第92回 マンション選びは究極のところ「資産価値」に行きつく

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マンション選びは、5つの視点が必要と以前書いたことがありますが、今日はタイトルのように、究極は「資産価値」に行きつくというお話をしようと思います。

 

●マンション選びの5大視点

まず、おさらいしておきましょう。5大視点(5つのチェックポイント)とは以下のようなものです。

 

1:住みやすさの視点

□通勤・通学・街の雰囲気・街の賑わい

□環境(騒音・公園・道幅など)

□自治体の支援策はどのような内容か?

□住戸(設備・日当たり・眺望など)

□間取り(日当たり・寝室のプライバシー・廊下幅・家具配置など)

 

2:安心・安全の視点

□耐震性は問題ないか?

□地震の揺れの軽減策は?

□防災対策は万全か?(防災備品・防災拠点・防災訓練など)

□治安は大丈夫か?(夜道は問題ないか?)

□セキュリティシステムは大丈夫か?

 

3:予算策定の視点

□広さと予算の組み合わせで選択可能な地域・駅は希望条件の範囲にあるか?

□新築・中古どちらになるか?

□予算の上限は?

□繰り上げ返済の可能性は?

□長期のフィナンシャルプランに問題はないか?

 

4:転勤や転職の視点

□貸しやすいか?(いくらで貸せるか)

□住宅ローンの返済額より高く貸せるか?

□損なく売却できるか?

 

5:資産形成の視点

□貸しやすいか?

□売りやすいか?

□10年後に、どのくらいで売れるか?

 

4番目まで、詳しい解説は要らないと思います。問題は、5番目の資産形成の視点です。

 

家は生活の基盤であると同時に資産でもあるので、どうせ買うなら資産形成に役立つ方がいい。高い資産価値を持つも家に越したことはないのです。

 

●資産形成に役立つ方がいい

反論はあるでしょうが、人生経験と不動産の世界に長く身を置いてきた経験から、筆者には信条に近もい持論があります。それは「マンション選びは買い替えを前提にすべし」「マンションは買い替えることになるものである」という2点です。

 

筆者はサラリーマンではありませんが、圧倒的に多いサラリーマン諸氏に目を向けて言うならば、定年は第2の人生の始まりであり、かつ結構長いので、悠々自適の暮らしを送りたければ今から対策、すなわち資産形成を図ることが大事だと思うのです。

 

年金が十分にもらえない時代が来るかもしれない、そう不安を漏らす人が多いと耳にします。配偶者に先立たれ、子供の世話にもなりたくないとするなら、何が何でも早い段階から資産形成を図る必要があるはずです。資産形成は一朝一夕にはできないのですから、スタートは早い方がいいとも言えます。

 

どのように図るべきでしょうか?爪に火を点すような生活をしながら貯金を殖やすのもひとつですが、それができない人も多いと思います。

 

しかし、株式もFXもギャンブル。怖い一面があります。投資するにもタネ銭がなければできません。それに、本業そっちのけでのめりこむわけにも行かないでしょう。片手間で儲けられるほど甘い投資話が世の中に転がっているとも思えません。

 

そんな中、比較的少ない資金で資産形成ができるのが「ワンルーム投資」だと言われ、それに乗ってしまう人も多いと聞きます。巷間、ワンルームマンション投資のセミナー開催が頻繁に行われ、聴きに行くサラリーマンが多いようですし、過激なタイトルの書籍も数多く出版されています。

 

しかし、これにも欠陥があり、思惑通りにはならないことばかりです。筆者の経験も踏まえて「ワンルームマンション投資は危険が一杯」という書籍(書店では販売しておりません)も発行し警鐘を鳴らしたこともありました。

 

不動産投資が他の投資や利殖手段と決定的に違うのは、「住宅ローン」が使えることです。最近は頭金も登記料などの諸費用も、まるごと銀行が貸してくれる金融環境にあるわけですから、これを利用しない手はないのです。しかし、繰り返しますが、「ワンルーム投資」は危険です。

 

●不動産で資産形成を図るサラリーマン賢者は増えている

筆者の進める不動産投資は、価値あるマイホームを持つことです。「そこに住みながら儲ける」ことです。

 

最近、既にマイホームをお持ちで住み替えを考えている人にお会いする機会が増えました。特筆できるのは、現在住んでいるマンションを売らずに買える人たちが多いことです。

 

ご相談は、「今の住まいは売るべきか保有し続けるべきか」という点と、「新たに買う予定のマンションの資産価値」についてです。

 

ケースバイケースなのですが、売らずに住み替える選択が望ましいという人が多いことに驚きを感じます。売って買う行為は「買い替え」、売らずに買う行為は「買い増し」と言いますが、後者のサラリーマン氏が着実に増えているようです。

 

その理由は今日のテーマの蛇足になるので割愛し、先を急ぐことにします。

 

●資産価値とは換金価値のこと

不動産を保有すると固定資産税と都市計画税を毎年納め続けなければなりません。そのほか、マンションなら毎月「管理費と修繕積立金」も必要になります。

 

乱暴に言えば、賃貸マンションの方が家賃だけで済むので安上がりかもしれません。しかし、賃貸マンションにはない購入メリットがあることを誰もが知っているからでしょう。マイホーム志向の人が賃貸派より圧倒的に多いのは事実です。

 

さて、資産形成といってもマイホームは売らなければ損も得もないのです。なぜ資産形成を意識する必要があるのでしょうか? 言うまでもありませんが、いざというとき多額の現金に化ける可能性があるからです。

 

換金したら住む家がなくなるのではないでしょうか?そうです。しかし、例えば、筆者がそうしたように、都区内のマンションを売って郊外に引っ越しするとお釣りが来るのです。地方都市(故郷など)の中古住宅なら、タダ同然で購入できることもあります。

 

考えられる深刻な問題としては、自分または配偶者がひとりになって、有料老人ホームに入居しようとして探すと、気に入った施設は入居金が高いかもしれないことです。しかし、そんなときでも資産があれば選択もしやすいことでしょう。

 

海外で暮らすご夫婦も少なくないと聞きます。筆者の古い知人夫婦も豪州で暮らしています。移住先は、東南アジアが多いとも聞きます。ハワイ移住の例もときどき聞きます。

 

定年後に長く続く老後の暮らしを不自由なく送るには、それなりの現金がなければなりません。そのためにコツコツ貯金をして行くことも方法ではあるのですが、知らず知らずのうちに資産ができて行くという「安易な道」が不動産投資、すなわちマイホームを購入することです。

 

何が安易なのでしょうか?貯金は苦手、あればつい使ってしまうという人、貯金はしているが何やかやと物入りがあって計画通りには貯まらないという人、転職や転属で収入が減り、計画が狂ったという人など、現実は中々難しいとこぼす人は少なくないはずです。

 

これに対し、住宅ローンはいやでも返すしかないので、いつの間にか残債は減って目に見えない形で資産ができて行きます。これを、いわば「住宅ローンは強制貯金のようなものだ」と説明した人がありました。金利が安い今日、毎月の返済は大半が元金返済に回るので、着実に資産が増えて行くのです。

 

マイホームを、住宅ローンを利用して購入すると、ローンが完済できた暁には何がしかの資産が残るわけですから、賃貸マンションと比較すると「購入」に軍配が上がります。

 

換金した金額が5千万円になったか、1千万円にしかならなかったかの差はあるものの、賃貸マンション住まいの人には絶対に得られないものです。ボロボロの借家にただ同然の家賃で長く住み、その間に巨額の貯蓄をすることに成功したという人がいるでしょうか? もし、そのような人がいれば、借家住まいも資産を残せるという反論になるでしょうが、現実的な話ではありません。

 

借家暮らしは家主の資産形成に貢献できることはあっても、自分の資産をつくることには雀の涙ほども貢献しないのです。

 

 

●目減りが少ない資産を選ぶのがポイント

話をもとに戻しましょう。こうして資産形成を図って行くとして、1000万円よりは5000万円の資産を手にする方が良いことは言うまでもありません。

 

これで筆者の主張は終わりではありません。大事なのはここからです。ここまでは、ローンを返し終わったときの話です。終わっていないにしても殆ど終りかけている場合です。

 

ローンが多額にある段階、例えば35年ローンで組んだローンが25年も残っているようなときに住み替え事由が発生したとき、資産が資産でなくなることもあるからです。

 

つまり、追い銭を払わなければローンの清算ができないこともあるというリスクです。頭金を2割なり3割なり入れて購入した人の場合には、追い銭は要らないかもしれませんが、だとしても、売却後の手残りが殆どないのでは次の行動資金に事欠くことになるかもしれません。

 

とすると、やはり売却によって手許にしっかり大金が残り、次の住み替え先の購入代金にプラスとなるようにしなければなりません。

 

転勤がない人でも、何かの事情で住み替えの願望や必要は出て来るものです。一番多い理由は、手狭になったというものです。3LDKにしておけば、住み替えを考える手間もかからないと語る人もありますが、3LDKにも広さはピンとキリがあります。

 

70㎡に住めば、次は80㎡くらいの広さを欲しくなるものです。子供ができる、できないで多少の違いはあるものの、長く住めば荷物が増えるからです。

 

そて以前に、広さを求めると毎月の負担が重くのしかかる不安が生まれます。その不安を緩和するために安い物件を求めれば、きっと交通便や環境に問題のあるマンションになるかもしれません。

 

広さを優先して立地条件の悪い物件を選んでしまうと、売却時に失望する確率が高くなります。有利な売却ができるかどうかは、その後のライフプランを大きく左右する問題です。

 

こうして考えて行くと、マンション選びは究極のところ「将来価値の見通し」を立てておくこと、言い換えると、「リセールバリュー」を考えて購入すべきであるという所に行きつくのです。

 

どのようなマンションが良いのか、今後もそのテーマで記事を書き続けて行きますが、今日は「マンション選びは資産価値の視点が重要である」ことをお伝えしました。

 

 ・・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

 

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