第126回 勧めたくないコンパクト物件

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単身居住を前提にマンション探しを続けていらっしゃる読者に向けてお話ししましょう。

 

マンション評価レポートを既にお送りした方にはご理解いただけていると思いますが、コンパクトマンションには品質的に問題のあるものが多く、大手であってもお勧めできないのです。

 

品質もさることながら、お勧めできない最大の理由は価格が高すぎるからです。

 

コンパクトマンションを検討している人からのご相談は昔から多いのですが、「マンション評価レポート」を懸命にお作りしても8割の依頼者を怒らせるだけらしいので、依頼が来た物件の概要を見た瞬間、気分が滅入ります。

 

具体的に物件を挙げて説明した方が分かりやすいのですが、ブログで公開するのは何かと支障が出るので、可能な限りの比喩を用いながら述べて行こうと思います。

 

●自己居住用にコンパクトマンションを選択する人って?

コンパクトマンションは30㎡~50㎡くらいの物件を指します。20㎡台のワンルームマンションとは区別しています。理由をお分かりでしょうか?

 

ワンルームタイプは賃貸目的に分譲されるのに対し、30㎡を超えるコンパクトマンションは自己居住を目的として購入する例が多いからです。

 

その昔、ワンルームマンションを自己居住用に購入する単身者もありましたが、最近は殆ど見かけなくなりました。住宅ローンの金利が下がって単身者の購買力が上がり、広いものが買えるようになったこと、及び晩婚化で購入者の年齢が上がり購買力が高くなったためと分析されます。

 

単身者の需要は、確実に40㎡以上になった。筆者の目にはそう映っています。中には、住宅ローン控除の適用条件50㎡以上を求めている人も多いのです。

 

●品質の低いコンパクトマンションとは

マンションの品質というと「室内の設備・仕様」を思い浮かべるかもしれませんが、それは一部に過ぎません。筆者が優先するのは「マンション全体」です。マンション全体としての品格と共用部の作りこみ、外観デザインなどです。少なくともペンシル状の小規模マンションで品質が高いと感じたものはありません。

 

規模が大きく、外観に風格がある。エントランスも立派、共用施設も充実しており、コンシェルジュが滞在している、廊下はホテルと同じ「内廊下」タイプ。このようなイメージのマンション。その中にあるコンパクト住戸が品質の高い物件と言えるのです。つまり、ファミリータイプの中に混在するコンパクトマンションが高品質となるのです。

 

タワーマンションでなくともいいのです。また、大規模マンションとまでは言えなくとも、少なくとも100戸以上のマンションとなりましょう。

 

そうでないコンパクトマンションは、みな品質が低いとは言いませんが、筆者の基準では該当するものは見当たりません。

 

戸数は50戸もなく、ラウンジ程度は設けられているものの、コンシェルジュはいない、管理人すらいない物件さえ多いのです。その種のマンションは全部がコンパクトタイプで構成されています。

 

新築の場合、そのホームページを見ると、決まって「賃貸も可能です。想定利回り●●%」などと謳っています。ワンルームも混在し、どちらかと言えば投資家向けの分譲なのだと分かります。

 

●コンパクトマンションは高い

品質が高くないのにコンパクトマンションの多くが価格だけは高いことをご存知でしょうか?

 

面積が狭いので総額では安いのですが、単価では恐ろしく高いのがコンパクトマンションの共通点です。

 

40㎡のコンパクトマンションが4000万円であれば、坪単価は@330万円です。ところが、同地域の一般マンション(ファミリータイプ)は@250万円だったりします。70㎡換算では総額5300万円です。予算4000万円の人は、5000万円以上の物件には目もくれませんし、坪単価をはじいて、40㎡と70㎡の比較をする人もいません。

 

割高かどうかではなく、総額4000万円という予算の中に納まっているかどうかが問題なのです。そのため、割高な物件をつかまされることに気付かない買い手が多いのです。

 

1棟の大型マンション内で仕組む業者もいます。コンパクト住戸は下層階で、かつ北向きであったりしますから、普通に考えれば上階で北向きでないファミリータイプより価値は低くなり、価格も安くしなければ合理的とは言えませんが、ファミリータイプ20坪の10階を5000万円(単価250万円)とし、コンパクトタイプ12坪を坪単価300万円の3600万円などとするのです。

 

●デベロッパーの思惑と価格が高い理由は

単価が高いコンパクトマンション。なぜそんな物件を世に送り出すのでしょうか?デベロッパーの立場に立って解説しましょう。

 

良い土地が見つからない。このままでは××年度の商品が足らない。敷地が狭くて効率が悪いが、買えそうな土地は今ここにある。試算してみると、平均45㎡にすれば、単価は高いが売り上げで00億円になる。道路付けも良くないし、工事費も高くなるが、コンパクトマンションなら北向きでも、日当たりや眺望が悪くても売れるから、その企画で進めれば販売は可能だろう。上階の3層だけ、プレミアム住戸ということにしてファミリータイプにすればどうか。

 

こんなふうに考えて、利便性の高い駅前立地などに、コンパクトマンションが誕生します。つまり、コンパクトマンションは適当なマンション用地がないという背景が生んでいる悪性商品の可能性が高いのです。

 

建築費が高い現在、コンパクトタイプを増やすことは得策ではないはずです。敷地が狭く、かつ道路も狭いと大型重機が使いにくいこともあり、また、そもそも細かく区分する設計(ファミリータイプなら30戸のところを50戸のコンパクトマンションを作る)はコスト高になるのです。

敢えてそうするのは、ファミリータイプでは中途半端な価格になったり、住戸条件(日当たり・眺望)が良くなかったりして販売が難しいからです。

 

●巡回管理が問題になる

コンパクトマンションで一番の問題は、巡回管理になってしまうことです。

 

いうまでもなく、管理人の給与は間接的にマンションオーナーが払いますから、小規模マンションでは一戸当たりの負担額が大きくなってしまい、販売がしにくいので、管理人不在(巡回管理)にしてしまうものが少なくありません。

 

ファミリータイプのマンションでも、巡回管理は長い目で見ると問題になることが多いのですが、賃貸住戸が多い(ワンルーム混在)コンパクトマンションでは、良い管理がしにくいものです。

 

先日もある中古マンションの見学を済ませたご相談者から以下のようなメールが来ました。

 

「管理状態が今一つでした。これはコンパクトタイプが多く巡回管理である以上、甘受すべきものだったかもしれませんが。

・ごみ置き場にバイクなど粗大ごみが放置されている

・放置自転車が多数あり、駐車場が放置自転車置き場になっている

・エントランスに宛名入りの封筒が落ちっぱなしになっている

・深夜の騒音やいたずらに関する注意喚起の張り紙が多数ある

 

管理が悪いマンションということで見送るという連絡でした。

 

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今日の話は、コンパクトマンションご検討者向けでしたが、一般マンションにも通じることがあるかもしれませんね。高値掴みにならないよう気を付けたいものですすし、管理の質にも注視したいものです。

 

 
・・・・・・本日はここまでです。ご購読ありがとうございました。
 

 

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