新築マンションの引き渡しを控え、地震保険をどうするか「迷ってます」さんからの質問への回答。
読者からの質問
「迷ってます」さんからの質問。
誰に答えて欲しいですか?
マンションマニア, のらえも ん, 勝どきちゃん, ふじふじ太, すまいよみ, はるぶー, 住井はな, マン点, タビー, DJあかい, 部長, 東京湾岸ライフ, 大阪タワー, こう, 稲垣ヨシクニ
いつも拝見させていただていおります。
新築マンションの引き渡しを控え、地震保険をどうするか検討しております。
地震保険は財源がそれほど多くないこともあり、入ったとしても、支払われる金額に大きな期待ができないと聞いており迷っております。(共有部ではなく専有部です)
皆様は地震保険についてどの様に考えておられますでしょうか?
個人的な考えでかまいませんので、お聞かせ願えると助かります。
何卒よろしくお願いいたします。
巨大地震でも保険金は受け取れるか?
民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険しているのが地震保険。民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理されている。1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は11兆7,713億円で、民間保険責任額と合計した1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円。
この総支払限度額は、これまでも関東大震災クラスの地震と同等規模の巨大地震が発生した場合においても対応可能な範囲として決定されていて、阪神・淡路大震災や東日本大震災が発生したときにも問題なく支払われている。
※以上参考:財務省「政府による再保険」
問題はここから。
万一、総支払限度額を超えた場合には、「その支払うべき保険金を削減することができる」ことになっている(地震保険に関する法律 第4条(保険金の削減))。
具体的には、次式により削減される。
- 支払保険金=算出された保険金の額×(総支払限度額÷算出された保険金の総額)
過去の地震で支払額が最も多かったのが東日本大震災の約1.3挑円。次いで熊本地震の約4千億円(次表)。
したがって、現在設定されている総支払限度額12兆円であれば、南海トラフ地震はともかく、首都直下地震であれば足りるのかもしれない。
皆はどの程度加入しているのか
都道府県別の世帯加入率の推移を可視化してみた。東日本大震災の被害が大きかった宮城県の世帯加入率は11年度から13年度にかけて急増し、5割を超えている。また、熊本地震(16年4月)以降、熊本県の世帯加入率は急増し、3割から44.2%にジャンプアップした。
ところが、首都直下地震は30年以内に70%の確率で発生すると想定されているにも関わらず、東京都の世帯加入率は4割に届いていない。
世帯加入率4割とは、なんとも微妙な数字……。
個人的見解
宮城県も熊本県も、大地震が発生した後に世帯加入率が急増している。そもそも地震保険とは、大地震が発生した際に建物や家財の損害額を補填するために加入するもの。大地震が発生した後に加入することに意味がないとは言わないが、再び同地域で大地震が発生する確率は下がるので経済合理的な行動とは言えないだろう。首都直下地震は30年以内に70%の確率で発生すると予想されているので、新築マンションの寿命が30年以上あることを考えると、「23区で新築マンションを購入する人は地震保険に加入する」というのが合理的な判断ではないか。
地震保険に加入したほうがいいのか? 生命保険を例に話を進めよう。
生命保険は、子供が小さいうちは掛け捨てに加入したほうがいい。なぜならば若いうちは収入が少なく、万が一世帯主が亡くなっても、残された家族が路頭に迷うことがないからだ。
子育てが終わって、ある程度資産の蓄えができてきたら、世帯主が死んでも最早保険の支払金額に期待する必要はないので、生命保険は無用。
それと同じように、月額数千円程度の地震保険に入るか否か迷っているうちは、発災後の生活費に困らないためにも地震保険に加入してはどうか。
逆に、自分の住戸が半壊しても困らないほどの金融資産を持っているのであれば、地震保険の加入は無用だろう。
筆者はもちろん地震保険に加入している。
本記事の記載内容にかかわらず、地震保険への加入の可否を決めるのは自己責任でお願いします。
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