スムログではだいぶご無沙汰しておりました、のらえもんです。
住まいスタジアムのプロデュースも一段落し、ようやくスムログに戻ってこれそうかなと思った時にお便りをいただきました。今回はこちらへの返信をエントリとさせてください。少し長くなりますが、マンションの特定ができるような記述は省き後は載せさせていただきました。Xは実際の数字が入っていました。
差出人: なつこのママ
メッセージ本文:
中古マンションの売り時について悩んでいます。
2016年に築3X年の中古マンションを買いました。
場所は豊洲駅から徒歩XX分の住所的には枝川という場所になります。
元々は賃貸で4年ほど住んでいたマンションなのですが、引越したいな~と思っていたところに、別部屋が空きに出ており、リノベーション物件でとても内装がキレイだったため購入に踏み切りました。(XXXX万円 世帯数XXX以上の大規模マンション)
子供がすでに保育園に通っているためエリアを変更するのは難しかったのと、豊洲近辺は高級マンションばかりで手が出ないと思っていたのですが、こちらの物件は価格的も予算内でした。
(と言っても我が家は夫婦で世帯年収がXX00万円程度あるため、もう少し予算高めのマンションでも良かったのではという気もしています)
(中略)
しかし、やはり築年数があるのが気になっています。
間取りも3LDKで60m2程度と4人家族には手狭なため、ゆくゆくはもっと広くて築浅のマンションに引越したいと思っているのですが、引越しのタイミングを迷っています。
売り時についてですが、
・2020年のオリンピック開催前まで
・有楽町線の延線計画があり枝川に新駅が出来る可能性が高いので、(時期は未定)枝川駅ができた直後(枝川駅からだと徒歩10分以内)
・マンションが築40年を超える前まで
などを素人なりに考えているのですが、何かアドバイスいただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
まずはご新居へのお引っ越しおめでとうございます!
ご相談に書かれた条件にドンピシャで当てはまるマンションは江東区枝川にはありませんでしたが、似たような条件のマンションは存じております。今回はそちらのマンションと仮定してお話いたします。
ご質問をまとめますと「リノベ済のマンションを購入し、周辺開発による新駅も期待できる場所なのだが、売り時はいつだろうか」というご質問ですね。
以下の回答は、なつこのママさんに宛てというよりも、あくまで一般論でお聞き下さい。
大規模マンションにおいて、リノベ済とリノベ無の売り物件が同時期・同条件・同棟内にあるとしてだいたいどれくらいの売り出し価格差があるか、といいますと一般的には700万円〜1,000万円程度の価格差で売られています。なつこのママさんのマンション事例を調べますと、同棟内で同程度の広さのマンションは、ご購入された価格から800万円くらい安い価格での取引がされていました。
ではリノベ済とリノベ無で中古市場に出た場合、どれくらいの価格差が出るのでしょう?こちらを定量化したデータは存在しませんが、一般的に「◯年前にリフォーム済み」というマンションの価格を見ると、記載がないマンションと比べてもさほど変わらない価格での取引となっています。これは車のオプションと似たようなものです。こだわりのマフラーやハンドル、カーナビ等は買取時に評価がほぼ付きません。
つまり、取引時800万円の価格差は数年で消滅することになります。
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リノベ済中古マンション、購入後時価相場の値動きシミュレーション:
(クリックすると大きくなります)
もし、ベースの価格が1億円のマンションの場合、1億円と1億800万円なら下落率は8%ですので、さほど気になりませんが、ベースが2,000万円の場合ですと2,800万円は40%の価格が乗ってしまっているので、転売時の損失は避けられません。
もちろん、この価格差は「快適代」や「リフォームにかかるデザインや手間賃」を買ったと思えば納得できます。車と同じで、こういうその物件にしかない固有のコダワリにお金を出した場合は乗り潰すのが経済的には正解となります。800万円を5年で割れば1年あたり160万円ですが、15年で割れば53万円です。リノベ物件は相当程度長く住みましょう。
ですので、お答えとしては「せっかく気持ちの良いリノベ済みマンションに住めましたし、物件のマンション管理も良好とのことですから、しばらく転売のタイミングはあまり考えず、そのまま住むことをおすすめします」ということになります。
江東区枝川は新駅の開発で大きく価格上昇するでしょうか?私にはわかりません。
一般的に言えば、エリア全体が大きく価格上昇する要因は大規模な再開発によって周囲の目が向けられる(=今と将来での人気が変わりそうな場所)となりますが、枝川新駅に伴う大規模再開発があるという話も聞きません。そのような状態でエリアの将来予測は非常に難しいですね。
弊著「専門家は絶対に教えてくれない! 本当に役立つマンション購入術」で述べた「マンションは築20年で下げ止まり以降は緩やかになる」というロジックも実はここに原因があります。築20年を超えると、リフォームを大規模に行わなければ設備・内装共にそのままでは住めませんので、リフォーム代の重しがかかってきます。そのため、減価曲線は緩やかになるのです。
新築マンションは1年で1坪4万円減価する(本当に役立つマンション購入術より):
(クリックすると大きくなります)
逆を返せば、本当にお得な中古マンションは売主側が数年前にリフォームを行い、手直しをほぼ必要としない築20年以上のマンションとなるのです。
実は私の親族が、この条件に当てはまるマンションを買っています。とてもキレイにリフォームされた大規模マンションの一室を購入しましたが、棟内の同程度の広さに比べて100万円くらいの差でした。入居後の手直しはDIY程度で済み大変コスパの良い買い物でした。
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早速のご回答ありがとうございました。
お返事が素早すぎてびっくりしました!
共働きのため、自分たちでリノベーションをやるのは時間、手間的にとてもハードルが高かっただろうと思うと、上乗せ分は「快適代」「手間代」として納得できます。
余計なことは考えず今の生活を満喫しようと思いました。
ありがとうございました。