前回の続きのつもりでしたが、ご指名での質問が来ましたので、先に済ませておきましょう。私は別に、建築などの専門家ではなく、また例え専門家でもこの質問だけから回答は困難だと思います。よって回答には責任は一切とれませんのでそこはあしからず。
質問は…
差出人: わーぷ
メッセージ本文:
はるぶー様
いつも記事を拝見させていただいています。
私は約半年前に竣工したマンションに住んでいるのですが、ここ数か月、豪雨のたびに1階エントランスに雨水が大量に流れこみ、エントランスやラウンジ全体が水深数センチの池のような状態になって雨がやんだ後も水が引きません。毎回清掃スタッフの方や管理会社スタッフが水をかきだしてモップがけしてくれるまでそのままになっています。
マンションは緩やかな坂の途中に建っており、雨水がたまりやすい窪地というわけでもありません。
そこで質問なのですが、これは設計または施工に問題ありということでエントランスに水が流れ込まないようにするか流れ込んでもスムーズに排水するようになるよう2年保証の対象として工事を要求することができるのでしょうか?
おわかりになる範囲で結構ですのでご意見いただければと思います。よろしくお願いします。
理事会は売主さんと直に会いましたか?
最近は、都市型のゲリラ豪雨の機会も多いのですが、書かれている条件で半年に何回も水深数センチで水没というのは確かに変ですね。設定上の配慮不足を懸念されるのも無理はないと思います。まずこの手の交渉は、住民が個別に言っていっても無理です。わーぷさんは理事会側の人間だと仮定しての回答です。もし違う場合には、理事会に要望して、”理事会の問題”としてきちんとマンション側の窓口を一本化しましょう。
きちんと管理組合と売主の間で、売主の見解を求めるのが第一歩になろうかと思います。よく管理会社や施工会社等との間でやりとりをして時間を無駄にしている人を見るのですが、相手は”売主”さんです。本件について会ったことがなければ会うのが最初でしょう。
しばしば、売主と管理会社は同系列だったりするので錯覚するのですが、アフターサービス補償にしても、瑕疵担保責任の履行にしても責任をとるのは”売主”ですから、会ってやりとりするなり指摘して回答を貰うのが最初になります。
ある「一定の雨量を超えていなければ」、深い水たまりができたり、住居棟の中に水の侵入はないように設計する義務がありますから、売主にまずはきちんと見解を問うのが最初のステップになろうかと思います。
私の個人的おすすめ
① 売主の設計を担当した相手に対して浸水を発生させないような設計の想定雨量と設計根拠、ここまでに起こった浸水(半年に何回もはやはり異常かと思います)についての売主としての見解を「定量的に」問いましょう。② 大雨の場合の浸水の責任問題は、他のマンションでも聞くことがあり例え売主が対策を行った場合でも非常に長い年月を要した例を仄聞しています。実はそこも傾斜地にあったケースでした。
アフターサービス基準の内容にもよりますが、本件を組合側が問題としている指摘を理事会からだし、そこへの売主からのきちんと責任者印鑑を押した回答を竣工から2年を経過する前に得ていることが大事です。
#2年アフターは2年以内に”相手がそれを受け取った証拠を残しての指摘”が済んでいればよくて、私のマンションでは2年アフターの修理が実に6年目に終わった例があります。
③ 理事長か営繕担当責任者など理事会側で顔になる人と、相手の売主さん(繰り返しますが、管理会社・施工会社の人ではダメです)との間で直に面談していなければ、なにもしていないのと同じです。管理会社から売主になにかいっておいてとか頼んでも、管理会社が子会社なら握りつぶされるリスクがあるので、理事長が自分で呼びつけないと”始まり”すらしません。
④ 交渉においては”瑕疵”という言葉は使わないほうがよろしいです。瑕疵担保責任だと最悪マンションを建て直しても解決しなければならないですし挙証する義務は理事会側にあります。あくまでも、アフターサービス補修の一環として”不具合”を解消してほしい!というと、両者いくばくか譲っての解消方法などいろいろな途が見えてくるからです。
⑤ 排水の設計限度を超えたものであるかどうかの判定は素人レベルを超えます。おそらくは売主は排水の設計限度を超えたからと回答してくる筈で、それを”検算”できるのはプロだけです。雨露をしのげるというのは建築物に最低限求められる性能ですから、この交渉に関わるプロ起用の費用をケチるようなことはすべきではありません。
売主への”お願い”への回答が不調に終わるようであれば、改修系の設計事務所・営繕コンサルタントなどの起用を、本件に絡めて考えられたほうがよろしいかなと思います
⑤ 幸いまだ半年しか経過していないわけですから、1年目の通常総会でコンサル導入して(管理費会計にお金がなくても積立金会計からという手もあり)2年目にマンション全体の2年アフターサービス点検と絡めて点検・確認を私ならお願いする理由に使ってしまうかなと思います。
私の知る殆どのマンションで、2年アフターサービスに向けての第三者点検は、点検費用を大きく超える売主の無償修理を引出していますから、理事会的にはほか全てを放置してでもここから取り組む価値があると考えます。ただでなんでも直るのは最初の2年だけですから。
2年アフターには、売主と資本系列関係にある管理会社などはたとえただでやりますといっても決して使ってはいけません。利益相反ですね。お金がかかっても第三者にしっかりみてもらいましょう。雨水の一時的な滞留場所に地下ピットが使われる場合があるため、本件と絡めて地下ピット部分の確認も必要だと思います。
⑦ まだ1年半あるわけですのでその間の浸水の状況や、その時の雨量などをきちんと定量的に確認しておくことも大事かと思います。長期戦は覚悟しながらきっちり”証拠”は残していく姿勢が大切かなと思う次第です。
よかったらコメント欄にご連絡ください
推奨できる業者”名”などをここに書くのはいろいろな事情からできかねます。コメント欄か私が確認してださない限り公開はされないので、よければ、gmail/yahooなどのアドレスを取得されて、メールアドレスを書いてご連絡ください。コメントは出さずに連絡をとれます。うちでも似たような問題(但し結果として売主には責任がないことが確認された)があり、その際に利用した業者などをご紹介が可能です。逆にいえば私ができるのはそれだけです。
うちであったこと
うちは自走式の駐車場の出入り口(少し低くなっている)がごくまれに台風などの時に酷い水たまりになったことがかなり前にあって、似たような質問を売主にしたことがありますが、結果は”設計上の限界を超えていて排水が追い付かないのは設計瑕疵ではない”と。いろいろ数字を確認した上で理事会として了承しています。マンションの設計上の設定雨量(50mm/hよりは大きい筈ですがいくらだかは忘れました)での排水、自治体の雨水排水管への排水の指針、大型のマンションなど建築物は一定の水を自分の中に貯めておく能力を求められるので、地下貯留槽を経由して下水にポンプ排水あるいはオーバーフロー管排水させう場合の設計などが複合的に絡んでいて、やりとりはプロ同士の難しい専門用語での会話の応酬になったような。
私にははっきりいって理解できなかったですが、最終的にはしょうがないかも・・・とか;確か1時間換算では100mm近いような土砂降りだったと記憶しています。もっとちいさなとこでは、ごく最近でも雨水枡の不具合を売主の負担で直していただいたりしています。きちんと理由があって提示できれば、直してくれるものです。
理詰めで攻めるためには素人が怒っているだけでは難しく、”売主とは利害関係のないプロに頼みましょう”に尽きるかなと思っています。
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
はるぶー様
※公開無しでお願いします※
「エントランスが水浸し」の件でご相談させていただきました者です。
お忙しい中、大変丁寧なご回答をいただきありがとうございます。
。。。以下割愛
ーーー
<はるぶーより>
無事にご連絡がとれてお返事をメールしてあります。
残念ながらあんまりお役にはたてそうもありませんが、あの回答で
お赦しください。
>うちであったこと
お便り返しコーナーを借りての質問
陸屋根構造の屋上に降った雨が
いったん最上階のベランダを経由してから
雨水管に導かれるようになっています
施工業者がこのような構造にした理由は不明です
最上階住民よりは50年に一度の雨が降った場合
ベランダから雨水管への排出が追いつかず
部屋側の浸水被害が予測されると
強引苦情が来たことがありました
部屋に浸水するにはベランダに15cm以上の雨水が溜まる必要があり
ベランダ外側は壁構造ではなくフェンス構造なので
(10cm高さ)を乗り越えて
そちら側に先にこぼれる
と説明するも
あーだこうだ
どうも大量雨水が自分ベランダを通過するのが気にいらないようです
わらわら(*^_^*)
それ多分下水に急にたくさん水を流さないように、面積あたりで水を溜められる機能が自治体から要請されるからで、似たような設定がうちにもあります