航空機から重さ約4キロのパネルが落下し、大阪市北区で走行中の乗用車の屋根を直撃したというニュース。
過密都市東京の上空に設定されている「羽田新飛行ルート」を飛ぶ航空機からの落下物が気になる方も多いのでは?
【もくじ】
◇落下物事故 ゼロから1へ
◇年間50件程度の落下物は大したことない!?
◇航空機からの落下物による不動産価値への影響
落下物事故 ゼロから1へ
国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」に掲載されている「安全性に関する方策」(3.7MB)によれば、航空機からの落下物は過去10年間で、成田周辺で21件、羽田周辺で0件。都内では被害が発生したことはないという。Q2 過去に問題等は起こっていないのでしょうか。
過去10年間の発生件数は、成田空港周辺では21件(部品14件、氷塊7件)、羽田空港周辺では0件となっています。
たとえば、東京都内において現在も羽田空港経路下にある江戸川区において、落下物の被害等が発生したことは過去にありません。
(「安全性に関する方策」P82)
上記文章では、全国大で落下物の被害が発生したことがあるのか否か言及されていない。
ところが、9月23日午前に関西国際空港を離陸したオランダ・アムステルダム行きの旅客機から重さ約4キロのパネルが落下し、大阪市北区で走行中の乗用車の屋根を直撃する事故が発生。航空機からの落下物による事故が世の中に知れ渡ることとなった。
これまで「落下物事故ゼロ」としていた国交省の説明は、「落下物事故1件」に修正されるのか……。
年間50件程度の落下物は大したことない!?
実際に航空機からの落下物は、どのくらい発生しているのか?政府答弁書「衆議院議員長妻昭君提出航空機からの落下物に関する質問に対する答弁書」(2016年11月18日)の記載内容を分析すると、2015年度に全国で航空機からの落下物は54件であったことが分かる(次図)。
春と冬に落下物が多いように見えるのは、気候のせいなのか、たまたまなのか……。
「航空機からの落下物データを可視化してみた」より
54件の落下物は、すべてが日本の陸地に落ちているわけではない(海上であったり、外国の地であったり)。
航空機が海上ルートで物を落としている限りは、大きな問題にはならないのではないだろうか。
※詳しくは、「航空機からの落下物データを可視化してみた」ご参照。
航空機からの落下物による不動産価値への影響
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する新飛行ルートの計画が進められている。現状では、マスコミの報道不足と国交省の”寝た子を起こすな作戦”(存在を知らない人は辿り着くことができない羽田空港ターミナルの情報発信拠点、都庁や渋谷での住民説明会の実績作りなど)が功を奏して、羽田新ルートの問題が世間の共通認識になっていない。そのため羽田新飛行ルートが不動産価値に影響を及ぼすには至っていない。
不動産価値に影響を及ぼすとすれば、2020年に向けて羽田新飛行ルートの運用が始まり、住民らが巨大な旅客機が頭上を飛ぶ状況を現認し始めてからではないか。
たとえば、広尾駅(港区)の上空600mを大型機が通過(C滑走路到着ルート)する際に、地上での騒音レベルは70dBを超える(飛行ルート周辺の騒音マップを描いてみた)。南風時の午後の時間帯(15~19時)、2分ごとに騒音が降り注ぐ。
実際の騒音も体感し、転居する人が増え始めると、不動産価値は下落する。
また、新飛行ルートで落下物が発生したときにも、不動産価値に影響を及ぼすのではないか。たとえ事故に至らなくても、「羽田新飛行ルート直下は落下物による事故に遭遇する可能性があるので危険だ」という風評によって、不動産価値が下落することが考えられる。
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