中古マンションの駐車場の利用率低下による駐車場利用料収入の減少は、マンション管理組合の財政に悪影響を与える可能性がある。
中古マンションを検討されている方は、駐車場の設置率についてもチェックしておきたいという話。そのための目安を示した。
かつて横行した「全戸100% 駐車場無料」チラシ
2000年代の新築マンションの駐車場設置台数はやたらと多かった。駐車場100%設置だけでなく、”無料”を謳う折り込みチラシが横行していた。
※下記日付は、弊ブログ「マンション・チラシの定点観測」投稿日。
- 08年1月26日:駐輪場が有料なのに駐車場が“無料”なのは?
機械式27台の月額使用料が0円で、身体障害者優先の平置1台の月額使用料が8千円。 - 08年4月25日:「無料 駐車場」のウソ
チラシには「全戸100% 無料 駐車場」のキャッチコピー。でも、小さな文字で記された注釈には「機械式駐車場の点検費用は管理費に含まれています」
- 08年6月13日:駐車場“無料”の物件数トップのデベロッパーは
さて、中古マンションの駐車場の利用率低下による駐車場利用料収入の減少は、マンション管理組合の財政に悪影響を与える可能性がある。機械式駐車場は、毎月の維持管理費だけでなく、経年劣化による更新・撤去の問題も浮上してくるのである。
中古マンションを検討されている方は、駐車場の設置率についてもチェックしておきたい。
以下、現在の23区新築マンションの駐車場設置状況につき可視化しておいたので、あなたが検討中の中古マンション駐車場設置率の妥当性判断の目安にご利用いただければと。
「駅徒歩時間」と「駐車場設置率」の関係
不動産情報サイト「アットホーム」に掲載されている23区の新築分譲マンション187件(23年3月12日現在)につき、横軸に駅徒歩時間、縦軸に駐車場設置率、円の大きさを総戸数として描いたのが次のグラフ。駅徒歩10分以内のマンションの駐車場設置率は、10~40%程度であることが分かる。
※次図には駐車場には機械式だけでなく、平置式も含まれている。
※SUUMOとLIFULL HOME’Sは、アットホームに比べて、駐車場データが掲載されていない物件が多いので、アットホームのデータを利用した。詳細はコチラ。
駅徒歩時間別の駐車方式の割合
23区の新築分譲マンション187件につき、駅徒歩時間別に駐車方式の割合を可視化したのが次図。駅徒歩「15分以内」以下の駐車場設置率は、3割前後にとどまっている。
駅徒歩「1分以内」はタワーパーキング式の割合の多さが目立つ。また、平置式駐車場の割合は少なく、その多くは身障者用や荷捌き用である。
※各方式の設置率は、物件ごとの設置率の平均値ではなく、駅徒歩時間ごとに総駐車場台数を調査対象戸数で除した値。
「総戸数」と「駐車場設置率」の関係
23区の新築分譲マンション187件につき、横軸に総戸数、縦軸に駐車場設置率として描いたのが次のグラフ。やはりというか、総戸数のほうは、駅徒歩時間と違って、駐車場設置率との相関は特に見られない。
下図からの学びは、総戸数100~600戸の新築マンションの駐車場設置率(機械式、含タワーパーキング式)は20~40%程度の範囲にあることだ。つまり、総戸数100~600戸の中古マンションを選ぶ際に、機械式の駐車場設置率が40%を超える物件については、慎重に検討することが必要になるということである。
あわせて読みたい
- 独自調査!新築分譲マンションの駐車場設置率を可視化(1都3県)
23区だけでなく、1都3県の新築分譲マンションについて、駐車場設置率を可視化分析した記事。 - 独自調査!新築分譲マンションの駐輪場設置率を可視化(1都3県)
駐輪場設置率を可視化分析した記事。
コメントを残す