を二つくらいは省いているわけですから、手間もコストも少なくてすむからです。

うまい比喩ではないのですが、250工程もあるとされる高級オーダースーツと工程数が200未満の安物の既製紳士服との差でしょうか?

 

直床工法のマンンションでは、コストカットが床の工法だけに留まらない可能性があります。他の部分でも設計の単純化や工法の省力化などを採用していることを想起させるからです。

 

そこで、先に述べた性能評価書を見るという検討作業が必須になるのです。コストカットという表現は誤解を与えがちですが、必ずしも粗悪な建物ということではありません。

例えば、3基あった方がよいエレベーターを2基に減らすとか、ラウンジやロビーを狭くしてその分の面積を住戸に充て、価格をわずかでも下げるといった方法によって「中級レベル」をキープしている例はいくらでもあります。

とはいえ、億ション級のマンションに直床はないのです。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は5日後の予定です

 

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