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新築物件より中古物件の方が立地条件が良い。今日は、そんな話をしたいと思います。
●かつてマンション立地は利便性の高さをばかりが優先された
その昔、地価が上がるにつれて庶民の夢であった庭付き一戸建ては、敷地面積が次第に狭くなって庭がなくなりました。そのうち、庭のない一戸建てすら高くて買えなくなり、比較的安い郊外へ向かうようになりました。その一方、通勤時間の犠牲を厭う人はマンションに目を向けるようになりました。庶民のマイホームは一戸建てからマンションへシフトしたのです。
そうして、都会でマイホームと言えばマンションという観念が定着しました。
その後、高度利用が可能なマンションすらも高くなって庶民は郊外へトコロテン方式に押しやられました。
地価が下落して再び都心で庶民が手の届くマンションが供給されるようになりましたが(都心回帰)、同時に好立地の土地を抱えていた法人が大量に手放す時期が2000年代に入ってからしばらく続きましたが、それも終わり、2008年あたりからは都心でリーズナブルな価格のマンション供給はほぼできなくなったのです。
歴史的にマンションの開発(供給)と市場の変遷をたどると、2000年~2007年に開発されたマンションの立地条件は良いものが多いと気づきます。
しかし、昨今(2008年以降)の供給戸数は2000~2007年ころの半分になってしまったので、新築を買いたくても実は品物がないという状況にあります。
それに気づいた人は中古に目を向けました。しかし、2013年から始まった新築マンションの価格上昇を嫌った人が中古に流れ込み、その中古も手が出ないと感じる人が増えました。
中古マンションを探して歩いている人の中には、築浅から築15年、20年と古いものへ流れ、とうとう築30年、40年と「より古い」物件に行きついたという人もあるようです。
筆者のところへ「マンション評価レポート」の提供を希望する人も、かつては新築が8割だったのですが、最近は中古が増えて新築6割、中古4割くらいになったかもしれません。
そんな中古を志向する行動から感じる変化があります。それは、筆者に依頼されるマンション評価が「築20年以上の物件が多くなった」と「立地条件の良いものが多い気がする」の2点です。
立地条件の良いマンションは、先に述べたように2000年以降2007年くらいまでに多いのですが、その前はバブル前、1985年以前に多いのです。(バブル期は供給量自体が少なかったので論外です)
●マンションは立地が生命線
中古マンションの価格を、どこかの地域で調べる。これが筆者にとって日課のようになっています。新築物件にせよ、中古物件にせよ、「マンション評価レポート」や「将来価格の予測レポート」を作成するには不可欠だからです。レポート作成を物件数でカウントすると、延べ3000件になりました。サービスを始めて約7年になるので、平均すると3000÷84か月≒36で、毎日3件のレポートを書いて来たことになります。
ただし、これは評価レポートだけです。将来価格の予測レポートがセットで加わるご注文もあるので、多分4000件になります。
最近は毎日5件、寝る間もなく書いています。レポートの分量を知っている知人からは「いつ寝ているの?」と聞かれる始末です。
レポート作成の合間に対面相談もこなしているので、この半年は疲労が蓄積している自覚もあります。しかし、何故か風邪もひきません。昔から「化け物」と呼ばれた頑健な体に自分でも驚きます。
さて、筆者は出来事を分析するときは、マクロとミクロの複眼思考が必須と考えています。トレンドとサイクルという見方も大事だとも思っていますが、今日の話はどちらかと言えば、日々の作業の中から、つまりミクロのデータから「氷山の一角」的に受けている印象をお話ししています。
そのひとつは、「マンションの価値は8割がた立地で決まる」という点です。
ブランド価値、スケール、デザイン性、管理、間取り、設備といった要素も価格を多少は左右するものの、何を置いても立地条件が大きな比重を占めるものであることを何度も確認させてもらっているのです。
●新築物件の立地は失望するものばかり
歴史的に見れば誰にも分かることですが、駅に近い場所から開発をして来たので、後年になるほど駅から遠い場所での開発になるのは必定です。今後も、建物を何百年も使い続けるという文化のない日本では建て替えが頻繁に行われます。ときどき便利な場所の何かの跡地でマンション開発がなされることも日本では普通のことです。
しかし、その絶対量は少ないのです。駅前の便利な場所で供給されることは今でもありますが、駅前に空き地はないのが普通です。駐車場になっていたりするので、それを空き地と呼ぶなら何年か前には何か建っていて老朽化や相続・廃業といった理由から建物を解体したのでしょう。
いずれにしても、解体前の建物は古いビルだったはずです。マンションは賃貸でない限り半永久的に建て替えはないと見なければなりません。
新線・新駅では空き地が広大という場所もありますが、郊外エリアの話です。都心で広大な空き地と言えば、有明や月島、勝どきといった辺りくらいしかありません。埋立地や、倉庫・工場が残っている地域、都市計画でいうところの「工業地域」や「準工業地域」になりますが、その面積は都区内では随分縮小してしまいました。
こうした背景と歴史的経過から見て当然なのですが、最近のマンションは立地条件に優れたものが激減したと思うのです。だからでしょう。たまに出て来る「駅近」マンションはバカ高いにも拘わらず人気を博すのは。
筆者に届く「評価レポート」依頼の対象物件の80%は、新築に限れば「場所に問題」ありです。
「可もなく不可もなし」ならまだしも、「環境的に問題あり」や「駅から10分を優に超す不便なマンション」が多いのです。駅から15分歩くなどというのは筆者の見立てでは論外なのですが、何かしら長所を見つけて自分を無理やり納得させ購入している人がも多いようです。
駅から遠くても、それを補い余りある長所があれば、差し引きしてバランスすることも考えられますが、そんな場所は滅多にありません。
あるところに、築15年を超えているのですが、統一デザインによって開発された素晴らしい街並みとデザイン性に優れた建物、大手デベロッパーよって分譲されたマンション群があります。最近、久しぶりに中古価格を調べたところ予想に反する率で値下がりしていました。
景観も環境もよいし、建物デザインも少しも陳腐化を感じさせないマンションなのですが、駅から徒歩15分以上というのがネックになっているのです。マンションの玄関前からシャトルバスが頻繁に出ているので、生活に不便はないと居住者は語っているのですが・・・
将来価格の予測を立てるとき、駅から遠い物件は例外なく辛い数字をはじき出して暗い気持ちになります。
●立地条件を優先すると中古になる
駅に近ければ何でもいいとは言えませんし、予算との関係、希望する広さ、その他の条件を考えると、駅近くの優良物件に手を出せない人も多いことでしょう。そのような場合は、中古しかないのです。しかし、その中古も駅に近いものは新築並みに高い場合も多いのです。
どうすればいのでしょう。ひとつは、築年数を思いきり妥協してみることです。先に述べた通り、古いマンションほど立地条件が良いのですから。
対面相談でアドバイスさせていただいたY氏は、保育園の関係から地域限定で探していました。条件に合う物件が新築で1件ありましたが、駅から10分と遠いので買う気になれませんでした。中古も築浅を中心に探しましたが売り物が少なく、たまに出てきても何かしら問題のある物件ばかりでした。
最終的に、駅に近いが、築34年という物件に遭遇し、それを買ったのです。無論、筆者も「評価レポート」を合格物件として提供しました。その物件は「34年」を除くと申し分ないものでした。詳細は省きますが、高級マンションでした。
34年も経っていて大丈夫かと一瞬そう思った読者もあると推察しますが、その点も抜かりなく調査し、将来を展望してレポートに記載したのは言うまでもありません。
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探しあぐねていらっしゃる方は、発想を転換して築30年を超える古いマンションも含めて(ただし、耐震性だけは問題ないないものを)検討してみることをお勧めします。
・・・・・・本日はここまでです。ご購読ありがとうございました。
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