このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介しようというものです・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています
マイホームを持つ目的、意義を改めて問い直してみようと思います。
たまたまかもしれませんが、最近「一人になったら家を売却して老人ホームに行くつもり。そのとき高く売れるマンションを買いたいが、この物件はどうか」というタイプのご相談が続きました。
その中から、「マンション買って損をするくらいなら、このまま賃貸でもいいかと思わないでもない」というニュアンスの声を聞くからです。
確かに、借家暮らしなら利益も資産も得られない代わりにマイナスもないわけですが、分譲マンションを買ってしまうと多額の売却損を被る可能性は残りますね。
しかし、そのリスクを取っても得られるメリットがあるのがマイホームのはずです。そう思う人が多いからこそ、マンションは売れるのです。
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購入と賃貸、どちらが得?
しかし、その方法を仔細に眺めてみると、いくつもの前提条件が設定されており、そこが途中で変われば、試算結果も全く別のものとなることが明白なのです。
例えば住宅ローンの金利ですし、家賃の変動もそうです。
ずっと同じ家に住み続けるというのは現実的ではありませんから、売却による損得の変動も本来なら計算に入れなければなりません。
長く住むとしたらリフォーム費用もかかって来ます。賃貸の場合では、新たな礼金・手数料といった費用と更新料なども必要です。
これらは全て不確定要素です。それを試算に正確に反映するというのは不可能なことです。
しかし、購入か賃貸かを経済的な側面から損得を判定すると、答えは簡単に出せる方法、というより考え方があるのです。
大都市圏のマンションに限ることかもしれませんが、購入に軍配があがるのです。その理由はこうです。
現金購入でなく住宅ローンを利用した購入でも、返済を終了したときには僅かにせよ資産が残ります。その金額が5千万円になったか、1000万円にしかならなかったかの差はあるものの、何がしかの資産(財産)が残ります。
これは、賃貸マンション住まいの人には絶対に得られないものです。ボロボロの借家にただ同然の家賃で長く住み、その間に巨額の貯蓄をすることに成功したという人がいるでしょうか?
もし、そのような人がいれば、借家住まいも資産を残せるという反論にはなるでしょうが、現実的な話ではありません。
賃貸マンションやアパート暮らしは家主の資産形成に貢献できることはあっても、自分の資産をつくることには雀の涙ほども貢献しないのです。
20年、30年先のことなど、誰にも分からないわけですが、それでも長期ローンを組んでマイホームを買う人がたくさんあります。勇気ある行為なのか、自信があるからなのか、まあ何とかなるさ、なのか。
とにかく新築マンションを購入する人だけでも、毎年10万人前後(全国)現れます。一戸建てを買う人や古い家を建て替える人、中古住宅を買う人なども含めたら80万人にもなるのです。
その一方で、「みんなで渡れば怖くない」でなく、やっぱり怖いと逡巡する人もいるのは事実です。
そこで、仮にローンを組むのが怖いからと、いつまでもマイホームを持たず、頭金を貯めるのもままならずに進んでしまうとしたら、その先はどうなるかを考えてみました。
つまり、購入を決断することが本当に正しいのか、判断を確かなものにするため、逆から発想して考察してみました。
借家であっても、より快適な住まいで暮らしたいと考えるのが普通の人間の感覚というものでしょう。つまり、広い、設備がいい、近いなどを求めるわけです。最初はそうでなくても、家族が増えたり、家財が増えたりすることによって欲求が高まります。
ところが、そのような立派な住まいの家賃はバカ高いものになることでしょう。結局、そうなれば家賃が勿体ない、馬鹿馬鹿しいと感じ、やっぱりマイホームを持とうと心変わりするでしょう。結局、ずっと借家で行くつもりであったのが、やっぱりマイホームを持とうと方針転換するわけです。
ということは、マイホーム取得のチャンスが大幅に遅れるというデメリットに繋がります。
誰でもそうなると断言はできませんが、より快適な住まいで暮らしたいという欲求が生まれることが分かっているのなら、早いうちに買ってしまった方がよい。そう言えるのではないでしょうか。
もちろん安い住宅に住み続けるという選択肢もありますが、それで満足するだろうか。家族は幸福に感じてくれるだろうか、その懸念がデメリットとも言えます。
デメリットの二つ目は、死ぬまで家賃を払い続けなければならないという点です。収入の減る老後、家賃を払い続けながら、不安なしで暮らしていけるだろうか。低家賃の住まいを見つけて住み替えるという方法はどうだろうか。このような観点から検討してみましょう。
従来、賃貸での生活は、高齢者にとって、新規契約の難しさ、住宅の老朽化などの不安が大きなものでした。しかし、少子化、人口減、高齢化していく日本では、住宅市場も高齢者を意識したものへと変わっていくと考えられます。生活のケア、バリアフリー、コミュニティの充実など、さまざまなサービスが賃貸物件にも盛り込まれるようです。
しかし、急に数が増えることはないだろう。まだまだ現実は厳しいという状況が続くと考えるべきなのではないだろうか。老夫婦が快適に暮らせる低家賃の住まいは果たして見つかるだろうか。そんな疑問は残ります。
過疎地の廃屋でも探して住むことにしますか?そんな場所に引き込みたくないとしたらどうしますか?やはり、マイホームの取得は切り離せないのではないでしょうか。
早めに手当てし、サラリーマンなら、定年退職までにローン完済の目処をつける。これが理想なのではないでしょうか。
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マイホーム購入のメリットとは?
①家賃は一生の借金なのに対して、住宅ローンは期限付きの借金である
一定の年齢に達したら家賃は払わなくてよい。そのような老人福祉制度の誕生は期待できるでしょうか?まあ、無理でしょう。家賃は一生払い続けることが必要です。これに対し、マイホームで、住宅ローンを家賃に見立てたとしたら、完済したときから永久に払わなくてよくなります。
一生の借金、期限付きの借金という違いが両者にあるということが言えそうです。
②失業したとき、家賃支払いを猶予してくれる家主はいないが、住宅ローンには返済猶予の途が開かれている
返済猶予を願い出れば、どこの金融機関でも大抵は承認されます。数年間、金利だけの返済に変更してもらうことが可能です。
③住宅ローンには、生命保険が付帯している。万一のときも、遺族の家は無借金で確保される
家を住宅ローンで購入する場合、あらかじめローンにセットされている生命保険への加入が一般的です。これはローンの返済途中で借主が亡くなっても、この保険金で残額が返済されるもので、残された家族は住む場所を維持することが可能です。
賃貸住宅の場合では、一家の大黒柱が死んだからといって、同情して賃料を下げてくれたり、免除してくれたりするような奇特な家主さんはいません。
④ローン返済の方が今の家賃より負担が多いかもしれないが、より快適な家に住めるというメリットが大きい
持ち家は大抵の場合、頭金を多少入れたとしても、それまでの家賃並みローン返済ではすまないことが多いはずです。しかし、持ち家は借家よりグレードアップされた住まいのはずですから、当たり前のことです。
上記以外にも、マイホーム購入のメリットはあります。
それは、持ち家であることの誇り、逆に見れば周囲の賞賛、そして何より家主の許可なく自由にインテリアを楽しみ、最新の設備・機能による便利な暮らしを満喫できる「精神的な利益」、そして老後に家賃がいらない家に住めるという安心感などです。
例え漠としていても、このように思う人が多いからこそ建売住宅もマンションも毎年、毎年大量に売れて来たのです。そして今も購入したい人が引きも切らないのではないでしょうか?
もう少し具体的に見て行きましょう。
- 借家では釘1本打てない窮屈さ・・・賃貸マンションではご承知のように室内を勝手に改造することはできません。壁紙を変えたり棚を付けたりすること、或いは地震対策にと大型家具を壁に固定するなどの行為は家主の承諾が必要です。
その点、マイホームは誰にも気兼ねせず(工事の騒音があれば近隣挨拶が必須なのは常識ですが)自分の好みで改造も更新もできるのです。
- 老後の安心感が得られる・・・東京のような大都市ではバカ高い家賃を払わなければ快適な住まいで暮らすということが困難です。「それが一生続くなんて」と考えると、やはり勿体ないと思うものです。
家賃の高さは、高齢になったとき、つまりリタイア以降の負担に不安を覚える元となっています。
定年延長が一般化し、65歳を超えても働く人が増えているようですし、自分もできるだけ長く働きたいと考える人が多い時代にあるとはいえ、一方で希望の仕事に就けるかどうかは不透明です。
定年後の人生も長い時代ですから、果たして家賃を払い続けて行けるだろうか?そんな疑問・不安が頭をもたげて来て当然です。
そこで、負担感の少ない(つまり住宅ローンは早めに終わらせて)マイホームを手に入れておきたいと考えるに至るわけです。
- 一国一城の主になった。男子一生の仕事を成し遂げた・・・男性の中には、このような思いでマイホームを購入する人もあるでしょう。
人間の欲望の中には、尊敬願望というのがあります。 周囲の賞賛を浴び、羨望の目で見られたいという心理と言い換えてもいいでしょう。
「若いのに大したものだ」と言われ、職場の同僚や上司など、周囲から一目置かれる存在になることも期待できます。
家族からも尊敬される父親になれるはずです。
その結果、自信がみなぎり、仕事がうまくできるようになったり、責任ある仕事を任されたりする可能性が高まることでしょう。
- 広くて設備の良い住宅・・・古いアパートに入れば、大抵はトイレに暖房便座も温水洗浄も付いていません。ビルトイン型の食器洗浄乾燥機もないのが普通です。ミストサウナ付きの浴室も三面鏡のある洗面室も賃貸マンションではないものです。
共用玄関にモニター付きのインターホンはないし、当然ロックかかっていません。自動ドアでもありません。
分譲マンションなら、これらがほぼ100%、物件によってはミストサウナやディスポーザーも付きのキッチンを手に入れることだってできるのです。
分譲マンションの賃貸住戸を借りれば同じ快適な住まいで暮らせるではないかという反論もあるでしょうが、その代価はとても高いものになるはずです。
- 生命保険付きなので家族に無借金の家を残してあげられる・・・住宅ローンを利用している場合でも、自分に万一のことがあったとき、その返済に家族が肩代わりを迫られることがありません。
住宅ローンには例外もありますが、原則として生命保険がセットされていて保険料は金融機関が支払うシステムになっているからです。
ローンの残債が2000万円のときは2000万円が、1000万円に減っていれば1000万円が直ちに保険金として支払われ、金融機関に自動的に回る仕組みです。
これで、遺族は安心です。ローン返済も家賃負担もないのですから。
- 資産形成が図れる・・・先に述べたようにマイホームは金額の大小はあっても何がしかの資産を残してくれるのです。
マイホームを処分して現金化し、それで老人ホームの入居金にするとか、都心のマンションを高く売って田舎の安い家に住み替えるとかが可能です。
田舎には行きたくないとしても、都心から少し離れた場所に、それも都心へ出るのに便利な街などで、小さな家に住み替えるという選択肢もあるはずです。
この転居によって、手元にいくばくかの現金が残れば、それを老後の生活の足しにすることができます。
資産価値の高いマンションを選択し、頑張ってローンを完済すれば、こうした恩典を授かるというわけです。
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如何でしたか? 分かり切ったことだと非難される内容だったかもしれませんが、漠然としていた部分が整理できたり、今まで気づかなかった項目が見つかったりしたのではないでしょうか?
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マンション購入時の疑問・反論に答える
質問(1):将来、入院や老人ホームなどに入居するためなど、まとまったお金が必要になってマイホームを売らなければならなくなったとき、住宅ローンの残債を清算して手元に残そうとしたら、頭金はどのくらい必要ですか? 20年後に売ると仮定した場合ですが。
<答え>
ローンが少なければ少ないほど、売却のときのローン清算がしやすいのは確かです。頭金を半分入れて残りを35年ローンで購入したような場合、20年後は今の金利ならローン残債は半分以下に減っていますから、売却額が購入時の半分になったとしても当初のローン分の半分が手元に残ることになります。
数字を使ってもう一度説明しましょう。
4000万円のマンションを頭金2000万円、35年ローン2000万円、平均金利1%(変動型ローンを選択した場合の想定)で購入。
20年後のローン残債は約945万円。売却額2000万円から945万円を差し引きすると、1055万円が手元に残ります。(仲介手数料など譲渡費用が別途80万円ほどかかる)
しかし、頭金の2000万円を元本と考えると半分に目減りした格好です。
これに対し、頭金を20%、ローン80%で購入した場合はどう変化するでしょうか?同じようにシミュレートしてみましょう。
頭金800万円、ローン3200万円で4000万円のマンションを購入。20年後の残債は約1500万円となります。
ということは、売却額が2000万円なら、手元には500万円しか残らない計算になります。
ここから譲渡費用を差し引くと420万円ほどしかないことになりますね。
頭金800万円は半分に目減りと、こちらも率では同様ですね。
ちなみに、35年ローンでなく20年ローンにしておけば、売却額2000万円の場合は手取りも2000万円となり、譲渡費用を別としたら、頭金が利息なしでそっくり戻って来る計算です。
次に、10年先の売却ということにして、ローン年限も20年にしたら答えはどう変わるでしょうか?
10年後の残債務は1680万円と、およそ半分に減ります。
10年で売るのですから、よほど劣悪な条件の物件でない限り価格も半値とはならないでしょう。仮に20%値下がりして3200万円になったとすると、手元には譲渡費用を差し引いて1500万円くらいが残る計算です。
金利を1%としたのは、変動型を利用する買い手が多いので、平均を想定したものです。しかし、不安に感じる人もあるでしょうから、全期間固定型(フラット35)を利用した試算もしてみます。(ここでは少し高めの1.8%で)
すると、35年返済の場合の10年後の残債は2480万円もありますが、3200万円で売却できれば、手元には約700万円が残ります。頭金部分が100万円ほど目減りするだけです。
ただ、売却額が35%も下がってしまうと譲渡費用を払って手元には殆ど残らない計算となるのです。
以上のシミュレーションは、10年後または20年後に売値が買い値から何%下がるかという設定条件を変えれば全く異なる答えになるわけです。
(注:ここでは、毎月のローン返済の額を含めた総支出によるキャッシュフローは度外視しています。疑問に思われる方は、ご質問をお寄せください)
質問(1)は、「10年または20年後どのくらいの値段になるか」の次の質問と同義でもあるのです。
質問(2):10年後、あるいは20年後にマイホームを売るとすればいくらで売れますか?債務超過にならないように頭金の用意をするにあたり、将来の売却損を想定しておきたいので
<答え>
この質問に的確な回答、なるほどと思えるような説明が書かれた書籍は見当たりません。販売現場の営業マンならどうでしょうか?営業マンは、将来の不確実な問題には答えられないと避けるはずです。
仮に担当している物件の値下がり率が予測できたとして「20年後は〇〇くらいでしょう」などと言えば、買い手の購買意欲が後退することになりかねないからでもあります。
おそらく「20年先のことですから分かりません」か「20年先の価格が購入時から上がることはないと思います」などと曖昧な答えになるはずです。
中には、周辺の再開発計画などを説明して、値上がり期待を与える策に徹する営業マンも少なくありません。
「20年先には半値になるから、ローンが売値を下回るようにするには頭金を最低でも〇〇万円は入れるべきです」、または「繰り上げ返済によってローンをそこまで減らすべき」などとは口が裂けても言わないでしょう。
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この種の疑問に的確に答えが書いてある書籍も見当たりませんし、営業マンも当てにならないとしたら、買い手は悩むばかりです。それでも購入を決断して行くほかないのです。
結局、「できるだけ値上がりしそうな物件を買おう」と考え、「頭金をできるだけ多く入れておこう」や「できるだけ繰り上げ返済を頑張って行こう」と考えをまとめるのが精一杯かもしれません。
賢明な読者はお気づきと思いますが、この2つの疑問は全て購入マンションの資産価値が問題なのです。
マンション選びは、本来は住み心地や暮らしの利便性などが目的のはずですが、同時に資産価値を考慮に入れることも大事なこと、それを意識する買い手が増えています。
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「持ち家は負債を背負うこと」という意見もあるが
賃貸住宅とマイホームの費用を対比したものが、下記の表です。
<住居タイプ別 生涯必要費用の項目>
戸建て住宅 | 分譲マンション | 賃貸住宅 |
固定資産税 都市計画税 不動産取得税(取得時の1回のみ) |
固定資産税 都市計画税 不動産取得税(取得時の1回のみ) |
入居費用(敷金・礼金・仲介手数料など) 更新料(2年毎) |
火災保険料 | 火災保険料 | 火災保険料 |
修繕費 | 修繕費(積立金・一時金) | |
物件代金 | 物件代金 | 家賃 |
ローン金利 | ローン金利 |
こうして見てみると、マイホームには賃貸住宅にない費用負担が出てきますし、普通の人には住宅ローンという負債がつきものです。しかし、家族の生活と未来を守る「保険」としての位置付けにもなりますから、持ち家=負債、負債は重いと考えるのはいかがなものでしょうか?
家を買うというのは、万が一という予測不可能な将来に対して備えること、という考え方もできるのです。
一般的に、高い賃料を払う生活を続けながら定年時に全額現金購入できるだけの貯蓄をするのは至難の業ですが、マンション購入の選択は上手な買い替えを繰り返すことで頭金が増えて行き、終の住処は全額現金で新築を購入することも可能です。
つまり、住みながら、かつローン返済をしながら儲けることが可能なのです(詳しくはホームページでご案内中です)。
勿論、買い替えを考慮しなければ、長期ローンもいつか終わり、無借金のマイホームが残りますが、平均余命が伸びている現在、人間の余命より購入した住宅の余命が短い(中古で購入の場合)という問題に直面する危険を考えると、定年後は新築か築浅の住まいに買い替えることを想定しておいた方が良いでしょう。
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住宅ローンは強制貯金?
頭金を貯めるスピードが遅い人にも、買いたいと思う時期がやって来ます。ライフステージの転換期に住み替えを検討し、賃貸より購入した方が得らしいと気付き、少し無理してでも家族のために買おうと決断する父・夫があります。
そんなとき、無理をするかどうかはさておき、思い切って購入する道を選択するようお勧めしたいと考えます。
住宅ローンの返済は貯蓄そのもの、まさに強制貯金のようなものだからです。
その理由を説明しましょう。
その昔、住宅ローンは元利を合計すると借りた金額の3倍も払うことになると言われていた時期がありました。金利が高かったからです。
バブル末期1990年の住宅ローン金利(銀行)は8.5%でした。この頃に1000万円を35年返済で借りると、毎月の返済額は74,686円、35年の返済総額は約3136万円となります。3倍以上です。
これに対し、直近(2017年1月現在)の金利は35年固定で1.2%なので、毎月返済額は29,170円、35年合計で1225万円に過ぎません。
さて、注目点は元金の減り方にあります。借りてから半分を過ぎた辺り、18年後の元金残高の差を比べてみます。
8.5%のローンの場合、18年後の残債は約800万円ですが、1.2%の方は約538万円です。
前者は18年間払い続けたにも関わらず、20%しか減っていないのに対し、後者は46%も減るという大差がつくのです。
要するに、高金利時代は返しても返しても大半が金利に消え、元金中々減らないのですが、現状の低金利の下では、返済金の大半は元金に回るので、ぐんぐん減って行くのです。
ちなみに、返済金の元金と金利の内訳をみておきましょう。8.5%の場合、初回返済月は74,686円のうち元金が僅か3,853円、金利が70,833円にもなっています。18年後でも元金が17,574円、金利は57,112円もあるのです。
これに対し、1.2%のローンでは、初回が元利合計29,170円のうち、元金19,170円、金利は僅か10,000円となります。18年後は元金23,766円、金利5,404円と、金利は一段と少なくなるのです。
全額借金で購入した場合、100のマンションも正味資産としてはゼロですが、借金が半分に減れば正味資産も50まで増加するわけです。これは返済金のうちの元金部分が不動産という資産に置き換わったことを意味します。
借金は嫌でも返さなくてはならないので、貯蓄を強制されたようなものです。そうして、いつの間にか大きな額の貯蓄残高を持つことになるのです。ただし、簡単には解約ができない(換金ができない)貯蓄というわけです。
このような絶大な効果があるので、貯蓄下手かどうかを問わず、マンションを買うのは資産形成の観点から意義あることになるのです。
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増える貯蓄か元本割れしてしまう貯蓄か、それが問題
お分かりのように、マンションという不動産は選択を誤れば大きく増えるものもある代わりに、思ったほど増えないものもあるという現実があります。
18年返済して来た結果、貯蓄はゼロどころか、マイナスになってしまうこともないわけでなく、逆に60にも70にもなることがあるということです。
資産価値が100だったマンションが18年後に50になってしまうか、100以上になっているかによって、換金したときの銀行清算後に手にする額、すなわち正味資産の額がまるで違ったものになるのです。
マイナスもあり得るのは、ローン残債以上の額で売れないものがあるからです。借金がなくなってしまえば、マイナスはないわけですが、残債がある段階で買い替えの必要が出てきたとき、売るに売れない状況になるかもしれないというわけです。
このようなことにならないようにするには、購入する物件の将来価値を読む目が重要と言えます。
・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。
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別サイトのブログ「マンション購入を考える」も是非お目通し下さい。500本以上の記事があります。
私は賃貸派ではないですが、コストの視点が片寄っているのでコメントします。
管理費、修繕積立金、固定資産税や占有部設備の故障時の負担は、ローン返済後もただで住めるというほど軽いものではありません。
特に、ローンを払い終える頃には修繕費がどんどん値上がりしてかなりの額になります。最近のマンションなら、管理費修繕費固定資産税で少なくとも五~六万はかかりそうです。タワーマンションならもっとかかりますね。
そして、高齢で年金生活でそれらを滞納すると、せっかくの資産が強制競売などで取られてしまいます。
また、グレードの高い部屋と言いますが、十年たてば陳腐化します。快適に住み続けるためには、設備をアップグレードするための多額のリフォーム費用も必要です。
三井さんはマンション相談が飯の種なので、なるべくマンションを買うことが賃貸より価値のあるように大袈裟に見せたいのはわかりますが、コスト面ではもっとフェアに評価すべきでしょう。
それらの費用に一応触れました程度で書いて、公平に評価してる風に見せるのもどうかと思いますよ。
定量的な納得感のあるデータでぜひとも反論をお願いします。
ご意見はごもっともですが、議論はしたくないので、また機会がありましたら続きを書きますね。
価値観や人生観などの話まで拡大しますので今はご勘弁下さい。 三井健太