物件名に「東京」を冠するマンションの考察

先日の記事押上の遠藤利三郎商店から考えたワインとマンションの関係性の次のくだりを書きました。

このトレンドから遡ること20年、墨田区は旧来の繁華街のイメージ(そもそも若手マンクラは知らない?)だった錦糸町を筆頭に、あまりお高いマンションのイメージはありませんでしたが。が、それを打破するタワー物件が2003年(平成15年)に発表されました。そう、Brilliaタワー東京 (2006年竣工)です。

そこから、先日こちらのツィートでふと思い出したネタです。

いまやつけられない「東京」を冠する2物件はもちろん、新庄マンションもといスターコート豊洲はライフが勝手に近所にできてくれて大規模修繕も終わりいい感じになってますよね。リノベして住むにはいいタイミングかも。https://t.co/q1hMw3cCy7
— タビー (@tubby_TW) February 23, 2023

1 2000年代初頭の「東京」を冠するマンション
2 ルールは?
3 分析
4 その後も残る「東京」物件
5 住みたい街「東京」

2000年代初頭の「東京」を冠するマンション

2000年代初頭は「東京」を冠する物件が上記以外もたくさんありましたね(若手マンクラの方はご存じないかも)。大人の事情によりYahoo!不動産でマンション名に「東京」を含む23区内の物件を検索してみたところこんな感じ(36件;100戸未満は基本的に除いています)。

クリオレジダンス東京(江東区塩浜:2000年竣工)

東京ナイル(品川区東大井:2000年竣工)

コスモ東京ベイタワー(中央区勝どき:2000年竣工)

コスモ東京ベイフォート(江東辰巳:2001年竣工)

ザ・パークタワー東京サウス(品川区東五反田:2001年竣工)

It's東京フォーサイトスクエア(新宿区北新宿:2001年竣工)

東京ツインパークス(港区東新橋:2002年竣工)

コンパートメント東京中央(中央区八丁堀:2002年竣工)

東京アルバタワー(荒川区荒川:2002年竣工)

東京サーハウス(大田区下丸子:2003年竣工)

東京レジデンス(千代田区飯田橋:2003年竣工)

東京アクアージュ(足立区栗原:2003年竣工)

グランアジール東京アクアレジデンス(江東区東砂:2004年竣工)

アップルタワー東京キャナルコート(江東区東雲:2004年竣工)

東京メガシティ(北区赤羽北:2004年竣工)

東京タイムズタワー(千代田区神田花岡町:2004年竣工)

東京シーサウスブランファーレ(港区港南:2004年竣工)

スカイクレストビュー東京(港区港南:2004年竣工)

ピアース東京インプレイス(中央区新川:2004年竣工)

クレッセント東京リプライム(大田区羽田:2005年竣工)

ブロードシティ東京(中央区日本橋蛎殻町:2005年竣工)

プライヴブルー東京(江東区豊洲:2005年竣工)

クレッセント東京ヴュータワー(江東区新大橋:2005年竣工)

東京フロントコート(江東区豊洲:2005年竣工)

東京テラス(世田谷区千歳台:2005年竣工)

アクエアリバージュ東京(北区志茂:2005年竣工)

ブリリアタワー東京(墨田区太平:2006年竣工)

東京アクアガーデン(足立区西保木間:2006年竣工)

レーベンリヴァーレイオザ東京(大田区大森西:2006年竣工)

レーベンリヴァーレ東京ラ・トーレ(荒川区荒川:2006年竣工)

東京フロンティアシティアーバンフォート(荒川区南千住:2007年竣工)

レーベンスクエアリハート東京(足立区新田:2007年竣工)

東京グランファースト(江戸川区西小岩:2007年竣工)

ザ・センター東京(新宿区市谷本村町:2007年竣工)

ザ・東京タワーズ(中央区勝どき:2008年竣工)

サンデュエル東京ザ・プレミオステージ(足立区保木間:2008年竣工)

ルールは?

これは、2006年 1 月 4 日施行の改訂版「不動産の表示に関する公正競争規約」で「物件の名称の使用基準」が明確化されるまで、厳密なルールがなかったためですね。
駅徒歩距離の改訂で話題になった2022年9月1日施行最新版では次のようになっています。

第 19 条
1 物件の名称として地名等を用いる場合において、当該物件が所在する市区町村内の町若しくは字の名称又は地理上の名称を用いる場合を除いては、次の各号に定めるところによるものとする。
(１) 当該物件の所在地において、慣例として用いられている地名又は歴史上の地名がある場合は、当該地名を用いることができる。
(２) 当該物件の最寄りの駅、停留場又は停留所の名称を用いることができる。
(３) 当該物件が公園、庭園、旧跡その他の施設又は海（海岸）、湖沼若しくは河川の岸若しくは堤防から直線距離で300メートル以内に所在している場合は、これらの名称を用いることができる。
(４) 当該物件から直線距離で50メートル以内に所在する街道その他の道路の名称（坂名を含む。）を用いることができる。

このこと自体は、すまいよみさんも自ブログで記事化されています。

マンション名の由来、駅名や地名の表記、決め方について調べてみました。

「東京」は一般に(2)の東京駅が該当するので、2006年の施行後は発表されていた物件以外にはつけられなくなり、2008年を最後に消えたと思われます。

分析

竣工年ごとに件数を算出すると次のようでした。

竣工年ごとの物件数グラフ

2004年～2005年に7件づつあった(駆け込み?)ものが施行後は減り、駅名として東京を用いた物件は2009年以降絶滅したことがわかります。

別の視点で、区ごとに見てみます。

区ごとの物件数グラフ

1位は江東区で7件。豊洲、東雲、辰巳で4件あり、湾岸エリアのイメージ売り出し中だったためでしょうか。

2位は中央区で5件。これは東京駅には近いエリア(八丁堀、新川、日本橋蛎殻町)と、勝どき2件で上記湾岸エリアのミックス効果と思われます。

3位以降に続く足立区、荒川区、大田区は東京としては端っこに近いのでイメージアップを兼ねた感じでしょうか。港区も3物件ありますが、泣く子も黙る東京ツインパークス以外は港南の2物件なのでこれに近いかもしれません。

東京ツインパークス(中央2棟)

その後も残る「東京」物件

検索結果には出るものの、駅名ではないと思われるものは次のパターンです。

東京(XX)ベイ

東京ベイシティタワー(港区芝浦:2014年竣工)

シティタワーズ東京ベイ(江東区有明:2019年竣工)

東京ミッドベイ勝どき(中央区勝どき:2012年竣工)

スミフの2物件は「東京ベイ」に建てた「シティタワー(ズ)」、東京ミッドベイは東京湾の真ん中という感じでしょうか。

東京イースト

ヴェレーナシティ東京イーストガーデンズ(江東区東砂:2018年竣工)

コスモシティ東京イースト(荒川区南千住:2002年竣工)

東京イーストエリア自体すまいよみさんの専門領域ですが、もともと京の都が箱根を超えた東のほうに遷都して東京になったのに、そこにさらにイーストを加えマンション名に冠するのも興味深いです。

地名としては存在しない「銀座の東のほう」の意味で「銀座東」が使われるのに似ていますね。

シティタワー銀座東(中央区湊:2019年竣工)

限定のための東京

THE ROPPONGI TOKYO(港区六本木:2011年竣工)

ガーデンクロス東京王子(北区堀船:2021年竣工)

東京の六本木?、東京の王子?? 駅名・地名は別につけているものの、あえて東京を冠する作戦?

住みたい街「東京」

最後に、毎年恒例SUUMO住みたい街ランキングで「東京」は港区湾岸エリア代表の品川を抜き、過去5年で最高の9位に入っています。

港区湾岸エリア代表選手の品川が4→6→6→6→8とずるずる落ちトップ10陥落。
(むしろなぜいままで池袋、鎌倉、東京、渋谷より上だった?)
分譲新築はよ。 https://t.co/KH1s8k7y00
— タビー (@tubby_TW) February 23, 2023

スムログ読者の方はよくご存じのとおり、たとえ実際にはマンションが徒歩圏にはほとんどなくても、皆が住みたい気持ちがあるから「東京」を冠していたのかもしれませんね。

記事に出てきた物件の掲示板

ご近所物件の掲示板

とおりすがりより:

2023年2月26日 09:57

ブリリアザタワー東京八重洲アベニューは東京の八重洲？からなのでしょうか。

物件名に「東京」を冠するマンションの考察

物件名に「東京」を冠するマンションの考察

2000年代初頭の「東京」を冠するマンション

ルールは?

分析