第76回 新築マンションを購入するときの現地確認ポイント

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マンションを購入する際に気を付けたいことは多々ありますが、今日は現地確認のポイントをご紹介したいと思います。

 

重要なことは、周辺を少し時間かけて歩き回ることです。日を改めて見ることが必要なこともあります。

 

  • 最寄駅からのルートを確認する

広告表示は、1分を80メートルで換算することが業界(広告表示)の基準です。この部分での誇大広告は新築マンションにはまず見られませんが、最短ルートで表示するために、実際のルートとは異なることがあります。

 

歩行の安全のため、歩道とガードレールの有無、夜間の街灯も確認しましょう。お子さんが小学校に通う場合は、通学路を実際に歩いてみましょう。

 

・生活利便施設の位置を確認する

買い物施設・レストラン等の存在、銀行や郵便局、役場など公共施設の位置、学校や保育園・幼稚園の位置などです。

マンション立地は、大体何でも揃っていると思いがちですが、自分にとっては不便という場合もあります。

 
  • 嫌悪施設の有無を確認する

パチンコ店や風俗店、暴力団事務所、騒音や臭いの出る工場、鉄塔、斎場、火葬場などのほか、郊外には豚舎・鶏舎などが近くにあることも。

 
  • 公園の位置を確認する

マンションの敷地内にあれば間に合う場合もあるでしょうが、近隣の公園も確認しておくといいでしょう。公園内のトイレもチェックしておくといいですね。

 
  • 敷地内の高低差・最寄り駅からの高低差にも気を付ける

現地が窪地のような所は好ましくありません。ゲリラ豪雨に襲われた場合に水害の危険があるからですし、風通しが悪い場合も多いからです。逆に、高台は良い点も多いですが、年を取ったら歩くのが不便ということがあります。

 

・前面道路の交通量・騒音の程度を確認する

マンション周辺、特に敷地に面した通りがバスやトラックなど大型車両が頻繁に行きかう場合は避けるべきでしょう。また、見学に行った土日は静かでも、平日は騒音がひどくなることが多いものです。

住宅街の閑静な場所では、音がよく聞こえるので、さほど交通量がなくても、夜間の騒音に悩まされることがあります。ラッシュ時の抜け道になっている場合もあるからです。時間帯を変えて観察することが大事ですね。

 

前面建物の影響を確認する

バルコニー前面の建物の高さと、マンションとの離隔距離に気をつけましょう。現状の建物が建て替えられても、十分な距離を保てるかどうか、眺望や日照を遮らないかどうかです。その懸念が少しでもあったら、販売担当者に説明を求めましょう。不安がある場合は、業者側もシミュレーションを予めしてあるはずですから、想定図面を見せてくれるでしょう。

 

●立地条件を俯瞰する

マンションの価値を決めるのは、その立地条件です。これに異論のある人は少ないでしょう。立地条件が良いとは、交通便が良い、生活利便施設が揃っている、そばに公園などがあって緑地が豊富、といったことですが、その中でも交通便の良さが一番です。

 

最寄り駅から離れた場所でも、大型ショッピングセンターがあり、銀行や役場の出張所など出先機関も揃っていて、便利に思われる場所が稀にありますが、残念なことに、こうした場所は主婦には受けても通勤に不便なため、働き手には不評です。

 

また、駅に近くて買い物にも便利、おまけに、すぐそばには大きな自然公園が広がり、最高の立地条件だと売り手が自賛する場所もありますが、都心から遠いという短所を抱えた物件もあります。

 

都心へのアクセスも良く、最寄り駅にも徒歩5分と近い、且つ、買い物ほかの施設もすべて揃っているマンションとなれば、ファミリー向けなら「億ション」になってしまうかもしれません。少なくとも2017年現在、東京では5000万円以下で見つけることはできません。

 

そこで、都心に比較的アクセスの良い地域で探そうとすると、最寄り駅までは近いのだが、そこからバスに乗らなければならないとか、歩けても10分以上かかるといった物件を検討することになるでしょう。

 

こうした物件は、自然環境に恵まれていたり、大型ショッピングセンターがそばにあったりと、交通便の悪さを補う要素があり、購入判断を迷わせるものです。しかし、交通便の悪い物件は、他の要素がどれほど良くても極力避けるべきです。

 

通勤便が悪いマンションは、子供が高校進学などの年齢になったとき、今度は通学便の悪さを知ることになります。

 

このようなマンションは、比較的安く分譲するため人気になることもありますが、それも最初のうちだけで、完売までには、とても長い時間がかかっています。大幅な値下げをしても中々売れず、竣工後1年以上を要して、やっと完売。これが現実です。これは何を物語るのでしょうか?

 

そうです。やはり、交通便はとても重要な選択条件だからです。通勤・通学に不便なマンションは、やがて仕事を持たない高齢者ばかりのマンションになってしまいます。

このようなマンションは、中古として流通市場に出したときも、買い手を探すのに苦労するという問題にぶつかります。

 

最寄り駅から近く、都心へのアクセスも良いという物件を探していくと、今度は広さが不満ということになるかもしれませんね。そのときは、もう少し足を延ばすのです。そして、駅近の物件を選んで下さい。遠くまで行って、更にバス、歩けても10分以上かかる、などという物件は、たとえどんなに安くても絶対に選んではダメです。

 

都心へのアクセスの良さが同じ程度でも、人気の高い鉄道沿線とそうでない沿線があります。高級住宅地が多いとか、おしゃれな街がいくつかある、周辺に自然が多く残っている、駅や駅周辺が綺麗、有名人が多く住んでいるといったようなことが背景にあるためです。

 

●駅から遠い・近いは、何分が基準か?

マンションは立地条件がとても重要だと述べました。立地条件とは、都心へのアクセスがどうかや、最寄り駅までの距離、住環境などを指しますが、このうち、最寄り駅に近いことは最も重要なポイントとして挙げられます。最寄り駅に近いほど便利であるし値打ちが高いから、どうせ買うなら駅近がいいと、誰もが考えるためです。

 

では、近いというのはどのくらいを指すのでしょうか?3分や5分は変わらないと考えていいのでしょうか?10分ならどうなのでしょうか?

 

中古マンションの取引価格を見ることで分かります。不動産調査会社の東京カンテイ社が、首都圏のマンションを調査した結果をときどき発表していますが、それによると、毎回3分以内と4分以上では価格差(リセールバリューの差)が明確です。

 

駅前マンションもいろいろです。専用デッキで駅に直結しているようなものもあれば、目の前にありながら信号待ちしなければならないもの、傘なしで玄関まで辿りつけるもの、線路わきにあるため騒音に悩まされそうなものなどです。

 

これら個別の条件を勘案しての最終判断にはなりますが、駅に近い、それこそ「へばりつき」のマンションは、やはり値打ちが高いと言ってよいと思います。

 

1980年代後半から1990年代前半のマンションは、駅から遠いものばかりでした。駅近の土地は一般法人が次々に買い占めて抱え込んだため、マンション業者は土地を購入できなかったのです。当時は、駅から10分というと、「ほう、近いですねえ」と感心したものです。

 

最近はすっかり様相が変わり、むしろ駅前マンションが珍しくありません。駅から遠い物件は販売しづらいので、マンション業者も極力近いものを開発しようとしています。その結果、3分、5分は当たり前になりました。7分、8分となると、ちょっぴり遠いという感じすらします。

 

マンション購入を検討している人の中には、この点に鈍感な人がいるようで、「徒歩10分」ならいいと思っている人が結構目立ちます。

 

遠くても7分以内、できたら5分を目安に選定しましょう。将来、何かの事情で売却するときがくるでしょうから、そのときに「駅近」は絶好のセールスポイントになります。

7分や8分ではインパクトが弱いのです。3分、4分と表示することができたら大いに強みになる。このことを覚えておきましょう。

 

例外的に、駅から遠くても買って大丈夫というマンションがあります。

 

マンションの値打ちは、立地条件が一番で、次に建物の規模や外観と空間デザインなどのプランニング、更には維持管理体制などで決まってきます。

 

立地条件も、単純に駅に近いか遠いかだけで評価されるわけではありません。自然環境(公園や緑の多さなど)も影響してきます。

駅から徒歩10分と、やや遠いけれども、それに代わる大きな魅力があるならば、それでマイナスは相殺される可能性があります。

 

たとえば、東京ドーム1個分もある大きな公園に面しているとか、美しいリバーフロントにあるとか、マンション自体が大型開発で、敷地内に豊富に植栽が施され、建築後何年かしたら、まるで公園の中にマンションが建っている印象になる、あるいは駅前が公園になっていて、その公園を抜けた先に大型スーパー中心の商業施設が整備され、その先にマンションがあるといったロケーション、あるいは駅からマンションの前まで賑わいのある商店街が続くとか、道中の歩道が広くて街路樹が美しいなどはマイナスを埋めてくれるに違いありません。

 

基本は「駅から5分以内」、それ以上遠い場合は、それを補う要素があるかと問うてみましょう。

 

●住宅の効率的な探し方

駅から近いだけが全てではないので、今日は一般論としての探し方の基本のキについても述べておきたいと思います。

 

住宅を探すとき、最終決定までに何十か所も見学してようやく決める人がある一方、1件か2件見ただけで、あっさり決めてしまう人がいます。熟慮型と衝動型とでも言えばよいでしょうか、それぞれに功罪があるようですが、ここではタイミングよく効率的に、できるだけ理想の住まいに到達するための方法をまとめてみました。

 

①数をこなせばいいというものではない

様々な住宅を見て回ることは、知識を深め、目を肥やすことに役立ちます。しかし、毎週休みの度に見て回るというのは、忙しい人ほど現実的ではないですね。

 

これはという住まいが見つからなくて疲労してしまうこともありますし、購買意欲が薄れてしまうこともあるようです。

 

また、手が届かないモデルルーム、モデルハウスばかり見過ぎて、理想の住まいが残像となって邪魔し、現実的な段階になると決断が鈍るという人もあります。

 

②場所を変えて見学

「住めば都」と言われるように、知らない街でも住んでみると意外に馴染む街になることがあります。また、先入観から敬遠して来た場所も、現地に行ってみると意外な良さに気付くこともあります。

 

家探しは、住み慣れた場所から近い所で選択しようとする傾向がありますが、視点を変えてみたら、気に入るエリア・沿線が見つかることもあるのです。

 

 ③一戸建て・マンション・新築・中古の複数種を見学

近頃は、マンション価格で買える建売住宅も登場しています。豪華な造りではないものの、割り切ってマンションから建売住宅に方針変更する人も多いそうです。

 

また、新築マンションの供給が大幅に減少した最近は、マンションを欲しくても買いたいものがないということから、中古マンションへ流れる買い手も増えました。今まで考えて来なかった対象も最初から検討してみてはいかがでしょうか。

 

きっと、見えなかったメリットや美点を発見できるかもしれません。

 

④タイプの違うものを比較

マンションなら、小規模タイプや大規模タイプがありますし、低層と中高層、超高層もあります。一戸建てなら大規模開発のニュータウン物件とミニ開発と呼ばれる10棟くらいまでの小規模団地があります。

 

小規模マンションは、住宅街にひっそりと建ち、何となく落ち着いた暮らしを連想させるでしょうし、大規模マンションなら敷地内に公園・庭園があり、建物内部には様々な共用施設が用意され、また、コンシェルジュを置いて入居者サービスに当たるなどの付加価値もあることでしょう。

 

一戸建ての場合は、最寄り駅までの距離や勤務先まで遠いことに落胆するかもしれません。その反面、自然環境に恵まれた場所かもしれません。また、庭が広いことや駐車場の使用料、管理費がいらないことを喜ぶ結果になるかもしれません。

 

⑤近くのライバル同士を見学

これは、新築物件の場合ですが、同じエリアのライバル同士、類似物件を見学することも理解を早めることに役立ちます。ライバル同士は、相手を意識して自社の長所をアピールしますから、それによって互いの欠点が見えて来ます。

それぞれの長所、短所が価格にどう影響しているかも理解できるはずです。

 

⑥マンションなら完成済みと未完成物件を比較

マンションの工事が完成していれば、購入したい部屋を確認することができます。すなわち、眺望や日当たり、道路騒音などを実際に確かめることが可能になるということです。

 

未完成マンションは、設備・仕様をモデルルームで確認することはできますが、眺望・日当たりは想像するしかないわけです。その代わり、オプションを付けたり、間仕切りの変更をする、収納スペースを拡大するといった、自分好みを採り入れることも可能です。

 

 

以上に述べたような比較をすることで、やみくもに見学してしまうような遠回りを避けることができるでしょう。あえて検討対象外のものを見ることで、結果的に無駄な動きをしなくてすむ ということかもしれません。「急がば回れ」ですね。

・・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございます。

 

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