マンション選びでは、花粉症の人はもちろん、花粉症予備軍の人も、スギやヒノキの花粉の飛散量の多い地域は避けたいのではないか。
花粉飛散データを測定・公開している機関はないのか?
東京でいえば、奥多摩に近い青梅、八王子といった都西部に花粉飛散量が多いことは容易に想像できるのだが、花粉症に優しい地域がどこなのか、ネットで調べても見当たらない。東京都保健医療局が運営しているサイト「東京都アレルギー情報navi.」には「過去の飛散花粉数データ」として、2001年以降のシーズンごとのデータが掲載されているのだが、データ計測地点は都内12地点(千代田、葛飾、杉並、北、大田、青梅、八王子、多摩、町田、立川、府中、小平)に限られている。
もっと多くの地点で花粉飛散データを測定・公開している機関はないのか?
じつは、環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)事業の廃止で2022年から花粉飛散データの取得が出来なくなったことを受けて、株式会社ウェザーニューズが独自のIoT花粉観測機「ポールンロボ」による全国の花粉飛散数のリアルタイムデータを無料で公開している(次図)。
一般の家庭の軒下などにも設置されている全国約1,000か所の「ポールンロボ」の観測値(レーザー光を使って空気中の花粉数をカウントする)のばらつきを補正した、1時間単位の花粉飛散数データを市区町村ごとにCSVファイルでダウンロードできる。そこで、2023年春の都内の花粉飛散状況を可視化することにした。
2023年春のデータを可視化の対象時期に選んだのは、「ポールンロボ」データの提供が2022年以降であることと、同年春のスギ・ヒノキの花粉飛散数が過去10年平均の1.5倍と多かったため(次図)。
2023年春のスギ・ヒノキ花粉の飛散状況|東京都より
23区の花粉飛散数ランキング(2023年春)
「ポールンロボ」データを集計し、2023年春の花粉飛散数の少ない区の順に並べたのが次のグラフ。江東区が圧倒的に少なく、品川区、世田谷区と続く。
江東区の花粉飛散数が少ないのは、花粉の飛散元である奥多摩から遠いことに加え、春先には海からの穏やかな風が多いことの影響が大きいのではないか。
※花粉飛散数は、2023年2月~5月の、1時間ごとに測定された花粉数の累計値。
都内の花粉飛散数マップ(2023年春)
「ポールンロボ」データを集計し、地図に落としてみた(次図)。そもそも花粉というものは、行政境界でキッチリ分けられる性質のものではないので、さらに等高線で表現してみた(次図)。
花粉飛散数は、都内西部ほどが多くなり、東部ほど少なくなるのは実感とも一致する。
意外だったのは、江東区だけでなく、江戸川区・墨田区・足立区の一部も花粉飛散数が少ない傾向が見られること。墨田区は隅田川、江戸川区と足立区は荒川によるなんらかの花粉飛散抑止効果でもあるのだろうか……。
都内では、花粉症に最も優しい地域は江東区だった、というのが本調査の結論。
本記事の記載内容にかかわらず、マンションの立地を決めるのは自己責任でお願いします
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上記記事で採用したのと同じ手法を使って、神奈川県、千葉県、埼玉県について飛散花粉数を可視化し、最後に首都圏全体を可視化した。 - 花粉症歴30年超の筆者が実践している花粉症対策
1年分だとやや不安ですね
今シーズンの花粉飛散が収束したら、「2024年春」を可視化してみるかも。
入手情報含めて分析手法をここまで開陳して頂けているのですから、あとは必要に応じてご自身で今後のデータ含めお調べになっては如何?
CVSファイル212(=都内53自治体×4か月分)をダウンロードして、集計、マップ化するのは、けっこう大変なんです (・ω・;)
河川の側は常に風が吹き抜けてるから花粉が溜まりにくいんですよ
そうかなとも考えたのですが、東京都環境局の江東区大島測定局のデータを元に月別卓越風(レーダーチャート)を作成するのは大変なので、踏み込んだコメントは避けました。
http://taisaku.birukaze.com/article/15016821.html
欲しかった情報です!とても参考になりました。ありがとうございます!