共用部の2年アフター点検に理事会の関心が薄いが?

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マンションの理事会の方が共用部の2年アフターの点検を頼みたいが、理事会の関心は低く無理押ししたものかどうか?という理事の方からの私もご指名での質問ですので、短くお返事を。

結果からいうと、「もうすぐ2年」「理事会の他の役員があまり乗り気でない」のなら、それに一人で逆らって無理押しするものでもないかなと思います。

9/18に受けた質問ですが、いろいろマンションの用事が忙しいうえに、自分も家族にいろいろあってお返事できず申し訳なかったです。(久々にブログ書こうかなと思ったら書きかけが発掘されたってのが本当のところ)



質問は


差出人: 透明ランナー

はじめまして。
2年目の共用部点検を外部の検査会社さんにお願いすべきかどうかのご相談です。
某財閥系デベの都内中層新築マンション(約100戸)に入居してもうすぐ2年になります。
1年目の共用部点検は管理会社(デベ系列)が行いましたが、指摘は軽微な仕上げの不具合だけでした。

2年でアフター対象の多くが期限切れになるので、2年目点検は極めて重要と認識しています。一方で理事会メンバーはデベへの信頼が厚く、2年目の時点でわざわざお金を出して外部の検査会社に依頼しようという機運は低い状況です。

このような状況で、理事の一人として外部検査会社への依頼を強く主張すべきか、逡巡しています。外部検査会社依頼の是非、2年目での依頼事例、本件に関する理事メンバーとの会話の仕方など、広範にアドバイスいただければ幸いです。

2年アフターは第三者に外注が望ましいけど

書かれておられる通り、専有部のほぼ全てのほか、マンションの共用部についても外壁などを含めてとても多くの個所でアフターの期限は2年で切れます。

その後も、指摘して”竣工時”から施工上の不良があったとかを示せば、修理は継続してうけられますが、”なんか壊れてるんですけど・・・”と指摘するだけで、売主さんが基タダで大抵の場所を気前よく直してくれるのは2年アフターまで。この指摘ですが、無論売主は”自爆”はしたくないですから、あんまり真面目に見回ってくれるはずもなく、管理組合側が、第三者に対して調査などを別途有償で発注して、結果の報告を貰うのが最近では流行りです。

よく、マンションから建築系などの”プロ”を募って、みんなで打診棒で見て回りましょうというのを考える人がいますが、大抵、募っても”プロ”はでてきません。100戸もあれば何人かお住まいな筈ですが、”ただで”プロとしての仕事をさせられて、結果として責任も負わされれるのでは名乗り出てくる筈がないわけです。

実は私も、2期目は他にいろいろと忙しくて、とてもそこまで手が回りませんでした。というか、いくつかの修繕コンサルタント会社が、管理組合を相手として、アフターサービス点検の指摘を受けるようになったのは、そんなに昔の話ではなく、うちのマンションでは2年アフターは理事会(の営繕委員会の委員)中心に見て回ったりちょこっと打診した程度で、本格的な第三者を雇っての2年アフターの調査はしていません。

2年アフターの第三者外注が難しいわけ

新築のマンションなら、1年目は理事会活動を軌道に乗せるだけで精一杯ですし、全ての季節を経験して、1年の決算を見るなど、1年目には理事会は大きな動きはなく、じっくり管理会社の管理状況を確認していくのが普通です。

また、2年目で、もう直してもらわないとどうにもならないといった不具合箇所が無数にでてきていて、売主といろいろやりあっているということも少ないもの。

2年アフターは、売主(管理会社や施工会社ではない)に”指摘してそれが受領される”ところまでを、通常竣工(最初の区分所有者の入居日のことも)から2年以内に終了していることが条件になるので、期限は2期目のどこかになることが多く、そこまでに”検査結果の指摘点”の引き渡しをするには、そのための組合の支出というか予算枠の確保は2期目のそこそこ早い時間に終わっていなければなりません。

100戸くらいのマンションであれば、調査と報告の作成にそれなりに時間が必要で数か月はみないと難しい一方で、普通のマンションは年に1回しか総会はやりませんから、
2期目の予算案に、数百万円にはなる”第三者による調査費用”を2期目に捻出可能な予算枠(明示的に総会可決してもいいし、理事会の裁量的な支出枠があってもよい)が2期目の予算中に確保されていないと、”アフターの検査”をするためだけに2期目の中で臨時総会が必要になってしまいます。

年に2回総会をしてまで、ちゃんと建物が建っているかどうかの検査をしたいと理事会が考えるのは、通常1期めから、なにかトラブルが建物に起きていて、あんまり売主が信用できないという場合に限られる気もします。

”透明ランナーさん”のマンションは、今2期目の終わりに近いということですから、1期めの終わりに作成された、今期の予算枠内に、”理事会が自身の裁量”で第三者に検査を発注できる枠が既に確保されていなければ、理事会役員を説得できたとしても、そもそも間に合わないことになります。

とくに漢字2文字など財閥系のマンション(最近はデべの寡占化が進んで、メジャー7など大手売主の物件の割合が高い)の場合には、例えば三井・三菱・住友・野村といった名前のついている会社と、理事会のどちらを信じますか?という質問に、数百万円払ってもいいから、「理事会のほうを信じる」と答えてもらう議案になります。1年くらいで理事会>売主の信頼度があるかどうか・・・

多くのデべは、2年は一応自前で見回って報告をだしてくれるとかで、それは大抵無料です。

最近はわざわざ有償で、デべ(系の管理会社含む)が有償でうける場合もありますが。第三者管理でそのケースとかどうみても茶番で意味なくね?とか思いますが・・・第三者管理のマンションにお住まいの方は、デべの無償コースお任せで、2年アフターは下手に口にすると、デべのシノギになるだけだから黙っていたほうが吉な気が・・・(一言多めのはるぶー氏)

巨大企業である〇〇社を信じて買ったのだから、取り立てて問題も起こっていないのに、わざわざお金を出して名前もきいたことのない会社に調査させるの?って声は住民の間から結構でてきがちで、あながち間違えているとも言えない。調査すると実際に、いろいろでてくることも多いので、売主との関係はしばしば敵対的になりがちですしね。

なので、実際には2年アフターをお金を払って第三者にやってもらったという管理組合は少ないものです。私のマンションもやっていません。

もし理事会に理事として提案するなら・・・

多くのマンションでは、”プロ”としての仕事には、”プロとしての報酬を払ってプロに外注する”という文化がありませんから、多くの場合2年アフターを外注するとなるとその最初の事例になります。

うちは2年はやらなかった代わりに”10年”(売主の責任が基本全てなくなる年数です)の前には、第三者を雇ってかなり本格的な調査&指摘を実施しました。地下ピットのコンクリがきちんと固まっていないとか、地下に湧水があるなど、躯体・基礎に関わるものは10年が期限ですので、”真にやばい”案件は、10年でも間に合うところもあります。理事長と私が、地下ピットに向かってマンホールから梯子を下りていくと、そのステップが固定できてなくて下のほうでぶらぶらコンクリから浮いているとかで、そのまんまあんた竣工時に検査もしてねーだろで理事長が地下ピットで1時間の売主説教タイムに。

専有部の内覧会検査をするとわかりますがハリボテ部分である、壁紙とかフローリングとか、部屋の中に立ってすぐみてわかる部分は大抵指摘するような故障はないもの。

共用部も目につきやすい部分は案外ちゃんと作ってあるもので、不具合は目につきにくいところで多く発生します。具体的には、屋上とか、地下ピット部分などで故障がみつかることが多い。例えばコンクリなど、構造部分が露出しているのは、地下ピットくらいしかないので、もし本格的な調査をするなら、タイル貼り部分の打診の他では地下ピットまでの検査が必須だと思います。

大抵のケースで多数の指摘点がみつかって、全部売主が直してくれるなら、調査費用をはるかに超える無償での是正工事をいけることはできますが、それがやる前に補償されるわけでもない。普通は、コンサルの会社が無料あるいは、非常に廉価で、結構指摘点があってペイしそうかどうかを先にざっと見てくれることも多いので、相談してみる手はありかもしれません。

うちは2年では第三者検査を入れていませんが10年では実施。その時にお世話になった会社のサービスを貼っておきます。雰囲気を知ってもらうためであって、特定の会社だけを推薦するものではありません。

 マンション共用部チェック(1年目、2年目、5年目)
https://www.s-mankan.com/service/kyoyobu_check.html

地下ピットまでちゃんと見てくれだと、そちらの戸数だと1戸2万円程度は今はかかるだろうなと思います。それ以上に指摘点が見つかって是正工事がうけられるかどうかですが、うちは10年ですが検査費用をかなり大きく超えて、無償工事を受けていて、理事長仲間に訊い、検査代が無駄になったという人には会ったことはない(が無論保証はできるはずもない)。

”お金があって、指摘まで2年目の終わりまでに指摘が間に合う”なら、理事会の中で提案してみる手はあると思います。(アフターサービス基準書を受け取っているはずで、それにいつまで、どこがサービス範囲かきちんと書いてありますので確認から)

ただ、他の理事の方の関心が低いようだと、「透明ランナー」さん自身が、理事長で、臨時総会の議案書を1人で書くことも辞さずといった気合でも見せるとかしない限り、理事会を通すのは難しいのでは?と思います。

私自身も、昔は”2年目の終わりまでには、2年アフター点検の終了が望ましい”とネットなどでも書いていたこともあって、同じような理事会の理事の殆どが乗り気ではないという問い合わせは多数受けるのですが、その殆どのケースで2年アフターの外注はなされてません。しなかったからといって恥ずかしいというものでもないので、理事会内での無理押しをするほどのものでもないかなと。

なにせ、私自身が2年ではできていないわけですので・・・かなり腕自慢の理事長の揃う理事長の会RJC48でも、2年アフターを第三者に任せてお金かけてやったという方は少数派です。

自分達でちょっとは検査してみる手も

築浅の理事会はそうでなくても無数に解決すべき問題を抱えているもので、リソースの配分として、特に問題指摘が無数に上がってきていない状況で2年アフターが後回しになっても仕方ないところはあるかなと。

基礎を別にすると、割とよく聞く話は、外壁タイルの大規模な施工不良です。初回の大規模修繕をやろうで劣化の調査したら、凄い割合で浮いていたなどは、タイルが現場貼りになる板状のマンションではよく聞く話で、いやもう組合の自腹でしょ?とかいう売主と後で喧嘩になりがち。なのでこれは、手の届く範囲だけでも、なんなら打診棒を買ってきて、理事でちょこっと手分けして打診検査しておくとよいかもしれません。ど派手に不具合があるなら割と簡単にみつかりますから。この程度でもなにもしないよりはマシかなと。



↑ 打診棒は武器ではなく、こんな感じで使うのが正しい利用法です

!! 重要 !!
 本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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