異常なまでに高騰してしまった首都圏の新築マンション。もう庶民には高値の花になってしまった。新築は諦め中古にしなければならないとお嘆きのあなた。ちょっと待ってほしい。
じつは、竣工時期によっては中古のほうがグレードが高い場合がありそうですよ、という話。
目次
過去50年間の首都圏新築分譲マンション市場を俯瞰する
平均単価の推移
まず、過去50年間(1973~2023年)の首都圏新築分譲マンションの平均単価の推移を見てほしい(次図)。区部の平均単価は、バブル期の1991年に155.3万円を記録(70m2換算で1億871万円!)。2022年の区部の平均単価は128.8万円だから、いまだバブル期の水準を超えていない。
あと、大きな流れとしては2点。
1点目は、耐震偽装事件(2005年11月発覚)の再発防止のための制度改革により、区部では1m2あたり約15万円コストアップしたこと(70m2換算で約1千万円)。
2点目は、第2次安倍政権(2012年12月発足)のアベノミクスによる非実需要増の影響などによりm2単価が急上昇していること。
※1973~2012年のデータは、不動産経済研究所「全国マンション市場・40年史 : 1973-2012」を参照した。2013年以降のデータは同研究所が毎年定期的に公開している資料を参照した。
このようなバブル期以降の価格動向については、メディアでもよく取り上げられている。でも、専有面積の動向については、メディアではあまり触れていない。
平均専有面積の推移
過去50年間(1973~2023年)の首都圏新築分譲マンションの平均専有面積の推移を見てほしい(次図)。区部の平均専有面積は、バブル期の1986年に59.31m2を記録。バブル崩壊後は拡大し続けて2002年に過去最高の73.12m2まで拡大したあと、現在に至るまで縮小傾向が続いているのだ。
※データ出所は、同じ
近年の新築分譲マンションのグレード低下!?
分譲価格を抑えるために、専有面積を縮小するのはよくあること。でも、食料品じゃないのだから、数量を減らして価格を維持したように見せかける方法はいただけない。だって、”一生の買い物”なのだから、と文句を言っても仕方がない。では、どうすればいいのか?
過去50年間(1973~2023年)の首都圏新築分譲マンションの平均単価・専有面積の推移を見てほしい(次図)。
それぞれの折れ線の動きは前述同様。ここでは両グラフの動きをよ~く見てほしい。
2012年12月に始まったアベノミクスの影響で平均単価は上昇する一方、平均専有面積のほうは2009~2016年の間は70m2前後で推移するが、2017年以降は縮小し始める。
平均単価が上昇しているのに、平均専有面積が変わらないということは(上図、ピンク着色部分)、そのしわ寄せがどこかに及んでいると考えるのが自然だ。
23区についても、ほぼ同様(次図)。
販売時期によっては、中古のほうがグレードが高い
コストダウンのために販促のためのムダな共用施設を削るのはいいことだ。でも、階高を縮小したり(コストダウン効果が大きい方策のひとつ)、耐震性能や断熱性能を下げたり、設備や内装仕様を下げたりしたり、アルコーブをなくしたり等々することでコストダウンを図っているとすればよろしくない。内装以外はリフォームで対応しようとすると金がかかり過ぎるだからだ。逆に言えば、2008年以前に販売された中古マンションであれば、グレードダウンされていないということになる。2010年以前に竣工したマンションだとして、ざっくり言えば築12年以上の中古マンションということになる。
ということで、最新の”カタログ設備”(初期投資が少なくて済むわりに販促効果が大きい)に拘らないのであれば、2010年以前に竣工した中古マンションを選択肢に入れてみてはどうか、というのが本日の結論。
※本記事の記載内容にかかわらず、物件を決めるのは自己責任でお願いします。
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