「賃貸VS買う」論争はなぜ不毛なのか?

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???「やべえよ今度の特集のネタまだ決まってねえよ」
???「いつもの賃貸VS買ういっとけば?」
???「それだ!」

SUUMO「賃貸VS買う」特集号

SUUMO「賃貸VS買う」特集号


という会話がSUUMO編集部の中で交わされているかどうかは知りませんが、「賃貸VS買う」は「何号室がお得?価格の法則」「新築VS中古」「首都圏2xx駅価格マップ」「年収と家」に並ぶ長寿コンテンツです。
だいたい四半期に一度くらいのペースで特集されています。

僕も友人やお客さんから「賃貸と買うのとどっちがいいの?」って聞かれた回数はもう数えきれません。


でもその質問に正面から答えたことはありませんしこれからも答えることはないでしょう。
なぜって?
それについて今回は書いていきたいと思います。

「賃貸VS買う」論争がなぜ不毛か?

1.金利や分譲坪単価や賃料相場の推移など比較するにあたって必要不可欠な情勢の変化を加味しない(できない)から
2.個々人の事情によって最適解が違うから
結局のところ、「賃貸VS買う」の比較というのは現在という一時点をずっと延長させた想定で、モデル化した物件同士(分譲は4000万で賃貸は月15万だとか)を戦わせる、現実だとか個々人の悩みとはかけ離れた抽象的な議論になってしまい、何の参考にもならないのです。
たとえて言うなら、「結婚VS独身」みたいなもので、「いや、俺が聞きたいのはそんな話じゃなくてこの子と結婚するかどうかって話なんだけど」ってきっと返されるでしょう。
具体的な状況や個人的な理由、あるいは社会情勢の変化を脱色していくと、できあがるのは「誰にでもあてはまる話」ではなく「誰にも当てはまらない話」なのです。
個々人の数だけ答えがある。涙の数だけ強くなれる。(関係ない)
それに結局のところどっちが正解だったかなんて最後になってみないとわかんないんじゃないですかね。
(もちろんローン払えずに任意売却とか高齢で入居審査が通らず住むとこがなくなるとか、人生の最後を待たずに不正解だと明らかになることもあるでしょうが)

あと、これは僕が常々思っていることですが、皆さん「選ぶこと」に重点を置きすぎじゃないですか?家に限らず、大学でも会社でも結婚相手でも。婚活、就活、そのうち「住活」なんて言葉もできるのでしょうか。(笑)いいですか、今の世の中でなぜ「選ぶこと」が一番大事なものであるかのように言われているかわかりますか?それはいちばん大事だからではありません。
「選ぶこと」が大事と思わせたほうが儲かるからです。
儲かる?誰が?そこまで言わせないでください。(笑)
「選ぶこと」を一大事にすれば選ぶ方からも選ばれる方からもおカネなり時間なり有形無形のコストを奪うことができます。そうすれば目立つためにお互いによりパワーを注ぐようになります。昭和の時代の就活や結婚がのどかだと感じるのは皆適当だからです。「どこに」就職するか、「誰と」結婚するかよりも就職それ自体、結婚それ自体の意味のほうが大きかったわけです。
「選ぶこと」を一大事にしてエネルギーを多く注ぎ込めば自然にそれはゴールと位置づけられます。しかし就職でも結婚でも住宅でも大事なのは選択そのものよりも入った後の仕事、結婚した後の生活、買った後の生活なのです。僕は思うんです、皆さん正解と不正解があって不正解を選ばないように選ばないようにするためにたくさん情報を入れたり学んだりしてがんばっているけれども、選んだ時点で正解不正解というのはなくて、選んだあとどうするかで正解になるのか不正解になるのかが決まってくるんだと。「選ぶこと」はゴールではなくスタートで、スタート地点を必死でどこが有利か探して時間を使うより早くスタートを切った人の方が(たとえコースは有利でなかったとしても)早く着いちゃうことだってあるかもしれない、そう思っています。
最後にならないと答えが合ってたか合ってなかったかわからないと言ったのはそういうことです。




歴史上でも同じような時代がありました。
16世紀、ヨーロッパでは自分が救われるのか救われないのかが人々の関心事であり、その気持ちを利用してローマ教皇庁はこれを買えば救われると言って贖宥状を発行し豪奢な寺院を建てました。
しかし救われるのか救われないのか悩んでいたら仕事になりません。もうそんな悩みから解き放たれたい、そんな時代に現れた宗教家がカルヴァンです。

「大丈夫、カルヴァンの宗教本だよ!」って表情のカルヴァン(wikiより)

「大丈夫、カルヴァンの宗教本だよ!」って表情のカルヴァン(wikiより)


カルヴァンは言います。「お前が救われるか救われへんか、そんなんもう決まっとるんやけど、死ぬ時にならんとわからんのや。だからそんなん考えるんやめて仕事がんばれや」
彼の教えは商工業者にバカウケし、憂いなく仕事に打ち込むようになりました。カルヴァンの信徒たちは各国の経済的発展に大きく寄与し、特に宗派対立によりスペインから独立したオランダはその後最盛期を迎えます。(レンブラントやフェルメールなど文化的にも実り多い時代でした)

何の話かわからなくなってきたので話を戻すと、選択至上主義から自由になってもいいんじゃないですか?ってことです。正解か不正解かは知らん、でも(だからこそ?)毎日がんばってこう、というこれからの時代もとめられるのはカルヴィニズムではないかと勝手に思っております。
選択がそんなに重要なんだったらなぜ同じ大学に行った人のなかでなぜあれほど差がつくのか、同期入社のなかでなぜ差がつくのか、やはり入学した後、入社した後の振る舞い、行動が差を生み出しているのではないでしょうか。同じマンションを買っても幸せだと思っている人と不幸だと思っている人がいるのも選択至上主義からは説明がつきません。それで決まるならマンション全体が幸せor不幸で揃ってないとおかしいはずです。

にもかかわらず、「賃貸VS買う」論争はやみません。なぜでしょうか?
それは決着がつかないのでコンテンツとして何回でも回せるからです。
「きのこたけのこ戦争」(きのこの山とたけのこの里の紛争)が終わりなく続くのと同じです。

きのこたけのこ戦争の様子(画像はNAVERまとめより)

きのこたけのこ戦争の様子(画像はNAVERまとめより)


まあでも暇でしょうがないならいいですけど、「きのこたけのこ戦争」を見てなんの学びもないのと同様に、「賃貸VS買う」論争を真剣に議論したり考えても意味がないので他のことやるのをお勧めします。
本家きのこたけのこも和解してコラボしてる時代なんですから。

きのこたけのこ戦争の和解(イメージ) 画像はAmazonより

きのこたけのこ戦争の和解(イメージ) 画像はAmazonより


P.S.この記事は5月頭から書き始めていたのですが、みなさんがこのネタで書き始めるので後になって出しても恥ずかしいと思い、残りを一気呵成で書き上げて公開しました。のらちゃんとかぶってるかなと思いましたが、よく見るとかぶってないですね、うん。(自画自賛)
賃貸vs購入の比較なんてあまり真剣に考えてもしゃーない
マン点流!不都合な真実を解説(賃貸vs購入)
住宅購入を無理しないという選択

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マンションコミュニティの皆々様方、ごきげんよう。不動産業界に身を置くDJあかいと申します。 この度、スムログという多くの人の目に触れる晴れの舞台をいただきましたので、普段のブログと一味違った学びのある記事を発信していきたいと思います。

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