お客様から良く聞かれる質問の一つが、『分譲マンションは何年もつの??』です。
確かに気になりますよね。
ご自身の住まいが物理的にいつまで使用できるのか、資産性は保てるのか。
今回は分譲マンションの寿命について徹底的に解説致します。
はじめに
マンションの寿命で多くの数字を耳にするので何が正しいのか不動産屋でもわからない人が多いのが現実です。
減価償却で使用される法定耐用年数(鉄筋コンクリート):47年
国土交通省発表の建替えまでの平均年数:33年
こちらの数字を寿命と言う方がおりますが、完全に誤りです。
マンションとはそもそも何なのか。
鉄筋コンクリートで構成された箱です。
つまり鉄筋
コンクリートの寿命≒マンションの寿命
と言えます。
鉄筋コンクリートについて
鉄筋コンクリートは引っ張る力に強い鉄筋と押す力に強いコンクリートの長所を掛け合わせ曲がる力にも強くした構造です。
1951年の大蔵省主税局の発表によると鉄筋コンクリートの物理的な寿命は、120年、
適切なメンテナンスを行うことで150年と言われております。
日本最古の鉄筋コンクリート造の建造物はKN日本大通ビル(旧三井物産横浜ビル)で現在築112年ですが大変綺麗に保たれております。
神社仏閣も木造で築何百年の建物は多く存在し、更に強度の高い鉄筋コンクリートが数十年で寿命がくるということは考えにくいです。
更には鉄筋コンクリートの技術進化は凄まじく、より物理的寿命は延びてきております。
なお、東日本大震災の際に大破した鉄筋コンクリート造の建物はありませんでした。
鉄筋コンクリートの劣化
鉄筋コンクリートといえどメンテナンスを行わなければ数十年で寿命を迎えることもあります。
暴飲暴食、睡眠不足で病院に行かなければ若くして亡くなる人間と同様です。
コンクリートはアルカリ性ですが空気中の二酸化炭素に触れることで中性化します。
これにより鉄筋に水が浸透し錆が生じることで劣化が進みます。
言うまでもなくメンテナンスが重要でありクラックと言われるひび割れを丁寧に修繕しているかが寿命を左右すると言えます。
マンションの経済的寿命
以上お話した内容は鉄筋コンクリートの寿命についてでしたが、マンションは経済的寿命もあります。
・居住者がいなくなり維持修繕が不能となった
・容積率緩和など合理的な理由による建替え
・スラブ下配管により給排水管のメンテナンスができない
などが主な原因となります。
スラブ下配管により給排水管のメンテナンスができないマンションが稀にありますので解説致します。
一般的な給排水管の耐用年数は素材によりますが20~30年とされております。
つまり鉄筋コンクリートよりも圧倒的に寿命が短いため定期的な交換が必要となります。
上記左の図は一般的なマンションの構造となります。
対して右がスラブ下配管のマンションとなり排水管の工事をするために下の階の天井を開けなければできません。
つまり工事のハードルが凄まじく高いです。
これを理由として建替えになる物件も存在します。
まとめ
鉄筋コンクリートは100年以上持つということはご理解いただけたかと思いますが、
何よりもメンテナンスが重要ということもお分かり頂けたと思います。
購入に先立って、
・重要事項調査報告書
・長期修繕計画書
を不動産会社に見せてもらう様にすると良いでしょう。
専門的な観点が必要なので不動産会社さんに過去の修繕履歴や今後の修繕計画について見解を聞いてみて下さい。
標準的な修繕積立金の金額は200円/㎡程度となりますので70㎡の物件ですと14000円となります。
多い分には問題ありませんが、少ない場合は黄色信号かもしれません。
また、小規模物件(30世帯以下)については1部屋の管理費修繕積立金の滞納が大きなインパクトとなります。
自主管理物件についても要注意と言えます。
とにかく管理体制については丁寧に確認して購入意思決定をしてください。
この記事が皆様の物件探しに少しでもお役に立てますと幸いです。
コメントを残す