なぜか夏休みが明けたら連続してご指名。質問が来ると打診棒が輝きます(嘘)
マンションの共用部の保険に関わるご質問。理事で、かつ意識高めの方でないと気にしない気がするんだけど、このブログ質問者以外にも読んでもらえるのかなぁ・・・
質問は…
差出人: めぐすり
メッセージ本文:
はるぶー様
マンション総合保険の「掛捨保険」と「積立型保険」の選択について、教えてください。
11月に現在加入中の積立型保険(10年)が満期になるのに伴い、今期、理事長になった私は、引き続き、積立型に入りたいのですが、前理事長と管理会社が、掛捨型を推奨しており、保険料が安いという点と、今のような有利な保険はもうないという点で、他の理事の賛同を得ております。
しかし、現金化しにくい積立型の保険が、うちのマンションには最適だと、私は(理事長)は考えています。
掛捨型のメリットは、上記2点のほかに、どんなところがあるのでしょうか。また。積立型は、そんなに不利な保険でしょうか。 管理会社を通さずに、理事長が保険会社に見積もりを依頼するのは控えた方がいいでしょうか。
今は”積立”は流行らないか?
10年前に10年の積立式を選ばれたのは、その時の理事会には先見の明があったかなと思います。利率も今と比較するとかなり高めでした。うちも今9期ですが1期の中途で10年積立式に加入しています。ちょうど8年ほど前です。この時点でもう年明けから運用利率が激しく下がることは分かっていたので、無理やり年末に駆け込みで加入するための臨時総会をやったのでよく覚えています。
「満期返戻金」と「契約者配当金」には、原則として課税されないメリットがあるので、当時まだ1.3%ほどはあった運用利率で、新築時に全戸から”一時金”として集めていた積立の準備金1.5億円を全額ぶちこんでいて10年で2000万ほどの運用益がでる予定です。今の保険は管理会社の保険部の紹介での加入。
積立式には、その期間完全にはとりくずすことができないという最も大きな”デメリット”があります。組合にはいつ何が起こるかわかりません。現金化できないほうを良しとめぐすりさんが考えられる理由が私には想像できません。
積立式でも一時的に借金はできますが、例えば同様に積立金の運用に利用される住宅金融支援機構の”すまい・る債”のようにそこそこ利息がつき、かついざというときの解約利用も容易といった定期と普通貯金を併せ持っているようなメリットはありません。今の利率状況では、共用部の総合保険は掛け捨てで、運用したければ市況をみながら適宜債券運用でもしたほうが良い気がするわけです。
積立式の運用利率はかなり有利だった時期も確かに過去にはあったのですが、今はあまりにも低金利で殆ど運用利息がつきません。いざというとき積立金からの緊急支出ができる金額が減るデメリットが強調される形となり、そこにお金を死蔵する理由がありません。
(地震で建物が壊れたらお金が要ります;下にリンクを貼りますが私は共用部の地震保険加入に否定的です)
新築当初に超長期で加入できる場合、12年目まで使用予定のない積立の準備金をまとめて運用する商品としてのうまみがありました。しかしその後で再度積立式とした場合に、途中で大きな修繕工事の予定があったりはしないでしょうか?
うちでは、大規模修繕の直後でも常に2億(500戸)ほどの資金を積立金に残す方針をとっていて、次の保険条件の更新で再び積立式の採用は困難です。よほど圧倒的に健全な財政状態の組合でなければ積立式⇒積立式は困難ではないかと思うわけです。
めぐすりさんの書かれている「現金化しにくい」ことは実際には最も大きな積立式の「欠点」です。本来保険と分けて考えるべき積立金運用が保険とカップルしてしまうので、組合の財政を考えにくくなること、また積立式は仕組みが複雑で区分所有者に総会で説明することが難しいこともあって、利率的によほどのうまみのある時でなければ採用しにくいかなと。
以上の理由から理事会の大勢が掛け捨て契約の方向なのであれば、無理して反対するほどのうまみは今の積立式にはないと考えます。間違っているというわけではないですが、理事会において理事長が無理して通す政治力は有限な消耗品です。他の方がみな掛け捨てに流れているなら、ここは絶対譲れないという時に備えてわたしならここでは深おしせず”理事長力”は温存するかなと。
掛け捨てでも長期契約は可能
積立式に入るくらい余力があるのであれば、掛け捨てでも長期契約は可能ですから、5年分くらいどかっと入ってみる手がありますよね。長期契約に伴う割引で少し安くなりますが、今の利息での運用を考えるとこっちのほうがお得感が大きいかもしれません。もう一つは今の条件で保険をロックできる効果ですね。ご存じかと思いますが管理組合側からみると同じ保険金に対する保険料はどんどん高騰してきていますし、リスク細分型の流れで”築年数が大きな”マンションに対する保険料率は急激に悪化していきます。これは古いマンションほど故障の発生率が高いからですね。特に20年くらいで保険料は激増します。ずっと条件の改悪が繰り返されてきている流れなので、5年固定できるというのは案外大きなメリットになります。
管理会社経由での加入の”メリット”
実際には保険には代理店を経由してしか入れません。管理会社を通さないで入る場合には適切な代理店を探すことになりますが、実際には共用部の総合保険に詳しい代理店は殆ど存在しません。下記の管理士さんのブログにもある通り、20%ほどのコミッションはある意味管理会社のメシのタネみたいなところもあります。「保険の設定が適切」なのであれば管理会社経由で入っていることで失うものはありません。契約者からみると”同一条件”であれば保険料は同じ、一方で、肝心の保険金申請等が、有能なフロントがついてくれているという条件下であれば管理会社任せでサクサク進むメリットは大きいと思います。
うちは500戸を超える規模ですが、うちの営繕委員会が扱った保険適用案件は、今期は特になぜか多くてここまで半年で9件に及びます。これを見積りから、修理依頼、保険適用まで全部管理会社にお任せできるメリットは非常に大きなものです。
この保険実は、うちでは、”犯人不明の共用部の破損”あるいは”風害でものが壊れた”以外では保険金申請したことがありません。実際に保険認定がとれるかどうかは、かなり保険代理店のパワーによっていて、トータルで大規模な契約数をもっている管理会社のものは「微妙な境界線上」で通りやすい印象をもちます。
あんまり保険申請に熱心でない組合の保険料の分までうちに回ってきているのか保険金>保険料になる年も多い。今まで10年の保険会社の”働き具合”を考えて離れるかどうかは考えましょう。
実は共用部総合保険にはもっと重要なことが..
一方で、コミッションが”保険金”設定比例であることから、管理会社のかけている保険の設定は、マンションの価格が過大に見積もられていたり、付保率が高すぎたりするなど不適切な設定になっている場合が多くなります。10万円高い保険料に加入させるたびに2万円黙っていてもお金が入ってくることになるわけで、ぴったり必要な保険を紹介してあげようという気にはなりにくいわけです。
実は、基本中の基本の「なぜこの保険金金額なの?」に正しく明快に答えられるプロは、管理会社の保険部門では私はみたことがありません。今の保険の設定そのものが妥当かどうかに疑問があるのであれば、理事長の会RJC48でも共用部保険の動向などでよく講師をお願いしている以下の会社をお奨めしておきます。
(というか、共用部総合保険専業のプロは他に知りません)
はるぶーからきいたといっても・・・なにもでませんwww 私も別になにももらってません、単に他に知らないだけです。
保険のソムリエ PIA株式会社
http://pia-hoken.com/
こちらも参考までに
マンション管理会社からみた総合保険http://968com.officeblog.jp/archives/17651892.html
私が他の場所のブログで書いていた、
マンションの共用部保険 (まとめ)
http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11749080147.html
… 知りあいのマンションで、東関東大震災の”後”で共用部の地震保険からわざわざ抜けたところが複数あるのですが、私のマンションが共用部の地震保険には入っていない理由もまとめてあります。
共用部保険は、切り替え時期であんまり損を出すことがありません。
思い立ったときが、いつでも検討の好機ということになります。よかったら。
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
はるぶー様
早速に、行き届いたご教示を有難うございました。
拝読して いろいろ納得がいきましたので、すまい・る債と5年の掛捨て
での運用を提案してみたいと思います。
私見を主張する前にお教えをいただけて幸いでした。感謝申し上げます
めぐすりさん
よかったですね
>すまい・る債と5年の掛捨て
裏方マンションも現時点でそのようにしています
で 余談
保険会社体質はゆだやですので手ごわいですね
で、で
>質問が来ると打診棒が輝きます(嘘)
いや得意分野の質問がくると朕診棒が疼くのではあります
わらわら(*^_^*)
”わらわら” じゃないですwww
管理会社だから”同じ条件に対して” 保険料が高いとかはありません。
保険申請などは、管理会社だとお任せが可能だから、担当者が優秀であることを条件に
管理会社を代理店とした契約は特に大手を相手にしたものでは有利です。
一方で、”保険の内容”が妥当かどうかは、一度第三者に見積もってもらったほうがいいです。
(難しいのは見積もってもらって、結果だけただどりするのは信義則に反する点ですね)
うちは建物の面積あたりの再建築に相当する価格が過大評価だと思っていて、10年のあと
一度見直すかなと思っています。どうせ全焼しないよねでせっせと付保率を下げるほうには
割と管理会社も熱心なんですが、案外建物そのもの(保険金額)には無頓着です。
>”理事長力”
このお便り返しのキーワードだな
>うちに回ってきているのか保険金>保険料になる年も多い
こりゃ保険金詐欺のはるぶー
まあ内容全体は概ね妥当(読みにくい点は多々あるが...)
めぐすりさんありがとうはるぶーも得意分野の質問がきて喜んでおります
わらわら(*^_^*)
めぐすりさんに通じれば、他の人はついでに読んでもいいくらいの
つもりだからいいんです。 きちんとご本人からご挨拶が入っています。
なお別に、わざと壊して保険申請しているとかではないので、
”保険金詐欺”扱いはちょっと。 個人ではなく管理組合法人理事会として
きちんと正直に保険金申請はやっていると宣言しておきますよん。
(案外どこに保険が下りるか知らないとかで台風で壊れましたとかに
きちんと保険申請しないマンションってあるんですよ:みんなが同じだけ
賢くなると保険料があがるだけなので黙ってますが)
一つ気がつきましたこと
マンション(集合住宅)で地震保険(占有部除く)
は加入できないと思います。対象としてないと
思います。間違ってましたら反省します。
専有部と、共用部分のおのおので地震保険に加入可能です。
火災保険のついでで加入するので新築購入時?の勢いで加入する例が多く
専有部は入っている人のほうが多く、一方で共用部分は管理組合での
扱いになるのですが、現在の加入率は40%程度です