逆梁アウトフレームの南向き住戸の日当たりが心配なリスケンさんからのご質問。
日当たりシミュレーションの結果を3Dアニメに仕上げることで一目瞭然に。
読者からの質問
初めて質問させていただきます。リスケンと申します。
<質問の内容>
逆梁アウトフレーム構造のマンションの場合のメリット・デメリットはどのようなものが挙げられますでしょうか?
南向きと陽当たりがよい場合でも、周りの柱が邪魔して、ベランダに光が入りにくかったり、部屋が暗かったりするものでしょうか?
ネットで調べても、簡単なことしか出てこなく、実際のところどうなのかをお聞きできればと考えております。
<質問の背景>
現在33歳で、妻と子一人の三人家族です。
現在、〇〇(←物件名)の南向きの高層階を検討しており、検討している部屋(間取り)が逆梁アウトフレーム構造と聞きました。
逆梁アウトフレーム構造のモデルルームを見た感想として、ベランダ自体は広いのですが、天井や横の壁が厚く、実際に日差しが入るのか心配になりました。営業さんに聞いても、入りますよと簡単に答えられ、実際心配になっております。
私達は、陽当たりを最優先にマンション探しをしており、布団や洗濯物をできる限り外に干したいと考えているため、この心配事に関して、ご意見いただけると非常に助かります。
ご検討のほどよろしくお願いいたします。
シミュレーションモデル(南向き・中住戸)
場所は東京。日当たりをシミュレーションするための間取りを、3LDK、専有面積70m2、南向きの中住戸として設定する(次図)。
また、断面は逆張りを活かしたハイサッシとした(次図)。
なお、シミュレーションには、デンマークの天窓(トップライト)専門メーカーであるベルックス社が提供しているフリーソフトVELUX Daylight Visualizer(建物内の採光シミュレーションソフト)を利用した。
シミュレーション結果(3Dアニメ)
まず、月別(すべて12時)にシミュレーションした結果を示す(アニメーション)。1月から2月にかけてリビングまで届いていた直射日光は、3月はバルコニー内に留まり、その幅は6月に最も狭まる。その後、徐々に幅を広げ、11月には再びてリビングまで届いている。
次に、冬至(12月)の日当たりアニメーション(08~16時)を示す。
太陽の移動とともに、リビングの奥深くまで日が差し込んでくる。
さらに、夏至(6月)の日当たりアニメーション(08~18時)を示す。
夏の太陽は高度が高いため、バルコニーが有効な日差しになっていることがよく分かる。
以上のように、逆梁アウトフレーム構造を採用したマンションだからといって、通常の順梁構造マンションと比べて、日当たりが大きく劣後しているわけではない。
逆梁と順梁、どちらのマンションが良いのか。
日当たり以外の点で言うならば、個人の好みによるところが大きい。逆梁アウトフレーム構造のマンションは、ファサードが重厚で、バルコニーに閉鎖的空間を確保できる点がメリット。
一方、順梁構造のマンションは通風性がメリットだが、可視性が高いことは高層住戸にとっては眺望の観点でメリットになり得るが、低層住戸ではプライバシーが確保しにくいという点でデメリットになる。
※本記事の記載内容にかかわらず、物件を決めるのは自己責任でお願いします。
あわせて読みたい
緯度が異なる4つの都市(札幌、仙台、福岡、那覇)にマンションがあった場合の日差しを定量評価した6年前の記事。
このときはまだ、今回のようなスマートなソフトがなかったので、エクセルで泥臭く計算していた (*_*;
若年ですが、マン点さんの記事のファンです。これからも楽しく拝見させていただきます。