このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
古い話、しかも我田引水になりますが、かつて居住していたマンションが購入時から2倍以上の値段で転売したときの「困った」経験をお話ししたいと思います。
値上がりしてなぜ困るのか、いきなり疑念をもたれそうな書き出しになりましたが、本当に困った事態だったのです。
●自宅の値段が急騰すれば隣の家も値上がりする
自宅の買い替えを考えたときのことです。動機は、家族ののっぴきならない事情でしたが、希望するエリアでマンションを急きょ探す必要に迫られていました。査定してもらったところ、購入してから10年も経っていないのに2倍以上の金額が出ました。この値上がりに、心は躍りました。すっかり気が大きくなり、買い替えに当たっては、現在のマンションより広い家にしようと考えました。
その結果、候補に上った物件は、何と売却価格の2倍以上になったのです。さあ、資金をどう調達しようか、そのことで頭を抱えることとなりました。これが「困った」の意味です。
さて、具体的な数字で説明した方が分かりやすいでしょうか?(理解していただきやすいように実際の数字を少し変えています)
◆購入時の価格:2500万円
◆売却価格:5000万円(広さ60㎡)
◆買い替え先の価格:1億円(広さ90㎡ 新築)
その時の住所は大田区で、買い替え先は世田谷区でした。当時、大田区も世田谷区も同じような価格の上昇率を示していたのです。
では、広さを同じにして探したらどうだったでしょうか?それなら、さほど金額の差はなかったでしょう。資金のことで悩むこともなかったはずです。
我が家の値段がいくら上がっても、次に購入する家が同じような場所なら売却で得た金額を全部掃き出してもまだ足らない。この実例は、そのことを指しています。価格が高騰しても喜ばしいことでない場合があるのです。
●我が家の属するエリアだけが値上がりすることもある
我が家、正確には一定のエリアの物件が軒並み値がりしているが、買い替え先は上がっていないという都合のよいこともあります。つまり、上の例を使って説明すると、5000万円で売却して5000万円以下の家に買い替える、しかも広い家に。このようなことも可能なマジックが存在します。
大仰な言い方をしましたが、もうお分かりと思います。東京のマンションを売却し、例えば横浜郊外や地方都市でマンションを購入するということならお釣りが来るほどだったのです。
実は、買い替え動機発生の前に、半分冗談で横浜移住計画を家族で話し合ったことがありました。
新婚当時は横浜市のアパートに住んだ経験があったため、さほど抵抗がなかったからですが、何より横浜は東京のように値上がりしていなかったのです。
(その後しばらくして横浜のマンションも値上がりに転じました)
このようなことが可能になるのは、全国一斉に値上がりするわけではないからです。東京で火が着き、やがて周辺都市へ波及、その先は大阪や名古屋が上がるという潮流でしたから。
東京のマンション60㎡を5000万円で売却し、札幌市中心部で90㎡の新築マンションを3000万円で購入するといったことは今も可能なのです。
これは「地域格差を利用した買い替え」の話です。
他にも、値上がりした自宅マンションを売却し、追加資金を調達することなく、買い替え計画を前に進める策はいくつか考えられますが、そのお話はおいおいご紹介して行こうと思います。
また、古い話ではなく、売却額の1.5倍~2倍の家を買った人たちが多数あります。その実態についてもご紹介して行くつもりです。
●理想は我が家だけが値上がりすること
新築マンション並みの高い値の付く中古マンションがあります。管理状態が良いのは確かですが、そうは言っても中古です。新築マンションと比べれば明らかに年数分の垢がついているのです。それでも周辺の新築並みか、新築を超える価格になるのはなぜでしょう。その理由は、立地条件の違いにあります。周辺というなら同じような立地条件なのではと、一瞬このことに疑問を持たれた読者があることでしょう。でも実際は違うのです。というより大きな差になる場合が多いということです。
同じ最寄り駅でも、駅からの距離の違いがあります。5分か6分の差は大きく影響しないっですが、駅1分となると随分違って来ます。直近環境の違いもあります。高台か低地かという差もあるでしょう。道路付けの関係で開放的な物件もあれば、狭い道に面し隣接建物に囲まれ閉塞感の強い物件もあります。公園に面する場所もあれば、高速道路沿いの物件もあります。
このような立地条件の違いに加え、建物の高さ・規模による格の違いのようなものから、同じ最寄り駅の物件でも大きな価格差になっている例は少なくありません。
市場全体が大きな価格上昇局面にないときでも、我が家だけが上がっている、つまり、相場から突出した値段が付くのが我が家であるとしたら、購入時に先見の明があったか、物件の稀少性を感じて選択した結果です。
実践的には中々難しいことですが、ポイントを誤らずに、言い換えればマクロ的な視点とミクロの視点と、両方の目で冷静に判断すれば、少なくとも我が家だけが損するような事態にはならずに済むのです。
●自宅は簡単に売ったり買ったりできません
2000年頃か、2012年頃にマンションを買った人の多くは、大きな値上がりを今実感しているかもしれません。タイミングや購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が20%、30%と値上がりして喜んで居る人があるかもしれません。
25年以上も前(1988年以前)にマンションを買った人の多くは、大きな値上がりを体験しました。現在60歳以上の人たちのことです。
短期間に我が家が2倍、3倍になった人もあったと思います。しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もありませんでした。むしろ、固定資産税がアップしたことで苦々しく思った人もあったはずです。
一方、売却した人は、高値に驚くとともに手にした金額に喜び一杯だったことでしょう。ただし、その資金でもっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。売却した場所の近くは同じように値上がりしていたため、売却して得た金銭に(新たなローンなどで)プラスしなければランクアップした家は買えなかったからです。
反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の極端な値下がりを体験することとなりました。
何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかりました。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったからです。いわゆる追い銭が必須でした。
その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。これは含み損を抱えてしまったものの、損失が確定しないで済んだというケースです。
つまり、値下がりしても、売却しなければ損も得も表面化しないことを意味します。
・・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございます
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