購入したマンションの理事会が、間違った判断をしていると思ったらどうする?

ちょっと今回はいつもと毛色を変えまして。

Twitterで流れてきた「謎の水装置問題」。
私もこちらで取り上げられている商品は電車の広告などで見たことがあり、ひと目で「・・・」とは思ったのですが、マンションの理事会の中で実際に検討が進み導入に進んでいる事例もあるんですね。

謎の水装置問題でとても困っています。誰か助けてください。
このままだと業者に400万円を搾取されてしまいます。
行政や相談所に行きましたが、いずれもたらい回しか、担当でないという回答です。
対応してくれそうな、警察官、公務員、官公庁、相談所、学識経験者、NPO、なんでも構いません。心当たりがあれば連絡をください。

(中略)

私はマンションの「区分所有者」です。
当マンションでは「修繕委員会」が工事業者を選定し、「理事会」が議案を作成する方式を採用しています。
私はどちらの委員でもありませんが、住民説明会で上記経緯を知らされました。
購入の原資はマンションの修繕積立金で、約400万円を支払うとのこと。
次回総会で可決されれば導入決定という計画になっています。

様々な調査をして、この製品の説明は「事実ではない」と判断しました。
効果を期待できない装置に400万円も払う事態を避けるため活動しています。
住民有志とミーティングを開催しましたが「N◯Rと言われても難しくてわからない」と、賛同者を増やすことが難しい状況です。

理事会、修繕委員会は、本製品について「特別な思惑」があるように見受けられ、説明や話し合いは拒否されています。
総会では装置のリスクを開示せず、住民を「煙に巻いて」可決させたいようです。

この事例は、もう時既に遅し

マンションを購入すると区分所有者となります。そして、区分所有者同士で構成する管理組合に強制加入となります。そして管理組合は代表者数名を毎年選出して、理事会を構成します。つまり、理事会のメンバーは全員ご近所さんなわけです。
マンション管理の専門家なんておらず、引退したおじいちゃんや若夫婦の奥様まで多種多様な構成メンバーとなるわけです。全員理系的知識を持っているわけでもありません。

管理組合の総会では、持ち分毎に票を数えて、極めて民主的手続きで物事が進みます。たとえ、理事長が議決権の半分以上の委任状を持っていたとしても、委任状を投じた人は、理事長を信用したということですから。。

だから、効果が不明な水装置の導入でも理事会メンバーが「あらいいわね、安いじゃない」と賛成多数で可決して、管理組合の総会に提出されれば、ほぼ通っちゃうわけです。

さて、この方のお立場は「一区分所有者」であり、理事会を構成する理事や監事でも、修繕委員会のメンバーでもありません。「住民で有志とミーティングした」「説明や話し合いは拒否された」と書かれていますから、理事会からは「キャンキャン空気読まないうるせーイチ住民がいるなー」くらいしか思われていないのでしょう。

こう認定されてしまっては、理で説いても無駄なわけです。だって、相手がもう聞く耳をもたないし、そもそも理事会にも修繕委員会のメンバーでもないのですから。

この方がこれからやれることは、総会で反対票を入れつつ、「もし一定年数後に効果がなかったら返金してもらえるよう確約とってくれ」と発言するくらいでしょうか。もし「効果がなかった」ことを証明できれば返金してくれるかもしれないし。

そもそもご近所相手にここまでガンガンやってしまうと、住みづらくなると思いますね。冷たいこと承知で言えば、400万円って金額は大きいけど、戸あたりでならせば個人負担分は4万円だし我慢するか、さっさと売って別のマンションに引っ越したほうが良いかもしれません。

ご近所相手に正義感を発揮すること



人によって正義って違うのは、大人になったらわかります。この方は、理事会にも修繕委員会にも参加せず、余ったパワーを10数カ所の問い合わせや住民有志のミーティングに使ってしまいました。完全に使い所を間違えているのです。

先ほど述べたように、区分所有者のマンションの決め事は、区分所有者自身の責任で民主的に決められるものです。「対応してくれそうな、警察官、公務員、官公庁、相談所、学識経験者、NPO、なんでも構いません」って書いている時点でこの点をわかっていません。外の学識経験者やNPOに聞いても、マンション内の決めごとについて、彼らは何もできません。

長文をネットに書き、数多く問い合わせする正義感と行動力は、理事会の中に入るか、修繕委員会の中に入って発揮すべきでした。

マンションの理事会ってのは基本的にボランティアなわけです。自分たちが話し合ってよしと決めたことを、事情を知りもしない人が「それは間違っている」「400万円もかけて無駄だ」「住民有志でミーティングを開いた」ってな動きをされたら「僕らの仲間でも無い人が、何を喚いているのだろう」と思ってしまうのです。

引いた視点で観察できれば、たしかに理事会がアホな決定をしようとしているかもしれませんが、理事会内のミクロでみたら、見える景色が全く違うのです。

正義感の発揮の仕方を間違えると、自分と家族がとても住みづらくなってしまいます。それはとても悲しいことです。自分たちが快適に住むために買ったマンション、修繕積立金の使いみちが間違っていると思ったなら、内側に入って解決すべきですね。

中規模までのマンションの区分所有者になれば、基本的にマンションの理事会に、大なり小なり関わることになります。そこは、学校や会社とはまた違う、ミクロな政治世界なのです。(大規模マンションだと一生回ってこない可能性もありますw)

P.S.

「理事会がおかしいと思ったら」。みんな大好きどエンド君先生のように、おかしな理事会をTwitter実況して、全力二階建てに取り上げてもらうって高度なプレイもありますけど、それは自分の家ではなかなかできない芸当ですよねぇ。

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マンションアナリスト、ブロガー、インフルエンサー。マンション購入ということに真正面から真剣に考えたブログを足掛け10年も運営しました。忙しくなりすぎて更新が滞りがちですが、スムログも引き続きがんばります、よろしくお願いします!
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1 個のコメント

  • 匿名 より:

    マンション規約に「技術基準は国交省または日本建築学会の基準に沿うものとする」で終わりじゃないんですかね? 

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